市民活動
市民活動(しみんかつどう)とは、政治的または社会的な問題の解決を目指して[1]、市民団体の構成員が特定の共通目的を達成しようとする[2]政治運動、あるいは社会運動である[3]。
概要
[編集]- 日の丸 君が代反対[4][5][6]、慰安婦問題[7][8]、歴史教科書採択反対[9][10][11][12]、反基地 反戦活動[13][14]、イラク復興人道支援反対[15]、野党共闘[16][17]、平和安全法制反対[18][19]、脱石炭[20]、原子力発電反対[21][22]、太陽光発電反対[23]、国葬反対[24][25]、肉食反対[26]、靖国参拝反対[27][28]、Windows反対など、活動の幅は広い。
- 代表性の問題とは、市民活動において、市民の名で行われるものが、常に全ての市民を代表するものとは限らず[29]、市民活動が特定の少数派の意見(いわゆるノイジー・マイノリティ。大声で主張する少数派)によって偏った方向に活動が誘導される可能性を指摘したものである。
- 公益性の問題とは、活動の受益者がどの範囲に及ぶのかという問題である。直接的受益者、間接的受益者(正の外部性の受益者)を含めて議論される。たとえ、活動による直接的受益者が限定されていても、広範な間接的受益者(正の外部性)があれば、公共性が容認される場合がある。
- 自治体が特定の活動につきボランティアを募集した場合などは、交通費などを、最低限の必要経費として支給することもある。また市民活動支援施策として、自治体が活動の一部を資金的、物質的に援助することも多い。しかし、日本におけるその市民活動の規模と資金力は後述の欧米などと比べると極めて小さい。これはアメリカにおいて非課税である個人・団体の市民活動への寄付が、日本では課税されるという点が市民活動を発展を妨げていると指摘する研究者もいる。
- 住民運動とも呼ばれることがあるが、住民運動は地縁によるつながりが、より重視される点で異なる。
市民活動の権利と義務
[編集]市民活動は権利を主張すると同時にそれによって生じた義務を負う。市民活動が始まった欧米諸国においては、市民は意見を述べるとともに、生活等への制約や負担を受け入れるということが前提とされてきた[30]。
NPO法人の合流
[編集]特定非営利活動促進法の改正に伴い、NPO法人は市民活動法人として市民活動を強調するようになる予定である。
市民活動史
[編集]日本における市民活動は、1970年代の公害反対運動や消費者運動を契機に一般的なものと定着した。当時は、学園闘争の直後で、同志婚をし、社会人になった者も多かった。彼らは、地域社会からの変革を訴え、革新自治体を生み出す原動力になった。
近年では、尼崎市、生駒市、逗子市や箕面市、宮崎県のように、革新自治体とは異なる市民派や虹と緑と呼ばれる市民運動、また政党ではなく市民活動をベースにした政治活動(例:生活協同組合が母体の「生活者ネットワーク」)によって、首長や議員に当選するケースも見られる。
市民活動と民族問題
[編集]市民活動において、活動主体が当該国の国民であるとは限らない。多くの国家は内部に、複数のエスニックグループを抱えている。そのため、エスニックグループがそれぞれの民族、文化、宗教観を表明したり、当国での生活を維持したりすることを目的に民族系市民活動を形成するものがある。しかし、民族系市民活動は、国際紛争、民族対立、多数派民族との対立のなかで翻弄される場合がある。
日本においても、民族・宗教的価値観の表明、生活保全のために日本人以外が中心となり行う市民活動・団体がある。
各国の実情
[編集]アメリカ合衆国では、青少年、高齢者に市民活動への参加を推奨しており、そのプログラムはアメリコー(Corporation for National Service AmeriCorps)と呼ばれている。これは、国策で青少年を海外にボランティアを派遣している平和部隊(PeaceCorps)のアイディアを国内の困窮者、障害者、高齢者やコミュニティ活動などに振り向けたものである。ボランティアによって、こういった国内の活動コアを作るという着想によって推進されている。市民団体のごく一部には、業界をバックにもつ圧力団体ロビイスト、過激な活動を繰り広げる自然保護・環境保護団体も存在し、市民運動の発達したアメリカらしさともいえる。
北欧諸国では市民活動をイデオロギー(w:Popular Socialism)に掲げる政党があり、一定の議席数を維持している。彼らは社会民主主義ともユーロコミュニズムとも異なるイデオロギーであると述べている。詳細は社会党 (デンマーク) - 社会党 (ノルウェー) - 左翼党 (スウェーデン)を参照
出典
[編集]- ^ 大辞林 第三版 コトバンク. 2018年10月28日閲覧。
- ^ 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク. 2018年10月28日閲覧。
- ^ デジタル大辞泉 コトバンク. 2018年10月28日閲覧。
- ^ 日本共産党 しんぶん赤旗 2005.04/01「日の丸・君が代 強制反対のビラ配り 警察の不当な干渉告発」
- ^ 中國新聞ヒロシマ平和メディアセンター 2017.02/27「国旗掲揚などの強制防止求める 広島県教委に市民団体」
- ^ 全国教育問題協議会 2016.03/18 「国歌斉唱に反対する市民団体が小中学校にメール配信」
- ^ ハンギョレ新聞 2018.01/27 「日本の市民団体、慰安婦問題は外交でなく人権問題」
- ^ 共同通信 2022.09/04「『性暴力防止に継承重要』慰安婦問題の市民団体集会」
- ^ ハンギョレ新聞 2015.04/09「韓日教科書関連の4つの市民団体 日本で正しい歴史認識の教科書採択運動展開」
- ^ 聯合ニュース 2011.09/16「韓国の市民団体「つくる会」系の教科書拡大を警戒」
- ^ 教科書ネット・呉「2つの市民団体「育鵬社版歴史・公民教科書の撤回を求める市民の会」と「教科書問題を考える呉の会が合体」
- ^ 公安調査庁「内外情勢の回顧と展望 (平成18年1月)」
- ^ 十勝毎日新聞 2022.09/14「共産党系市民団体 オスプレイ参加の日米共同訓練中止の申し入れ」
- ^ 東京新聞 2022.12/07「立川自衛隊監視テント村50年 ヘリが飛び交う街で、活動に携わってきた人たちの思いを聞いた」
- ^ 公安調査庁「内外情勢の回顧と展望(平成18年1月)」
- ^ TBS News DIG 2023.06/29「野党共闘の実現 市民団体が訴え 野党には距離感も 山梨」
- ^ 埼玉新聞 2021.10/04「衆院選 野党共闘を狙う市民団体「つなぐ埼玉の会」が集会 立民、共産、社民、れいわの候補予定者ら参加」
- ^ 東京新聞 2020.09/26「野党共闘実現へ政策要望書 安保関連法訴える市民団体」
- ^ 朝日新聞 2016.04/20「県内の九つの市民団体と個人が市民連合を結成 野党の共闘支援」
- ^ しんぶん赤旗 2021.06/11「脱石炭・原発 市民の声 環境団体 政府に署名27万人分提出」
- ^ 中日新聞 2022.07/30「原発再稼働に反対を 市民団体が知事に要望書」
- ^ しんぶん赤旗 2023.03/07「原発回帰を許さない 共産党国会議員団 市民団体と意見交換」
- ^ キヤノングローバル戦略研究所 2023.01/17「学者も市民団体もみんな大反対 東京都「太陽光パネル義務化」
- ^ 日本共産党東京都委員会 2022.08/31「国葬反対 市民団体多彩な取り組み」
- ^ 共同通信 2022.09/19「国葬反対 抗議集会1万3千人 東京・代々木公園、デモ行進も」
- ^ AbemaTV「ヴィーガンが小学校前で血だらけの動物の死体を展示して肉食に抗議 当事者に聞く」【動画】
- ^ 沖縄タイムス 2018.08/12「靖国神社に反対 日韓の市民団体が集会」
- ^ しんぶん赤旗 2008.08/05「靖国参拝中止せよ 石原知事に都民51団体」
- ^ 産経新聞 2017.03/21「テロ等準備罪 民進、共産、市民団体『話し合うだけで罪』と扇動に必死」
- ^ 『日本の食と農』 神門善久著 NTT出版 2006年6月