幌内新聞事件
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最高裁判所判例 | |
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事件名 | 昭和二五年政令第三二五号違反 |
事件番号 | 昭和27(あ)2011 |
1955年(昭和30年)4月27日 | |
判例集 | 刑集第9巻5号947頁 |
裁判要旨 | |
昭和二〇年九月一〇日付連合国最高司令官の「言論及び新聞の自由」と題する覚書第三項の「連合国に対する虚偽又は破壊的批評及び風説」を「論議すること」を禁止する部分及び同年九月一九日付同司令官の「新聞規則」と題する覚書第三項の「連合国に対する虚偽又は破壊的批評」を「行う」ことを禁止する部分についての昭和二五年政令第三二五号違反の罪は講和条約発効後においては、刑の廃止があつたものとして免訴すべきである。 | |
大法廷 | |
裁判長 | 田中耕太郎 |
陪席裁判官 | 真野毅、小谷勝重、島保、斎藤悠輔、藤田八郎、谷村唯一郎、井上登、栗山茂、岩松三郎、河村又介、小林俊三、本村善太郎 |
意見 | |
多数意見 | 真野毅、小谷勝重、島保、藤田八郎、谷村唯一郎 |
意見 | 井上登、栗山茂、岩松三郎、河村又介、小林俊三 |
反対意見 | 田中耕太郎、斎藤悠輔、本村善太郎 |
参照法条 | |
「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件「昭和20年勅令542号),占領目的阻害行為処罰令(昭和25年政令325号)1条,占領目的阻害行為処罰令(昭和25年政令325号)2条,昭和20年9月10日付連合国最高司令官覚書「言論及ビ新聞ノ自由ニ関スル件」3項,昭和20年9月10日付連合国最高司令官覚書「新聞規則」3項,刑訴法337条2号,刑訴法411条5号,ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律(昭和27年法律81号),ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関連諸命令の措置に関する法律(昭和27年法律1137号)2条6号,ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く法務府関連諸命令の措置に関する法律(昭和27年法律1137号)3条,憲法21条 |
幌内新聞事件(ほろないしんぶんじけん)は政令325号に絡む日本の事件[1]。
概要
[編集]1951年(昭和26年)1月7日に北海道在住のXが幌内炭鉱寮の寮長に対して連合国に対する破壊的批判をもった記事を掲載した日本共産党幌内細胞機関紙『幌内新聞』1部を配布したとして起訴され、同年6月14日に札幌地方裁判所で懲役1年の判決が下り、1952年(昭和27年)2月25日に控訴が棄却された[1]。Xは上告した[1][2]。
1955年(昭和30年)4月27日に最高裁判所大法廷は政令325号を「憲法外における法的効力を有するもの」としつつ、占領終了後の占領法規の位置付けについては以下のような見解に分かれた[1][3]。
- 政令325号は平和条約発効とともに失効したから、政令325号違反事件は犯罪後の法令により、刑が廃止された場合にあたるとして免訴とする全面的違憲免訴の立場(真野毅、小谷勝重、島保、藤田八郎、谷村唯一郎の意見)
- その政令に内実をなす最高司令官の指令を検討し、違憲であれば免訴になるとする一部免訴説の立場(井上登、栗山茂、岩松三郎、河村又介、小林俊三の意見)
- 刑事訴訟法第411条第5号は刑罰廃止の国家意思が発言された場合を指すものと解し、本件にはそれがないとして有罪判決を維持して上告棄却とする有罪説の立場(田中耕太郎、 斎藤悠輔、本村善太郎の意見)
本件については13人中10人が1及び2の立場を取ったことでXに免訴判決が言い渡された[2]。
この判決によって、政令325号に関する最高裁の判例は全部出そろったことになった[2]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 憲法判例研究会 編『憲法』(増補版)信山社〈判例プラクティス〉、2014年6月30日。ASIN 4797226366。ISBN 978-4-7972-2636-2。 NCID BB15962761。OCLC 1183152206。全国書誌番号:22607247。