愛ある別れ
「愛ある別れ」 | ||||
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シカゴ の シングル | ||||
初出アルバム『シカゴX カリブの旋風』 | ||||
B面 | Together Again | |||
リリース | ||||
録音 | 1983年3月-4月 | |||
ジャンル |
ロック ブラス・ロック | |||
時間 | ||||
レーベル | コロムビア・レコード | |||
作詞・作曲 | ピーター・セテラ | |||
プロデュース | James William Guercio | |||
チャート最高順位 | ||||
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シカゴ シングル 年表 | ||||
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「愛ある別れ」(あいあるわかれ、原題:If You Leave Me Now)は、アメリカのロックバンド、シカゴの楽曲。アルバム『シカゴX カリブの旋風』に収録され、1976年7月30日にシングルとしてリリースされた。
また、1983年にコロムビア・レコード(現:SMEI)から発売されたシカゴのコンピレーションアルバム(コロンビア38590)のタイトルにもなっている。
概要
[編集]作詞・作曲はピーター・セテラ。
ボーカルもピーター・セテラが務め、ブラス・セクションを活かした音楽性が特徴である。
当時のシカゴとしては珍しいラブ・バラードでありながら、世界各国でヒットし、シカゴの認知を広める一曲となった。
1976年10月23日にはBillboad Hot 100のトップに立ち、2週間その座に留まりグループにとって初のナンバーワンヒットとなったほか、イージーリスニングチャートでも1位を獲得した。
収録アルバムとしては前々作となる『シカゴⅧ 未だ見ぬアメリカ』以降、シカゴはOR・ポップス路線へと移行し始め、その到達点としてこの曲は全米ナンバーワンヒットを記録したが、一転してバンドのリーダーであるテリー・キャスやロバート・ラムはこのような音楽性に反対した。
2010年、シカゴはアメリカ癌協会と提携しヒット曲となった『愛ある別れ』を彼らのコンサートのライブステージで一緒に歌う機会をオークションによる入札方式で提供し、その収益は乳癌と戦うためにアメリカ癌協会に送られた。この募金活動はその後も継続されている。
評価
[編集]アメリカの音楽業界誌Cash Boxはこの曲を「優れたバラード」であり、「豊かな色彩の」インストゥルメンテーションと「丁寧に構築された」ヴォーカルを備えていると評した。
2016年にグループがロックの殿堂入りした際、エンターテイメントとポップカルチャーのライターであるTroy L. Smithは、「殿堂入りの候補に対する疑念を払拭する(原文:kill any doubt about their candidacy)」シカゴの7曲のリストに『愛ある別れ』を入れ、「バンドの名声と、それによるロックの殿堂入りに大きく貢献するものだ。」「そして正直なところ、ピーター・セテラはシカゴの曲の中で間違いなく最高のボーカルを披露している」と述べている。
受賞
[編集]この曲はシカゴにとって国際的にも最大のヒットとなり、シカゴの活動拠点であるアメリカのほかにもイギリス、オーストラリア、アイルランド、カナダ、オランダといった他の国々でもチャートを制覇している。特にイギリスでは3週間1位を維持した。1999年にアメリカで設立されたオンライン誌『PopMatters』のライターであるZachary Houleは、「この曲は発売と同時にラジオに浸透し、ニューヨークでチューニングした人は、それぞれフォーマットの異なる4つの局で同時にこの曲が流れたと言われています。」と評した。
編曲を手掛けたジミー・ハスケルと、プロデューサーのジェームズ・ウィリアム・グエルシオが、グラミー賞の最優秀編曲伴奏ボーカリスト賞を受賞した。また、デュオ、グループ、コーラスによる最優秀ポップヴォーカルパフォーマンス賞を受賞し、これがグループにとって初のグラミー賞受賞となった。また併せてグラミー賞のレコード・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされている。
さらに、発売から1978年の8月まででこの曲はアメリカだけで140万枚を売り上げ、RIAAからゴールドとプラチナに認定されている。 2020年6月の記事で、The Guardianは「The Greatest UK No 1s: 100-1」のリストの73位に『愛ある別れ』を挙げ、「あり得ないほど瑞々しくて美しく書かれているが、その悲しみは浸透していて心を揺さぶるものである。」と指摘した。
チャート
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週間チャート[編集]
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年末チャート[編集]
全体チャート[編集]
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売上
[編集]国/地域 | 認定 | 認定/売上数 |
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カナダ (Music Canada)[30] | Gold | 75,000^ |
イギリス (BPI)[31] | Gold | 500,000^ |
アメリカ合衆国 (RIAA)[32] | Platinum | 1,000,000^ |
^ 認定のみに基づく出荷枚数 |
他のメディアでの起用
[編集]「愛ある別れ」はビデオゲームやアニメーション作品といったメディアにも起用されている。以下はその一例。
- 2013年に発売されたビデオゲーム『グランド・セフト・オートV』のサウンドトラックに収録(ゲーム内のラジオ局「Los Santos Rock Radio」に収録されている)。また作中においては主人公の一人トレバー・フィリップスが、自身が誘拐した麻薬王の妻を返す際のBGMとしても使用されている。
- 米国のアニメ作品『サウスパーク』の1話「Casa Bonita」に登場。
- アメリカのコメディ番組『モダンファミリー』の第3シーズン12話「Egg Drop」で取り上げられている。
- イギリスのコメディホラー映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』では、ショーンがまだ別れを引きずっており、エドが彼を励まそうとするシーンでこの曲が登場した。
- 2000年代初頭には、ウェブサイトPets.com(現在は閉鎖済み)のCMでマスコットの「ソックパペット」がこの曲を披露した。
- 1999年の映画『スリーキングス』でサウンドトラックに収録。この映画の舞台は91年の湾岸戦争時代のイラクになっており、ワシントン・ポスト紙でこの映画をレビューしているデッソン・ハウは、映画監督のデヴィッド・O・ラッセルが、このシーンで移動中の車の外の「狂乱の混乱音」から、この曲の「やさしい音」が流れている車内に切り替えたことを語っている。
- Amazon Prime Videoの自動車ドキュメンタリーシリーズ『The Grand Tour』で2024年に配信開始されたシーズン5・エピソード3内でサハラ砂漠の砂丘を駆け抜ける際のBGMとして使用されている。
Chessによるカバー
[編集]「If You Leave Me Now」 | |
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Chess の シングル | |
ジャンル | ダンス |
時間 | |
レーベル | BMG |
作曲 | Peter Cetera |
プロデュース | Boogie Park, Brothers United |
1993年2月1日、ドイツの音楽グループ、Chessがこの曲をカバーした。原曲がバラードであるのに対し、Chessのバージョンはアップテンポでダンサブルであり、これは1990年代のダンスミュージック事情にマッチしている。このバージョンは、コンピレーション『Larry präsentiert: Neue Smash-Hits 93』(英語:Larry presents: New Smash-Hits 93)と『Maxi Dance Sensation 9』にも収録されている。
トラックリスト
[編集]CD maxi-single
- If You Leave Me Now (Airplay Mix) - 3:53
- If You Leave Me Now (12" After Dark mix) - 5:13
- Please, Don't Leave Me (Instrumental Mystery Mix) - 5:16
チャート
[編集]チャート (1993) | 最高順位 |
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ドイツ[33] | 67 |
他のアーティストによるカバー
[編集]ピーター・セテラは1997年のアルバム『You're the Inspiration』でソロ・アーティストとして「If You Leave Me Now」を再録音している『A Collection』、近年では2018年のアルバム『Friends and Legends Duets』でイタリアのボーカリスト、フィリッパ・ジョルダーノとこの曲のデュエットバージョンを録音した。
ウェブサイトSecondHandSongsによると、1976年から2020年の間に世界中のレコーディング・アーティストが「If You Leave Me Now」を130曲以上カバーしており、その中には以下のようなものがある。
- ブラザーフッド・オブ・マンは1980年のアルバム『Sing 20 Number One Hits』にこの曲を収録した。このアルバムは1980年のUKチャートで14位を記録した。
- エルキー・ブルックスは1981年にアルバム『Pearls』でこの曲のバージョンをリリースした。 このアルバムは全英2位を記録した。
- イギリスのボーイ・バンドであるアップサイド・ダウンによるシングルは、1996年に全英27位にチャートインした。
- アイズレー・ブラザーズは2001年のアルバム『Eternal』のためにそれを録音した。
- Boyz II Menは2009年のアルバム『Love』で「If You Leave Me Now」のバージョンをレコーディングした。
- ヴィオラ・ウィルスは「If You Leave Me Now」のディスコ・バージョンをリリースし、1981年にシングルとしてリリースされ、B面には「I Can't Stay Away from You」が収録された。彼女のバージョンはフランスの電子音楽デュオ、ダフト・パンクによって、彼らの1997年のアルバム『Homework』収録の「Teachers」「Fresh」という楽曲にサンプリングされている。
- レオニード・アンド・フレンズの「チカゴビッチ」。
イギリスのDJ、プロデューサー、ソングライターでアウトロー・ポッセの元メンバーであるK-Geeは、ミシェル・エスコフェリーとともに、K-Geeの2002年のアルバム『Bounce to This』で「If You Leave Me Now」のヒップホップバージョンを演奏した。2000年、K-GeeはビルボードのライターKwakuに「If You Leave Me Now」のコーラスは「太く聴こえる」と思うと語った。
ライブでのカバーパフォーマンス
[編集]- アース・ウィンド&ファイアーのフィリップ・ベイリーは、2004年から2006年にかけて行われたシカゴとのジョイントコンサートでこの曲を歌った。このバージョンはシカゴのアルバム『Love Songs』に収録された。 フィリップ・ベイリーも、その年にグラミー生涯功労賞を受賞したシカゴを称える「Grammy Salute to Music Legends 2020」の中でこの曲を演奏した。この番組は2020年10月16日にPBSで初公開された。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ David Kent's "Australian Chart Book 1970-1992" Archived March 5, 2016, at Archive.is
- ^ “Chicago – If You Leave Me Now – Austriancharts.at” (ドイツ語). austriancharts.at. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “Ultratop.be – Chicago – If You Leave Me Now” (オランダ語). Ultratop. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “Top Singles”. RPM 26 (2): 23. (October 9, 1976). ISSN 0315-5994 January 10, 2013閲覧。.
- ^ “Item Display - RPM - Library and Archives Canada”. Collectionscanada.gc.ca (October 9, 1976). March 10, 2018閲覧。
- ^ “Dutchcharts.nl – Chicago – If You Leave Me Now” (オランダ語). GfK Dutch Charts. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “Tous les Titres de l'Artiste choisi” (フランス語). InfoDisc (1976年11月4日). September 13, 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。11 March 2019閲覧。
- ^ “Single – Chicago, If You Leave Me Now” (ドイツ語). charts.de. Media Control. August 13, 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。January 10, 2013閲覧。
- ^ "The Irish Charts – Search Results – If You Leave Me Now". Irish Singles Chart. Retrieved July 11, 2017.
- ^ “Classifiche” (イタリア語). Musica e Dischi. May 28, 2022閲覧。 Set "Tipo" on "Singoli". Then, in the "Artista" field, search "Chicago".
- ^ “Norwegiancharts.com – Chicago – If You Leave Me Now”. norwegiancharts.com. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “charts.nz – Chicago – If You Leave Me Now”. charts.nz. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “SA Charts 1965–March 1989”. 2 September 2018閲覧。
- ^ “Swedishcharts.com – Chicago – If You Leave Me Now”. swedishcharts.com. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ “Chicago – If You Leave Me Now – Hitparade.ch” (ドイツ語). hitparade.ch. Hung Medien. January 10, 2013閲覧。
- ^ Cash Box Top 100 Singles, October 23, 1976
- ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970–1992 (illustrated ed.). St Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 428. ISBN 0-646-11917-6
- ^ “National Top 100 Singles for 1976”. Kent Music Report (December 27, 1976). January 11, 2022閲覧。
- ^ “Item Display - RPM - Library and Archives Canada”. Collectionscanada.gc.ca. October 11, 2016閲覧。
- ^ “Top Selling Singles of 1976 | The Official New Zealand Music Chart”. Nztop40.co.nz (December 8, 1963). October 11, 2016閲覧。
- ^ “Top 100 1976 - UK Music Charts”. Uk-charts.top-source.info. October 11, 2016閲覧。
- ^ “Top 100 Hits of 1976/Top 100 Songs of 1976”. Musicoutfitters.com. October 11, 2016閲覧。
- ^ “Top 50 Adult Contemporary Hits of 1976”. www.45cat.com. December 6, 2017閲覧。
- ^ “The Cash Box Year-End Charts: 1976–Top 100 Pop Singles”. Cashbox Magazine. June 22, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。May 3, 2019閲覧。
- ^ Cash Box 年末チャート: Top 100 Pop Singles, December 25, 1976[リンク切れ]
- ^ Kent, David (1993). Australian Chart Book 1970–1992 (illustrated ed.). St Ives, N.S.W.: Australian Chart Book. p. 429. ISBN 0-646-11917-6
- ^ “Top 20 Hit Singles of 1977”. 2 September 2018閲覧。
- ^ Swiss Year-End Charts, 1977
- ^ “Billboard Hot 100 60th Anniversary Interactive Chart”. Billboard 10 December 2018閲覧。.
- ^ "Canadian single certifications – Chicago – If You Leave Me Now". Music Canada. 2013年1月10日閲覧。
- ^ "British single certifications – Chicago – If You Leave Me Now". British Phonographic Industry. 2013年1月10日閲覧。
- ^ "American single certifications – Chicago – If You Leave Me Now". Recording Industry Association of America. 2013年1月10日閲覧。
- ^ Chartsurfer.de. “If You Leave Me Now von Chess [DE]”. www.chartsurfer.de. 2023年5月22日閲覧。