恐怖女子高校 女暴力教室
恐怖女子高校 女暴力教室 | |
---|---|
監督 | 鈴木則文 |
脚本 |
掛札昌裕 関本郁夫 鈴木則文 |
出演者 |
杉本美樹 池玲子 金子信雄 名和宏 |
音楽 | 八木正生 |
主題歌 | 須藤リカ「冷えた世代」 |
撮影 | 鈴木重平 |
編集 | 堀池幸三 |
製作会社 | 東映(京都撮影所) |
配給 | 東映 |
公開 | 1972年9月29日 |
上映時間 | 79分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
次作 | 恐怖女子高校 暴行リンチ教室 |
『 恐怖女子高校 女暴力教室 』(きょうふじょしこうこう おんなぼうりょくきょうしつ)は、1972年に製作された日本映画。恐怖女子高校シリーズ第1作。旧R指定作品。不良女子高生グループの「抗争」および、学校経営者との対決が描かれる。監督:鈴木則文。
封切り時の同時上映作品は『やくざと抗争』(監督:佐藤純彌 、主演:安藤昇)。
ストーリー
[編集]神戸市の高台に立つ私立女子高校・聖光女子学園3年4組には、激しく対立する2つのスケバングループがあった。一方を率いるのは学園理事長の妾腹・澄子。もう一方のリーダーは「乱世会のおミチ」こと迪子(みちこ)であった。
ある日学園に、かつて「乱れ菊のお由紀」と呼ばれた伝説のスケバン・由紀が転校してきた。由紀は、迪子に喧嘩を売られても応じようとしない。一方的にやられた由紀は、たまたま彼女を介抱した優等生の洋子と、両親がいないという境遇が共通していたことが元で親しくなった。洋子は学校ではおとなしくしていたが、実はクラブでホステスのアルバイトをしており、学園理事長の息子・丈夫と昵懇であった。その後由紀は過去を買われ、澄子のグループに加入する。
澄子らのグループは、手下にした生徒に売春をさせて私腹を肥やしていた。憤激した迪子らは、2人の仲間を澄子グループに潜入させるも計画が露見し、2人は凄惨なリンチに遭う。迪子らは救出のために澄子グループに奇襲をかける。3年4組の担任教師・吉岡が、彼女らの大乱闘をたまたま目撃し、仲裁に入ったため、決着がつかずに終わる。
吉岡を逆恨みした迪子は、吉岡の恋人である女教師・秋子を校外の男友達にさらわせ、吉岡の目の前で襲わせる。そこへ由紀が現れて秋子を救出し、迪子に決闘を申し込む。学園伝統の決闘場であるビーナスブリッジでのタイマン勝負は引き分けに終わり、由紀は生徒手帳を落として立ち去った。生徒手帳には、ある一家心中を報じた新聞記事がはさまっていた。由紀の両親は金貸し・郡大作のために自殺に追い込まれており、郡はその後出世し、聖光女子学園の現理事長に収まっていた。由紀は郡へ復讐するために、聖光学園に転校してきたのだった。
学園の健康診断で、洋子の妊娠が判明する。丈夫は手切れ金を渡し、冷淡に堕胎を勧める。さらに実妹である澄子をけしかけて洋子に暴行を加えさせ、洋子を流産させてしまう。絶望した洋子は、由紀や迪子らの目の前で校舎から飛び降りる。学園側は身寄りのない洋子の死自体をうやむやにしようとし、生徒たちは不信感をつのらせていく。
迪子グループと澄子グループは、決着をつけるため、河原での喧嘩に臨んだ。刃物なしのルールを申し合わせたが、澄子らはナイフを隠し持っており、迪子らは窮地に陥る。そこへ由紀が現れ、寝返って迪子らに加勢する。由紀は澄子に猟銃を突きつけ、「天国の洋子に詫びろ」と詰め寄る。澄子グループは全裸になり、土下座して許しを請う。
ある夜、丈夫は由紀を自宅に誘い、寝室に招く。丈夫が由紀の服を脱がせると入れ墨があり、丈夫はひるんだ。由紀が自分の正体と目的を明かし、そこへ銃を構えた迪子たちが乗り込んだ。銃を突きつけられた丈夫、父親の郡、そして郡の妾でクラブのママ・絹枝の3人は裸にされ、学園の校門の柱にくくりつけられる。
そこへ「退学届」と大書された立て看板を設置し、焚き火を囲んだ迪子・由紀は、セーラー服を火の中に脱ぎ捨てた。
登場人物
[編集]- 聖光女子学園3年4組
-
- 中田 迪子
- 自身のスケバングループ・乱世会を率いる不良。厳格な公務員の家庭に育つが、レイプされたことをきっかけに「あたしが世間を強姦する側になってやる」と誓い、不良道を歩むことになる。そんな過去のために曲がったことが嫌いで、カツアゲや売春で金を稼ぐ澄子たちを嫌っている。
- 尾野崎 由紀
- 岬 洋子
- クラスの優等生。澄子の母・絹枝が経営するクラブで年齢を偽ってアルバイトをしている。両親がおらずひとり暮らしをしており、境遇の重なる由紀と仲よくなる。丈夫に見初められて丈夫の子を宿すも、澄子グループからのリンチのために流産し、ショックのため自殺。
- 福本 澄子
- 聖光学園理事長・郡の娘(丈夫の異母妹)。もうひとつのスケバングループを率いる。大規模な売春クラブを主宰しており、警察の捜査対象になったが、父親の威光のために逮捕を免れる。迪子らとの決闘に敗れ、学園を去る。
- 王 メイ子
- 迪子の仲間。リボンを付けた坊主頭が特徴。
- 伴 団子
- 迪子の仲間。丸メガネとそばかすが特徴。
- 中田 迪子
- 学園関係者
-
- 郡 大作
- 聖光女子学園の理事長。かつては容赦ない取り立てを行う貸金業者であり、由紀ら菊村家を一家心中に追い込んだ。さらなる金儲けをたくらみ、医科大学の設置を自治体に働きかけている。クラブのママ・絹枝を大邸宅に囲い、本宅に帰らずに暮らしている。
- 郡 丈夫
- 学園理事のひとりで、理事長の息子(澄子の異母兄)。絹枝のクラブに通い、従業員を物色しているうち、洋子に出会う。洋子の死後、父親を仇と狙っていると知らずに由紀に迫る。
- 平泉 利根
- 学園長。常に「賢き妻となり優しき母になろう」との校訓を唱えるが、校内の非行は見て見ぬ振りをしている。
- 浜村
- 教頭。常に「性教育研究」という学術雑誌を読みふけっている。
- 山田 隆
- ベテランの数学教師。『日本列島改造論』を愛読している。宿直中にメイ子に迫られ、成績の操作を約束する。
- 吉岡 敬一
- 体罰のために前任地を追われ、聖光女子学園にやって来た若手教師。急遽3年4組の担任を受け持つことになり、迪子たちを体罰で苦しめるが、恋人・秋子が襲われるところを目の前で見せられ、精神的に追い込まれる。
- 北川 秋子
- 若手の女教師。吉岡の恋人。
- 岡
- 学園の健康診断を受け持つ学校医。関西が舞台でありながら、作中で関西弁で話すのは彼が唯一である。洋子の妊娠を最初に見破る。
- 郡 大作
- その他の人物
-
- 福本 絹枝
- 学園近くの繁華街でクラブを経営するママ。理事長の妾で澄子の母親。郡とは貸金業者時代からの付き合いとみられ、由紀による復讐の対象となる。
- 三郎
- バーの経営者。不良少女たちの情報に詳しく、澄子の売春クラブに関して迪子にタレ込みをする。迪子とは金を払って抱き合う関係のため頭が上がらず、迪子の指示で仲間とともに秋子を襲う。
- 森田 善兵衛
- 教育審議会(教育委員会に相当する架空の公的組織)委員長。医科大学の設置認可をめぐり、郡親子の接待攻めに遭う。
- 福本 絹枝
キャスト
[編集]- 茅島瑕子:女屋実和子
- 王メイ子:丘ナオミ
- 大塚真弓:ひろみどり
- 宇田蝶:須藤リカ(クラウンレコード)
- 碧川初枝:碧川ジュン(新人)
- 山田隆:由利徹
- 岡校医:岡八郎
- 三郎:一ノ瀬健(クラウンレコード)
- 平泉利根:松井康子
- 福本絹枝:三原葉子
- 浜村教頭:大泉滉
- 久保田弘子:一の瀬レナ
- 生島マリ子:司京子
- 星野けい子:穂積かや
- 関みどり:川奈良子
- 中川君江:東映子
- 森川正子:松代薫
- 伴団子:園かおる
- 森田善兵衛:中村錦司
- 五代重臣:蓑和田良太
- 北川秋子:榊浩子
- 中田あき(迪子の母):京町一代
- (役名なし):橋本房枝
- (役名なし):山口朝美
- (役名なし):美川玲子
- 中田伺郎(迪子の父):那須伸太朗
- 刑事:有島淳平
- (役名なし):中村とも子
- (役名なし):藤東和子
- (役名なし):前川利江子
- (役名なし 三郎の仲間):白井孝史
- 政公:片桐竜次
- 吉夫:松本泰郎
- 中年男:小田真士
- 中年男:島田秀雄
- ノンクレジット
製作
[編集]キャスティング
[編集]碧川初枝役の新人・碧川ジュンは学習院女子中等部出身のお嬢さんで[1]、マスメディアに取り上げられた[1]。碧川は大阪生まれ。同中学を経て宝塚音楽学校に入学したが中退[1]。テレビのカバーガールをやっていた時、本作のプロデューサー・天尾完次にスカウトされ、本作に抜擢された[1]。天尾は「学習院出身のお嬢さんにしては大した度胸。顔もスタイルもいいし、ポスト・池玲子のナンバーワン」などと褒めちぎった[1]。学習院出身のポルノ女優といえば、本作にも出演する松井康子が先輩で、松井は若い頃は「山本富士子のポルノ版」とも謳われたが[1]、この当時は体重70キロ超と太ってしまい、往年の面影はなく[1]、碧川は「松井さんがおスモウさんみたいに肥えられたので私の出番でしょ」と新人ながら啖呵を切った[1]。
シリーズ
[編集]- 第2作『恐怖女子高校 暴行リンチ教室』
- 第3作『恐怖女子高校 不良悶絶グループ』
- 第4作『恐怖女子高校 アニマル同級生』