コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

川熊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
川熊の伝わる秋田県・雄物川

川熊(かわぐま)は秋田県雄物川流域に現れたとされる妖怪[1]菅江真澄による江戸時代の書物『月乃出羽路』に記述がある[2]

概要

[編集]

猟師が雄物川で猟をしていた最中に、川の中から真っ黒な毛だらけの手が現れ、殿様の鉄砲を奪った。悪戦苦闘の末に家来が、雄物川でも最大の真所といわれる洪福寺淵という場所に潜り、川熊から鉄砲を取り返し、その鉄砲はのちに「川熊の鉄砲」「川熊の御筒」と呼ばれるようになったという[1][2]

また別の話では、ある船頭が雄物川の岸に船をつけたところ、水音と共に何者かが船の淵に手を掛けたので、驚いてナタで斬り落としたところ、それは猫の前足のようなものであり、雄物川下流の河辺郡川添村椿川(現・秋田市雄和)で川熊の手として残されたという[2]

文政10年(1827年)には中津川で鼠色で光沢のある川熊が捕獲され、名古屋で見世物にされたが、その際に「川は水に縁があるので、雨にならないように」との理由で「猪熊(いのくま)」と名づけられたという[3]

信濃川では、これと同発音の河熊なる妖怪が堤を切って大水をもたらすといい、「あの土手が潰れたのは河熊の仕業だ」などと言うそうである。この信濃川の河熊がどのようなものかは、伝承に残っていない[2]

脚注

[編集]
  1. ^ a b 水木しげる『妖怪大図鑑』講談社〈講談社まんが百科〉、1994年、96-97頁。ISBN 978-4-06-259008-2 
  2. ^ a b c d 村上健司編著『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、123頁。ISBN 978-4-620-31428-0 
  3. ^ 千葉幹夫『妖怪お化け雑学事典』講談社、1991年、96頁。ISBN 978-4-06-205172-9 

関連項目

[編集]