御所川原
| ‘御所川原’ | |
|---|---|
.jpg) 1. 果実 | |
| 属 | リンゴ属 Malus |
| 種 | セイヨウリンゴ M. domestica |
| 交配 | 不明 |
| 品種 | ‘御所川原’ |
| 開発 |
 日本 青森県五所川原市、1996年 |
‘御所川原’（ごしょがわら）は、青森県五所川原市のみで栽培されている、リンゴ（セイヨウリンゴ）の栽培品種の一つである。果実は小型、果肉は特に周縁部が赤くなり（図1）、酸味が多い。ジュースやジャムなどに利用されている。‘御所川原’と、これを品種親とした‘栄紅’、‘レッドキュー’はいずれも果肉が赤くなるリンゴであり、まとめて「赤～いりんご」として五所川原市の特産ブランド化されている[1]。
特徴
[編集]一般にリンゴの花は白色だが、‘御所川原’の花は紅色であり、若葉や枝も赤みを帯びている[2][3][1][4]。自家結実率が比較的高い[3]。中生種であり、収穫期は9月下旬[3][5]。
果実は小型で重さ150–200グラムほどであり、長円錐形、果柄は長い[3][5]。果皮の地色は黄色、赤色に色づく[5]。果肉の特に周縁部に、アントシアニンが蓄積して赤くなる[3]。果肉は粗で硬く、甘味もあるが、酸味が強く、渋味もある[3][5][6]。貯蔵性は比較的良い[3][5]。
起源
[編集]梅沢村（現 五所川原市梅田）村長を務めた育種家である前田顕三が、1939年（昭和14年）から20数年をかけて果肉が赤いリンゴを複数系統作出したが、種苗登録する前に亡くなった[1][7][8]。孫の前田榮司がこれを引き継ぎ、さらに青森県五所川原市が3系統を譲り受け、そのうち1つから選抜を行い、特徴が安定していることを確認し、1993年（平成5年）に種苗法に基づく品種登録を出願、1996年（平成8年）に‘御所川原’として登録された（第5077号）[7][3][6]。‘御所川原’は、五所川原市域以外で育成することは禁じられている[6]。2016年以降、苗木の育成・管理は、株式会社アグリコミュニケーションズ津軽に委託されている[6]。
利用
[編集]‘御所川原’の果実は、強い酸味があることから加工用とされ、ジュース、ワイン、ジャム、洋菓子、花茶等が商品化されている[4][9][10][11]。五所川原商工会議所では、‘御所川原’など五所川原市特産の果肉が赤いリンゴ品種を「赤～いりんご」として全国ブランド展開を図っており、中小企業庁の平成20年度「地域資源∞全国展開プロジェクト（小規模事業者新事業全国展開支援事業）」に採択された[1][12]。健康食品、化粧水などの美容関連商品、赤いシードルなどの商品化を支援している[1]。
五所川原市一ツ谷地区には、水路沿いの約1キロメートルに渡って約300本の‘御所川原’が植えられており、「赤〜いりんごの並木道」として観光名所になっている[1][9][13]。
派生品種
[編集]青森県五所川原市において、‘御所川原’を種子親、‘王林’を花粉親とした交配が行われ、実生から選抜育成されたものが‘栄紅’（えいこう）として2016年に品種登録された[7][6]。‘栄紅’の果実は大きさ150–220グラム、果肉が赤く、さっぱりした甘さと、‘王林’のような芳香がある[7]。晩生性であり、収穫期は10月下旬から11月上旬[7]。
また、同じく五所川原市において‘御所川原’を種子親、‘金星’を花粉親とした交配が行われ、実生から選抜育成されたものが‘レッドキュー’として2018年に品種登録された[7][6]。収穫期が9月上旬から中旬の早生性であり、収穫直後の特有の渋みが少ない点で‘御所川原’と異なる[7]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f “青森地域からの便り（令和3年度）”. 東北農政局. 2024年12月20日閲覧。
- ^ JAごしょがわら市 (現：JAごしょつがる)（2009年3月6日閲覧）
- ^ a b c d e f g h “御所川原”. 登録品種データベース. 農林水産省. 2024年12月14日閲覧。
- ^ a b “赤～いりんご 御所川原”. 五所川原市観光協会. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b c d e “御所川原（ごしょがわら）”. りんご大学. 2024年12月14日閲覧。
- ^ a b c d e f “御所川原（ごしょがわら）”. 旬の食材百科事典. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g “赤～いりんご”. 株式会社アグリコミュニケーションズ津軽. 2024年12月21日閲覧。
- ^ YOMIURI ONLINE 旅ゅーん（2024年12月20日閲覧）
- ^ a b “りんごの花びらまで赤く染まる「赤～いりんごの並木道」”. まるごと青森. 青森県 (2013年3月20日). 2024年12月14日閲覧。
- ^ “五所川原特産の美容に良いりんごを思いっきり味わう旅に出よう！”. JR東日本. 2024年12月14日閲覧。
- ^ “五所川原地域ブランド”. 五所川原市. 2024年12月14日閲覧。
- ^ 「地域資源∞全国展開プロジェクト」平成20年度採択案件一覧表（商工会議所分）（2009年3月6日閲覧）
- ^ “赤～いりんご 花も赤～く／五所川原”. 陸奥新報. (2020年5月9日)
外部リンク
[編集]- “御所川原”. 登録品種データベース. 農林水産省. 2024年12月14日閲覧。
- “御所川原（ごしょがわら）”. りんご大学. 2024年12月14日閲覧。
- “赤～いりんご 御所川原”. 五所川原市観光協会. 2024年12月21日閲覧。
- “赤～いりんご”. 株式会社アグリコミュニケーションズ津軽. 2024年12月21日閲覧。
- “青森県五所川原市 特産の「赤〜いりんご」収穫始まる”. NHK. (2024年9月13日)
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