後藤安彦
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後藤 安彦(ごとう やすひこ、1929年5月28日 - 2008年2月16日)は、日本の翻訳家、歌人。本名、二日市 安。
人物・来歴
[編集]生来の脳性麻痺のため、堺市立熊野国民学校卒業後は自宅で暮らす。少年期から青年期にかけては幽閉同然に大分県で育った。1958年に桐三樹夫の推挙で短歌結社「中央線」入会。1964年に結社新人賞、1972年に作品賞を受賞[1]。数か国語を独学で学び、翻訳家となる。ジョン・ガードナーやトマス・チャステイン(Thomas Chastain)など、推理小説を翻訳。障害者運動にも積極的に活動した。「車椅子の国会議員をつくる会」を立ち上げて代表をつとめようとしたこともあるが、すぐにつぶれたという。
代表的な著書に、妻であった小説家の仁木悦子をつづったエッセイ『猫と車イス 思い出の仁木悦子』がある。
また足利光彦の筆名でポルノ小説の翻訳をしていた。
著書
[編集]- 『沈め夕陽 歌集』(中央線事業部) 1973
- 『私的障害者運動史』(二日市安名義、たいまつ新書) 1979.11
- 『逆光の中の障害者たち 古代史から現代文学まで』(千書房) 1982.6
- 『猫と車イス 思い出の仁木悦子」(早川書房) 1992.11
- 『障害者』(現代書館) 1995
- 『短歌でみる日本史群像』(現代書館) 2003.3
翻訳
[編集]- 『ペーパーバック・スリラー』(リン・メイヤー、早川書房) 1977.3
- 『ワインは死の香り』(リチャード・コンドン、早川書房) 1977.10、のち文庫
- 『明日への滑走路』(ロバート・J・サーリング、早川書房) 1979.5
- 『オパールは死の切り札』(リチャード・コンドン、早川書房) 1980.1、のち文庫
- 『ロマノフ家の金塊』(ブライアン・ガーフィールド、早川書房) 1983.4、のち文庫
- 『青銅ランプの呪』(カーター・ディクスン、創元推理文庫) 1983.12
- 『十五時間の核戦争』(ウィリアム・プロクノー、ハヤカワ文庫) 1985.11
- 『イリューシン18の脱出』(ジェラルド・シーモア、ハヤカワ文庫) 1986.6
- 『サン・アンドレアス号の脱出』(アリステア・マクリーン、早川書房) 1986.10
- 『誕生パーティの17人』(ヤーン・エクストレム、創元推理文庫) 1987.1
- 『ゴールド1 / 密室』(ハーバート・レズニコウ、創元推理文庫) 1987.9
- 『裏切りの暗殺集団』(ジェームズ・パタースン、文春文庫) 1987.3
- 『影の帝国を撃て』(ジョン・ヘイル、ハヤカワ文庫) 1987.9
- 『シャドー・マフィア』(ジャスティン・スコット、角川文庫) 1987.10
- 『ゴールド2 / 死線』(ハーバート・レズニコウ、創元推理文庫) 1988.12
- 『狩られる男』(J・K・メイオ、ハヤカワ文庫) 1988.8
- 『レストレード警部と三人のホームズ』(M・J・トロー、新潮文庫) 1989.5
- 『狼の首』(J・K・メイオ、ハヤカワ文庫) 1989.10
- 『第二の深夜』(アンドルー・テイラー、文春文庫) 1990.4
- 『ロシアン・メッセージ』(ジャスティン・スコット、角川文庫) 1990.1
- 『<大天使>作戦を撃破せよ』(ニック・クック、早川書房) 1991.7
- 『クラム・ポンドの殺人』(ダグラス・カイカー、新潮文庫) 1991.7
- 『オイル・タンカー炎上す』(ブライアン・キャリスン、ハヤカワ文庫) 1991.4
- 『反撃の海峡』(ジャック・ヒギンズ、早川書房) 1992.1、のち文庫
- 『大統領候補の犯罪』(ダグラス・カイカー、新潮文庫) 1992.9
- 『タイタニックに何かが』(ロバート・J・サーリング、早川書房) 1992.10.
- 『ファーザーランド』(ロバート・ハリス、文春文庫) 1992.11
- 『特殊作戦ヘリ、侵入せよ』(ニック・クック、ハヤカワ文庫) 1993.6
- 『プリッツィズ・ファミリー』(リチャード・コンドン、新潮文庫) 1993.3
- 『聖戦への鍵』(ゴードン・トマス、ハヤカワ文庫) 1993.4
- 『P47サンダーボルト戦闘機隊 名戦闘機隊長ゼムケ大佐、語る』(ロジャー・A・フリーマン、早川書房) 1994
- 『客船ブラック・シー応答なし』(リチャード・セットロウ、ハヤカワ文庫) 1994.3
- 『最後の目撃者』(スティーヴン・サイクス、ハヤカワ文庫) 1995.7
- 『暗号機エニグマへの挑戦』(ロバート・ハリス、新潮文庫) 1996.9
- 『ラスト・ドン』(マリオ・プーヅォ、早川書房) 1996.12、のち文庫
- 『灰の中の名画』(フィリップ・フック、ハヤカワ文庫) 1996.5
- 『ジェニーのいた庭』(ダグラス・プレストン、ハヤカワ文庫) 1997.6
- 『星条旗への謀叛』(デイヴィッド・キャラハン、早川書房) 1997.10
- 『言いなりになった女 夫の連続レイプ殺人を助けた妻』(スコット・バーンサイド,アラン・ケアンズ、ハヤカワ文庫) 1998
- 『マクマホン・ファイル』(ジョーン・ディディオン、文藝春秋) 1998.7
- 『オイディプースの放浪 テーバイへの道』(ヘンリー・トリース、創元推理文庫) 1999.2
- 『アルハンゲリスクの亡霊』(ロバート・ハリス、新潮文庫) 2000.5
- 『怪しい科学者の実験ガイド スライムから反重力機械まで、一味違う工作教えます』(ジョーイ・グリーン、ハヤカワ文庫) 2003.3
トマス・チャステイン
[編集]- 『パンドラの匣』(トマス・チャステイン、早川書房) 1978.1、のち文庫
- 『ダイヤル911』(トマス・チャステイン、早川書房) 1978.4、のち文庫
- 『マンハッタンは闇に震える』(トマス・チャステイン、早川書房) 1980.12
- 『16分署乗取り』(トマス・チャステイン、早川書房) 1981.11
- 『子供たちの夜』(トマス・チャステイン、早川書房) 1983
- 『誰がロビンズ一家を殺したか?』(トマス・チャステイン,ビル・アドラー、早川書房) 1984.1
- 『ロビンズ一家の復讐』(トマス・チャステイン,ビル・アドラー、早川書房) 1984.10
レン・デイトン
[編集]- 『爆撃機』(レン・デイトン、早川書房) 1979.11
- 『SS - GB』(レン・デイトン、早川書房) 1980.9、のち文庫
- 『スパイ・ストーリー』(レン・デイトン、早川書房) 1981.9、のち文庫
- 『トゥインクル・トゥインクル・リトル・スパイ』(レン・デイトン、早川書房) 1984.5、のち文庫
- 『グッバイ、ミッキー・マウス』(レン・デイトン、ハヤカワ文庫) 1985.3
- 『宣戦布告』(レン・デイトン、ハヤカワ文庫) 1990.5
ジョン・ガードナー
[編集]- 『裏切りのノストラダムス』(ジョン・ガードナー、創元推理文庫) 1981.7
- 『ベルリン二つの貌』(ジョン・ガードナー、創元推理文庫) 1982.11
- 『沈黙の犬たち』(ジョン・ガードナー、創元推理文庫) 1984.6
- 『独立戦争ゲーム』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1986.6
- 『不死身な奴はいない』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1988.7
- 『消されたライセンス』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1989.8
- 『覚悟はいいかね、ボンド君』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1991.2
- 『スコーピアスの謎』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1992.8
- 『ミソサザイ作戦準備完了』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1994.11
- 『紳士らしく死ね』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1995.10
- 『マエストロ』(ジョン・ガードナー、創元推理文庫) 1995.7
- 『ゴールデンアイ』(ジョン・ガードナー、文春文庫) 1995.12
「目で見る世界の国々」シリーズ
[編集]- 『オーストリア』(トム・ストライスグス、国土社、目で見る世界の国々) 1993
- 『オランダ』(メアリー・M・ロジャーズ、国土社、目で見る世界の国々) 1994.2
- 『ベルギー』(メアリー・M・ロジャース、国土社、目で見る世界の国々) 1995.2
- 『ポーランド』(トム・ストライスグス、国土社、目で見る世界の国々) 1995.2
- 『ノルウェー』(グレッチェン・ブラットヴォルド、国土社、目で見る世界の国々) 1996.1
- 『ルーマニア』(トム・ストライスグス、国土社、目で見る世界の国々) 1996.1
- 『デンマーク』(フィリス・L・シュスター、国土社、目で見る世界の国々) 1996.2
- 『アイスランド』(メアリー・M・ロジャース、国土社、目で見る世界の国々) 1996.9
- 『ブルガリア』(メアリー・M・ロジャース、国土社、目で見る世界の国々) 1998.12
足利光彦名義
[編集]- 『ペピの体験』(フェリックス・ザルテン、富士見ロマン文庫) 1977.7
- 『みだらな女』(富士見ロマン文庫) 1978.6
- 『パール傑作選 2』(富士見ロマン文庫) 1979.10
- 『禁断の果実』(富士見ロマン文庫) 1981.3
- 『愛欲のロマンス』上・下(富士見ロマン文庫) 1984.12
- 『肉蒲団』上・下(李笠翁、富士見ロマン文庫) 1986.5
脚注
[編集]- ^ 私の第一歌集 上巻. ながらみ書房. (1992-2-14)