指令 (EU) 2022/2380
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欧州連合指令 | |
EEA適用対象 | |
名称 | Directive (EU) 2022/2380 of the European Parliament and of the Council of 23 November 2022 amending Directive 2014/53/EU on the harmonisation of the laws of the Member States relating to the making available on the market of radio equipment |
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法源 | EU機能条約 第114条 |
EU官報 | Document 32022L2380 |
歴史 | |
制定日 | 2022年10月24日 |
発効日 | 2022年12月27日 |
各国導入期限 | 1年以内 (2023年12月28日まで) |
立法審議文書 | |
欧州委員会提案 | 2021年9月23日 |
関連法令 | |
改正対象 | 無線機器指令 (Directive 2014/53/EU) |
改正先 | なし |
現行法 |
指令 (EU) 2022/2380[1][2](しれい、英語: Directive (EU) 2022/2380)は、2022年に発効された、無線機器指令 2014/53/EUを改正する欧州連合(EU)の指令である。EU域内に新規流通する電子機器にUSB Type-Cへの対応を義務付ける指令であることから、日本のメディアからは「USB Type-C統一法(ユーエスビータイプシーとういつほう)[3]」「USB-C統一法[4]」「充電端子統一法(じゅうでんたんしとういつほう)[5]」と呼ばれている。
概要
[編集]この指令は、携帯用電子機器の充電関連規格を統一することが目的である。欧州委員会によると、消費者の38%が充電器の端子が合わずに携帯電話を充電できなかったなどの問題を経験しているといい、この指令により手持ちの充電器を再利用でき、不要な充電器を購入せずに済むことから、年間2億5,000万ユーロの節約になり、年間約1,000トンの電子廃棄物の削減にもつながるとしている[6]。
この指令により統一される規格は、対象となる電子機器の充電ポートと急速充電技術に関するものである。充電ポートは「USB Type-C」に、急速充電技術は「USB PD」に、欧州規格としてそれぞれ統一され[6]、採用が義務付けられる[7]。なお、ワイヤレス充電は対象ではない。
また、端末本体と充電器をセットで提供することも禁じられる。これは、この指令が充電器周りの「消費者の不便さ」の解消に加えて、「環境に配慮する」という目的も含まれているためである[8]。
この指令の対象となる電子機器は、携帯電話、タブレット端末、デジタルカメラ、ヘッドホン、ヘッドセット、マイク付きヘッドホン、携帯型ゲーム機、携帯用スピーカー、電子書籍リーダー、マウス、キーボード、携帯型ナビゲーションシステム、イヤホン、ノートパソコンである[1]。現状はこういった機器に採用されているUSB Type-C以外の端子はほぼAppleのLightningのみだと考えられることから、この指令を事実上「Lightning狙い撃ち法」だとするメディアもいる[9]。
この指令は欧州委員会が2021年9月23日に提案し[10]、2022年10月4日に欧州議会にて要案可決され、同月24日にEU理事会にて最終承認された。その後、同年12月7日に欧州連合官報に掲載され[11]、その20日後の12月27日に発効された。ノートパソコン以外は2024年12月28日から、ノートパソコンは2026年4月28日から対応が義務化され[1][12][13]、その後はEU域内においてUSB Type-Cに対応しない全ての携帯用電子機器の新規流通が禁止される[14]。
企業の反応
[編集]当時自社の発売するスマートフォン(iPhoneシリーズ)にUSB Type-CではなくLightningを採用し続けていたAppleは、2021年に「1種類のコネクタのみを義務付ける厳しい規制は、イノベーションの奨励どころか阻害につながり、その結果ヨーロッパはおろか世界の消費者に対して害を与えるのではないかと懸念している。」と指令に反対する声明を出していた[15]が、最終承認後の2022年には「従うしかない。それ以外の選択肢はない」と譲歩する姿勢を示した[16]。そして、2023年に発表された自社のスマートフォン、iPhone 15シリーズとiPhone 15 ProシリーズでLightningが廃止され、iPhoneシリーズとして初めてUSB Type-Cが採用された[17]。
出典
[編集]- ^ a b c “RE指令 無線機器の充電器標準化 (USB Type-C)”. REGSOL (2023年6月29日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “欧州における認証制度の現状” (PDF). 総務省. p. 25 (2023年3月16日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “欧州、スマホなどが対象の“USB Type-C統一法”を2024年秋施行へ”. ITmedia (2022年6月8日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “欧州の「USB-C」統一法、ワイヤレス充電のみの機器は対象外”. Forbes JAPAN (2022年6月8日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “【徹底検証】スマホ、タブレットの端子は全部「Type-C」にすべきなのか?”. 週プレNEWS (2022年12月1日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ a b “欧州委、スマートフォンなどの充電ポートを「USBタイプC」に統一する指令案を発表”. 日本貿易振興機構 (2021年9月28日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “【解説】欧州USB Type-C義務化”. リョーサンテクラボ (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “iPhoneをついにUSB-C化させる!? EUで可決された「RED」とは”. ASCII.jp. p. 2 (2022年5月18日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “Lightning狙い撃ちな「USB Type-C法案」 EUとAppleそれぞれの思惑”. ITmedia NEWS (2021年10月25日). 2023年10月5日閲覧。
- ^ “EU、充電端子を「USBタイプC」に統一する指令案に暫定合意、2024年秋適用へ”. 日本貿易振興機構 (2022年6月8日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “iPhoneのUSB-C搭載が2024年12月28日までに行われる可能性が濃厚に”. GIGAZINE (2022年12月9日). 2023年9月20日閲覧。
- ^ Gerken, Tom (12 December 2022). “December 2024 set as date for universal phone charger in EU”. BBC News 4 March 2023閲覧。
- ^ Satariano, Adam (7 June 2022). “Europe wants to help clear out your drawer full of chargers.”. The New York Times 4 March 2023閲覧。
- ^ “欧州、スマホなどが対象の“USB Type-C統一法”を2024年秋施行へ”. ITmedia (2022年6月8日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “The European Union Wants A Universal Charger For Cellphones And Other Devices”. NPR (2021年9月23日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ “EUによるスマホのUSB-C義務付けが正式に採択 アップルは「従う」”. ASCII.jp. p. 1 (2022年11月10日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ ““脱Lightning”で「みんなうれしいUSB-C」とApple iPhone 15登場で「うれしすぎる」「5年遅い」など意見さまざま”. ITmedia NEWS (2023年9月13日). 2023年9月15日閲覧。