コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

恐怖女子高校 女暴力教室

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
恐怖女子高校 女暴力教室
監督 鈴木則文
脚本 掛札昌裕
関本郁夫
鈴木則文
出演者 杉本美樹
池玲子
金子信雄
名和宏
音楽 八木正生
主題歌 須藤リカ「冷えた世代」
撮影 鈴木重平
編集 堀池幸三
製作会社 東映(京都撮影所)
配給 日本の旗 東映
公開 日本の旗 1972年9月29日
上映時間 79分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 恐怖女子高校 暴行リンチ教室
テンプレートを表示

恐怖女子高校 女暴力教室 』(きょうふじょしこうこう おんなぼうりょくきょうしつ)は、1972年に製作された日本映画恐怖女子高校シリーズ第1作。旧R指定作品。不良女子高生グループの「抗争」および、学校経営者との対決が描かれる。監督:鈴木則文

封切り時の同時上映作品は『やくざと抗争』(監督:佐藤純彌 、主演:安藤昇)。

ストーリー

[編集]

神戸市の高台に立つ私立女子高校・聖光女子学園3年4組には、激しく対立する2つのスケバングループがあった。一方を率いるのは学園理事長の妾腹・澄子。もう一方のリーダーは「乱世会のおミチ」こと迪子(みちこ)であった。

ある日学園に、かつて「乱れ菊のお由紀」と呼ばれた伝説のスケバン・由紀が転校してきた。由紀は、迪子に喧嘩を売られても応じようとしない。一方的にやられた由紀は、たまたま彼女を介抱した優等生の洋子と、両親がいないという境遇が共通していたことが元で親しくなった。洋子は学校ではおとなしくしていたが、実はクラブでホステスのアルバイトをしており、学園理事長の息子・丈夫と昵懇であった。その後由紀は過去を買われ、澄子のグループに加入する。

澄子らのグループは、手下にした生徒に売春をさせて私腹を肥やしていた。憤激した迪子らは、2人の仲間を澄子グループに潜入させるも計画が露見し、2人は凄惨なリンチに遭う。迪子らは救出のために澄子グループに奇襲をかける。3年4組の担任教師・吉岡が、彼女らの大乱闘をたまたま目撃し、仲裁に入ったため、決着がつかずに終わる。

吉岡を逆恨みした迪子は、吉岡の恋人である女教師・秋子を校外の男友達にさらわせ、吉岡の目の前で襲わせる。そこへ由紀が現れて秋子を救出し、迪子に決闘を申し込む。学園伝統の決闘場であるビーナスブリッジでのタイマン勝負は引き分けに終わり、由紀は生徒手帳を落として立ち去った。生徒手帳には、ある一家心中を報じた新聞記事がはさまっていた。由紀の両親は金貸し・郡大作のために自殺に追い込まれており、郡はその後出世し、聖光女子学園の現理事長に収まっていた。由紀は郡へ復讐するために、聖光学園に転校してきたのだった。

学園の健康診断で、洋子の妊娠が判明する。丈夫は手切れ金を渡し、冷淡に堕胎を勧める。さらに実妹である澄子をけしかけて洋子に暴行を加えさせ、洋子を流産させてしまう。絶望した洋子は、由紀や迪子らの目の前で校舎から飛び降りる。学園側は身寄りのない洋子の死自体をうやむやにしようとし、生徒たちは不信感をつのらせていく。

迪子グループと澄子グループは、決着をつけるため、河原での喧嘩に臨んだ。刃物なしのルールを申し合わせたが、澄子らはナイフを隠し持っており、迪子らは窮地に陥る。そこへ由紀が現れ、寝返って迪子らに加勢する。由紀は澄子に猟銃を突きつけ、「天国の洋子に詫びろ」と詰め寄る。澄子グループは全裸になり、土下座して許しを請う。

ある夜、丈夫は由紀を自宅に誘い、寝室に招く。丈夫が由紀の服を脱がせると入れ墨があり、丈夫はひるんだ。由紀が自分の正体と目的を明かし、そこへ銃を構えた迪子たちが乗り込んだ。銃を突きつけられた丈夫、父親の郡、そして郡の妾でクラブのママ・絹枝の3人は裸にされ、学園の校門の柱にくくりつけられる。

そこへ「退学届」と大書された立て看板を設置し、焚き火を囲んだ迪子・由紀は、セーラー服を火の中に脱ぎ捨てた。

登場人物

[編集]
聖光女子学園3年4組
  • 中田 迪子
    • 自身のスケバングループ・乱世会を率いる不良。厳格な公務員の家庭に育つが、レイプされたことをきっかけに「あたしが世間を強姦する側になってやる」と誓い、不良道を歩むことになる。そんな過去のために曲がったことが嫌いで、カツアゲや売春で金を稼ぐ澄子たちを嫌っている。
  • 尾野崎 由紀
    • 花園女学院からの転校生。三宮出身。花園女学院では女番長であったが、転向後は澄子の手下となる。その目的は自身の家族を一家心中に追い込んだ聖光学園理事長・郡への復讐のためであり、澄子から離反して勝利する。旧姓は「菊村」で、家族を死に追いやった郡への恨みを体に刻みつけるため、内腿に菊花の入れ墨を入れている。ピアノが得意で、『皆殺しの歌』を好んで弾く。
  • 岬 洋子
    • クラスの優等生。澄子の母・絹枝が経営するクラブで年齢を偽ってアルバイトをしている。両親がおらずひとり暮らしをしており、境遇の重なる由紀と仲よくなる。丈夫に見初められて丈夫の子を宿すも、澄子グループからのリンチのために流産し、ショックのため自殺。
  • 福本 澄子
    • 聖光学園理事長・郡の娘(丈夫の異母妹)。もうひとつのスケバングループを率いる。大規模な売春クラブを主宰しており、警察の捜査対象になったが、父親の威光のために逮捕を免れる。迪子らとの決闘に敗れ、学園を去る。
  • 王 メイ子
    • 迪子の仲間。リボンを付けた坊主頭が特徴。
  • 伴 団子
    • 迪子の仲間。丸メガネとそばかすが特徴。
学園関係者
  • 郡 大作
    • 聖光女子学園の理事長。かつては容赦ない取り立てを行う貸金業者であり、由紀ら菊村家を一家心中に追い込んだ。さらなる金儲けをたくらみ、医科大学の設置を自治体に働きかけている。クラブのママ・絹枝を大邸宅に囲い、本宅に帰らずに暮らしている。
  • 郡 丈夫
    • 学園理事のひとりで、理事長の息子(澄子の異母兄)。絹枝のクラブに通い、従業員を物色しているうち、洋子に出会う。洋子の死後、父親を仇と狙っていると知らずに由紀に迫る。
  • 平泉 利根
    • 学園長。常に「賢き妻となり優しき母になろう」との校訓を唱えるが、校内の非行は見て見ぬ振りをしている。
  • 浜村
    • 教頭。常に「性教育研究」という学術雑誌を読みふけっている。
  • 山田 隆
    • ベテランの数学教師。『日本列島改造論』を愛読している。宿直中にメイ子に迫られ、成績の操作を約束する。
  • 吉岡 敬一
    • 体罰のために前任地を追われ、聖光女子学園にやって来た若手教師。急遽3年4組の担任を受け持つことになり、迪子たちを体罰で苦しめるが、恋人・秋子が襲われるところを目の前で見せられ、精神的に追い込まれる。
  • 北川 秋子
    • 若手の女教師。吉岡の恋人。
    • 学園の健康診断を受け持つ学校医。関西が舞台でありながら、作中で関西弁で話すのは彼が唯一である。洋子の妊娠を最初に見破る。
その他の人物
  • 福本 絹枝
    • 学園近くの繁華街でクラブを経営するママ。理事長の妾で澄子の母親。郡とは貸金業者時代からの付き合いとみられ、由紀による復讐の対象となる。
  • 三郎
    • バーの経営者。不良少女たちの情報に詳しく、澄子の売春クラブに関して迪子にタレ込みをする。迪子とは金を払って抱き合う関係のため頭が上がらず、迪子の指示で仲間とともに秋子を襲う。
  • 森田 善兵衛
    • 教育審議会(教育委員会に相当する架空の公的組織)委員長。医科大学の設置認可をめぐり、郡親子の接待攻めに遭う。

キャスト

[編集]

製作

[編集]

キャスティング

[編集]

碧川初枝役の新人・碧川ジュン学習院女子中等部出身のお嬢さんで[1]マスメディアに取り上げられた[1]。碧川は大阪生まれ。同中学を経て宝塚音楽学校に入学したが中退[1]。テレビのカバーガールをやっていた時、本作のプロデューサー・天尾完次にスカウトされ、本作に抜擢された[1]。天尾は「学習院出身のお嬢さんにしては大した度胸。顔もスタイルもいいし、ポスト・池玲子のナンバーワン」などと褒めちぎった[1]。学習院出身のポルノ女優といえば、本作にも出演する松井康子が先輩で、松井は若い頃は「山本富士子のポルノ版」とも謳われたが[1]、この当時は体重70キロ超と太ってしまい、往年の面影はなく[1]、碧川は「松井さんがおスモウさんみたいに肥えられたので私の出番でしょ」と新人ながら啖呵を切った[1]

シリーズ

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h 「NEWS MAKERS 第二の学習院出身ポルノ女優の啖呵」『週刊ポスト』1972年9月8日号、小学館、36頁。 

外部リンク

[編集]