巾着田
巾着田(きんちゃくだ)は、埼玉県日高市高麗本郷(こまほんごう)に位置し、高麗川が南向きに大きく蛇行することで形成された巾着のような形状の平地である。現在は、500万本に昇るとされるヒガンバナ(彼岸花、曼珠沙華:マンジュシャゲ)の名所として知られる[1]。
概要
[編集]地元では川原田と呼ばれている。「高麗(こま)」の地名は、716年(霊亀2年)に朝鮮半島からやって来た渡来人がこの地に移住し、高麗郡が設置されたことに由来する[2]。
昔は文字通り水田が広がり、その面積は約17ヘクタール(17万平方メートル)に及んでいた。昭和40年代に当時の日高町が巾着田を取得し、昭和50年代~60年代ごろに草藪の草刈りをしたところ、大規模なヒガンバナの群生が見られるようになり、報道が始まったことで、有名スポットとなった。河川の蛇行や氾濫により上流部から土砂とともに球根が流れ着いたものと考えられている。1996年には日本一の木製トラス橋「あいあい橋」が完成した。グラウンドや駐車場など観光地として設備されるようになった[3]。
河原では季節を問わずキャンプを楽しむ人が多く見られる。特に夏場は、弧を描く川の内側は流れが緩やかであるためか、小さな子ども連れの家族で賑わっている。
毎年9月〜10月にかけて高麗川沿いの河川敷にある5.5ヘクタールの群生地にヒガンバナが見頃となる(「500万本の曼珠沙華」[4]を標榜する)。日本一のヒガンバナ群生地であり、祭り等も開催されたくさんの観光客で賑わう。近年[いつ?]ことに西武鉄道の宣伝[5]などによりさらに観光客が増える傾向にある。またヒガンバナ以外にも春にはサクラや菜の花が見頃を迎える。夏になるとアジサイやハスが、秋には、コスモスも見ることができる。また、カワセミやムササビなど、さまざまな種類の野鳥や小動物を観察することもできる。
このため巾着田を含む高麗郷(こまごう)一帯は、埼玉県や東京都にある西武鉄道沿線などの学校から遠足の行き先として選ばれることも多い。日高市はこれを観光振興に生かすため、2017年4月8日に「遠足の聖地」を宣言した[6]。巾着田の曼珠沙華は2000年(平成12年)5月5日には、埼玉新聞社の「21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選」に選出された[7]。
「巾着田曼珠沙華公園」として、2005年からヒガンバナの開花期間中は整備費用に充てるため入場料を徴収している(巾着田管理協議会)。
2020年(令和2年)・2021年(令和3年)には新型コロナウイルス感染の予防の観点から「巾着田曼珠沙華まつり」は中止され、曼珠沙華も開花前に刈り込まれたが[8][9]、2022年(令和4年)・2023年(令和5年)は開催された[10]。
行幸啓
[編集]2017年(平成29年)9月20日に、天皇、皇后が、在位中8度目の私的旅行として訪れた。直前には高麗神社を参拝し、高麗家住宅を視察している。翌日は深谷市の渋沢栄一記念館などを訪問している[11][12]。
所在地(管理事務所)
[編集]- 住所:〒350‐1251 日高市大字高麗本郷125-2
交通
[編集]ヒガンバナのシーズンには周辺道路が渋滞するので、注意が必要である。また、同シーズンには西武鉄道が特急列車の臨時停車や、臨時列車を運行することもある[13]。また、ヒガンバナのヘッドマークをあしらった列車も運行する。
- 公共交通
- 道路
- 国道299号 - 埼玉県道15号川越日高線沿い
- ヒガンバナのシーズンは巾着田内に臨時駐車場が整備される。
風景
[編集]-
春の巾着田
-
夏の巾着田
-
秋の巾着田
-
冬の巾着田
-
ソバ畑と日和田山
-
アマクリナム畑
-
巾着田のヒガンバナ
-
コスモス畑と日和田山
-
馬牧場
-
あいあい橋(日本最大級の木造トラス橋)
-
高麗川に架かるドレミファ橋(流れ橋)
-
ウメの木から育っているヒガンバナ
周辺
[編集]巾着田は県立奥武蔵自然公園に位置し、周辺には高麗神社を始めとした名所が点在する。また、巾着田駐車場から、標高305m、日高市のシンボルとして親しまれている日和田山に登るハイキングコースも整備されている。
- 高麗神社
- 高麗家住宅(国の重要文化財) - 高麗神社に隣接
- 高麗山聖天院勝楽寺 - 高麗王若光の菩提寺
- 瀧不動尊
- 高麗郷古民家(旧新井家住宅) - 国の登録有形文化財(建造物)
- 野々宮神社
- 台の高札場跡
- 満蔵寺
- 高麗村石器時代住居跡-縄文時代の竪穴建物の遺構(国の史跡)
- 高麗郷民俗資料館
- 宮沢湖
- ハイキングコース
- 奥武蔵自然歩道(11.3 km)
- ふるさと歩道(10.4 km)
- 日和田山
- 高麗川横手渓谷
- 駅舎風物置「こおばんち」[1][14] - 私設の鉄道保存展示施設
- JAいるま野日高中央直売所[2]
-
高麗家住宅
-
高麗山 聖天院 勝楽寺
-
瀧不動尊
-
高麗郷古民家
-
満蔵寺
-
高麗村石器時代住居跡
-
高麗郷民俗資料館
脚注
[編集]- ^ “ひだか巾着田公式サイト”. 日高市. 2023年9月30日閲覧。
- ^ “高麗郡建郡1300年の歴史と文化”. 日高市. 2023年9月30日閲覧。
- ^ 巾着田
- ^ “再調査で「500万本」 埼玉・日高のマンジュシャゲ”. 朝日新聞社 (2013年9月15日). 2013年9月15日閲覧。
- ^ 西武鉄道で行く 曼珠沙華2012 - 西武鉄道(西武鉄道で行く花さんぽ)
- ^ “「遠足の聖地」宣言”. 日高市ホームページ. 2017年4月23日閲覧。
- ^ “21世紀に残したい・埼玉ふるさと自慢100選”. 日本百選 都道府県別データベース. 2019年5月6日閲覧。
- ^ http://www.kinchakuda.com
- ^ https://onsennews.com/news180820_kincyakuda_manjyusyage/
- ^ “2023年巾着田曼珠沙華まつり特設サイト”. 日高市. 2023年9月30日閲覧。
- ^ 両陛下、私的旅行で埼玉・高麗神社を参拝 - 読売新聞 2017年09月20日 15時34分
- ^ 両陛下が埼玉へ私的旅行 日高の高麗神社、見頃のヒガンバナを見て回られる 大勢の市民ら歓迎 - 埼玉新聞 2017年09月20日
- ^ 特急レッドアロー号の一部が高麗駅に臨時停車・増発します。 (PDF) (ニュースリリース第12-040号) - 西武鉄道株式会社
- ^ ひだかの魅力再発見 (PDF) - 広報ひだか、2013年5月1日
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 日高市・曼珠沙華の里「巾着田」公式ホームページ
- 日本一のヒガンバナ群生「巾着田」の誕生秘話(東洋経済オンライン 森川孝郎)
- 巾着田付近の空中写真(1998年11月3日撮影) - 地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院)
- 高麗川 巾着田 全国バーベキュー&キャンプ場2011 - るるぶ.com
座標: 北緯35度52分53.2秒 東経139度18分37.4秒 / 北緯35.881444度 東経139.310389度