山古志 (長岡市)
山古志地域 やまこし | |
---|---|
国 | 日本 |
地方 |
中部地方、北陸地方 甲信越地方 |
都道府県 | 新潟県 |
自治体 | 長岡市 |
旧自治体 | 山古志村 |
面積 |
39.83km² |
世帯数 |
358世帯 |
総人口 |
809人 |
人口密度 |
20.31人/km² |
隣接地区 |
市内: 長岡地域、栃尾地域 市外: 小千谷市、魚沼市 |
長岡市役所山古志支所 | |
北緯37度19分35.7秒 東経138度53分24秒 / 北緯37.326583度 東経138.89000度座標: 北緯37度19分35.7秒 東経138度53分24秒 / 北緯37.326583度 東経138.89000度 | |
所在地 |
〒947-0204 新潟県長岡市山古志竹沢乙461 |
特記事項:2005年長岡市へ編入 |
山古志(やまこし)は、新潟県長岡市の南東部に位置する地域。2005年4月1日に同市に編入合併された旧山古志村に相当する。
概要
[編集]丘陵地の斜面に広がる森林と棚田、ニシキゴイの養殖、そして「牛の角突き」と呼ばれる闘牛など「日本の原風景が残る村」を観光資源としてPRしている[2]。周辺の中山間地域と合わせて二十村郷(にじゅうむらごう)とも呼ばれており[3]、この地域は「雪の恵みを活かした稲作・養鯉」として日本農業遺産に登録されている。
2004年10月23日に発生した新潟県中越地震により甚大な被害を受けた山古志村は全村避難となり[4]、隣接する長岡市などでの避難生活を余儀なくされた。避難指示の解除後は各集落で住宅の再建や修繕が行われた。木籠集落や楢ノ木集落など、村内で移転して再建した集落もあるほか、村内には復興モデル住宅として景観に配慮した下見板張りと漆喰調の白壁の公営住宅が建設された[5]。しかし震災以降に地域外へ生活拠点を移した世帯も多く、域内の高齢化は深刻である。
地理
[編集]四方を低山で囲まれており、傾斜地の割合が高いことから棚田が古くから発達した。
中越地震で発生した地滑りは河道閉塞によって地域内各地に天然ダムを形成し、現在も芋川流域などに確認することができる。
全域が特別豪雪地帯に指定されており、住宅は1階をRC造の倉庫や車庫としてその上に木造の2、3階を置く高床式のものが多い[5]。
歴史
[編集]- 2004年
- 2005年
- 2006年
- (時期不明) - 新潟県立長岡農業高等学校山古志分校が閉校する[8]
- 8月12日 避難指示解除(油夫)[7]
- 9月1日 - 山古志支所開所式。同日、コミュニティバス(後のクローバーバスとは異なる)が運行を開始する[7]
- 2007年
- 2008年
- 2009年
- 2013年 10月23日 - やまこし復興交流館 「おらたる」 開館[14]
- 2019年 3月17日 - 国土交通省による県内初の自動運転サービス実証実験が行われる[15]
- 2022年
行政
[編集]旧・山古志村役場が山古志支所となり、市民サービス窓口を開設している。
合併後、山古志地域のすべての地名には「古志」が冠されたが、2006年7月、NHKドラマ『こころ』や中越地震などで知名度が高くなった「山古志」の地名を復活させたいという多くの地域住民・旧村民の声を受けて、長岡市議会に提議された町名変更の議案が可決された。これにより同年11月1日から山古志地域の住所表記に「山古志」の名が1年8か月ぶりに復活することとなった(例:長岡市古志虫亀→長岡市山古志虫亀)。
経済
[編集]産業
[編集]金融機関
[編集]教育
[編集]村域内には小学校と中学校分校が各1校所在し、山古志竹沢に両校を併設した校舎が設けられている。
交通
[編集]公共交通
[編集]NPO団体「中越防災フロンティア」によるコミュニティバス、クローバーバスが地域内の運行を継続している[21]。 2020年に至るまで地域内を経由する鉄道路線は無いため、域外から訪れる場合は路線バスとクローバーバスの乗り継ぎ、タクシーもしくは自家用車でのアクセスとなる。
最寄り駅は長岡駅、宮内駅、小千谷駅、越後川口駅、越後広瀬駅など。
2010年代以降は配車サービスによるライドシェアや自動運転車の実証実験が行われている[22][23]。
道路
[編集]村域内には高速道路が経由する箇所は無い。最寄りのインターチェンジは関越自動車道の小千谷ICとなる。 現在も国道352号など未成区間が残存している道路や、一部県道には冬季間全面通行止となる区間がある。 中越地震では村域内の多くの幹線道路が寸断された。
- 一般国道
- 県道(主要地方道、一般県道)
観光
[編集]名所・旧跡・観光スポット
[編集]多数の農産物直売所が設けられていることが特筆される[24][25]。
- 牛の角突きの習俗(国の重要無形民俗文化財)
- 錦鯉(錦鯉発祥の地)
- 棚田・棚池
- 山古志アルパカ村[26]
- 古志高原スキー場
- 四季の里古志
- 民俗資料館
- 種苧原温泉
- あまやち会館
- 中山隧道
- 二十村郷の石仏群
- 中越メモリアル回廊(震災メモリアル施設)
祭事・催事
[編集](この節の出典:[28])
- 古志の火まつり - 3月
- 山古志闘牛大会 - 冬季を除く通年
出身有名人
[編集]デジタル住民(デジタル村民)
[編集]2021年12月に発足した「山古志住民会議」では、地元の特産品である錦鯉をモチーフとしたNFTを発行、中越大震災からの復興や地域おこしを目的としたプロジェクトを推進している。この取り組みは同会議が当初想像した以上の反響を呼んでおり、発行した10,000点のNFTも順調に売れているという[29][30][31]。
発行されたNishikigoiNFTは疑似的な電子住民票と位置付けられ、購入者はデジタル住民(村民)の資格が与えられる[17]。当然ながら法的な有効性は無いが、デジタル住民限定の電子会議室がDiscordサーバーに設置され、地域振興企画が討議されるといった試みが長岡市の後援のもと実施されている。またNFT販売の収益はこれら活動予算にも充当されるという[17]。
また、デジタル住民が現実の地域人口を超えたことが報告されている[17]。
その他
[編集]- 2009年からは山登り対策として東洋大学陸上部の合宿が行われた。同年度の箱根駅伝では1年生の柏原竜二が区間記録を更新するなどの好走を見せ、東洋大は往路4連覇を成し遂げた。2018年に至るまで同部の山古志合宿が毎年恒例になっている。
- 現在の行政区分としては山古志地域ではなく長岡地域に属するが、旧・太田村の蓬平集落なども旧山古志村として紹介される場合がある[32]。約半年間という短い間ではあるが山古志村に属したのは事実なので間違いではない。(蓬平も同様に中越地震で甚大な被害を被っている。)
- 小林幸子が山古志虫亀・伏野集落の「幸子田」にて田植えや稲刈りを行うのが恒例となっている[33][34]。
山古志地域を舞台とした作品
[編集]長岡市併合以前の発表作を含む。
小説
[編集]- 『海を抱いたビー玉』(2007年) - 森沢明夫著
絵本
[編集]テレビ番組
[編集]- 『こころ』(2003年) - NHK朝の連続テレビ小説。山古志村が舞台となった。
映画
[編集]- 『鯉のいる村』(1971年) - 山古志村を舞台に鯉の養殖に熱中する幼い少年の姿を描いた児童映画。『ハチ公物語』の神山征二郎監督デビュー作。
- 『掘るまいか』(2003年) - 中山隧道を題材にした 橋本信一監督のドキュメンタリー映画。
- 『1000年の山古志』(2009年) - 中越地震からの復興を描く橋本信一監督によるドキュメンタリー[35]。
その他
[編集]- 『世界はどこまで青空なのか?』(2017年) - NGT48セカンドシングル MV[36]
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ただし6月15日に廃止届が提出されていた
出典
[編集]- ^ “令和2年国勢調査確報概要”. 長岡市 (2021年12月6日). 2022年3月19日閲覧。
- ^ 河北新聞、2007年1月3日付
- ^ “二十村郷ガイドマップ”. 新潟県長岡地域振興局. 2021年1月7日閲覧。
- ^ “新潟県中越地震から15年 震災で全村避難した山古志村はいま”. ウェザーニューズ (2019年10月23日). 2019年10月31日閲覧。
- ^ a b 上野裕治「山古志地域の景観特性ならびに景観保全計画」(PDF)『長岡造形大学研究紀要』別冊1、長岡造形大学、2010年、巻頭1枚,1-112、ISSN 1349-9033、NAID 40020163410。
- ^ “山古志復興新ビジョン 最終報告 資料編” (PDF). 山古志復興新ビジョン研究会 (2005年5月16日). 2019年12月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “山古志支所だより特別号 震災から10年のあゆみ”. 長岡市山古志支所 (2014年10月17日). 2019年12月3日閲覧。
- ^ “沿革”. 県立長岡農業高等学校 (2018年). 2019年7月15日閲覧。
- ^ “中山間地の持続可能な公共交通についての考察”. 北陸地域づくり協会 (2008年). 2019年7月15日閲覧。
- ^ “地域全員参加で走るクローバーバス”. 総合交通メールマガジン 第12号. 国土交通省 政策統括官 (2009年6月30日). 2019年7月15日閲覧。
- ^ “両陛下 復興進む旧山古志村訪問”. NHK (2008年). 2019年7月15日閲覧。
- ^ “山古志アルパカ牧場”. にいがた観光ナビ. 新潟県観光協会. 2019年7月15日閲覧。
- ^ “山古志「花々とともに進む心の復興」”. 第24回 精選手づくり郷土賞. 国土交通省. 2022年3月3日閲覧。
- ^ “やまこし復興交流館 オープンします。” (2013年10月21日). 2019年7月15日閲覧。
- ^ “ながおか市政だより No.775 p.11 山古志で自動運転の実験”. 長岡市 (2019年4月). 2019年12月3日閲覧。
- ^ “世界初!自治体公認NFT 販売日時のお知らせ”. 山古志住民会議 (2021年12月13日). 2022年3月19日閲覧。
- ^ a b c d e “新潟県・旧山古志村「集落存亡」をかけた挑戦——NFTで財源確保、デジタル村民総選挙”. mediagene (2022年3月15日). 2022年3月19日閲覧。
- ^ Nishikigoi NFT [@nishikigoiNFT] (2022年2月18日). "デジタル村民の皆さま". X(旧Twitter)より2022年3月19日閲覧。
- ^ 平成14年度市町村要覧(新潟県) - ウェイバックマシン(2004年2月2日アーカイブ分)
- ^ “新潟県内錦鯉産業の「強み」”. 日本政策投資銀行 (2018年). 2019年12月4日閲覧。
- ^ “令和2年4月1日よりクローバーバスの時刻が改定になります”. NPO法人中越防災フロンティア (2020年3月27日). 2020年9月5日閲覧。
- ^ “新潟・長岡市でIT使い交通利便性向上 配車や相乗り実験”. 日本経済新聞 (2019年11月27日). 2019年12月8日閲覧。
- ^ “山古志で自動運転車両の実験開始 地元住民らが乗り心地を確認”. 新潟日報 (2019年3月17日). 2019年12月8日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 清野隆、川澄厚志、青柳聡、古山周太郎「震災復興期に長岡市山古志地域の農産物直売所が集落再生に果たした役割 地域住民と来訪者の意識に着目して」『都市計画論文集』第46巻、2011年、157-162頁、doi:10.11361/journalcpij.46.157。
- ^ “やまこしMAP”. 山古志観光協会. 2021年1月7日閲覧。
- ^ “山古志アルパカ村”. yamakoshialpaca.iinaa.net. 2019年7月15日閲覧。
- ^ “芋川砂防フィールドミュージアム”. 国土交通省北陸地方整備局湯沢砂防事務所. 2019年12月3日閲覧。
- ^ “イベントカレンダー”. yamakoshi.org. 2019年7月15日閲覧。
- ^ “世界初。人口800人の限界集落が「NFT」を発行する理由”. 山古志住民会議 (2021年12月14日). 2022年2月8日閲覧。
- ^ “人口800人の限界集落が「NFT」を発行したその後”. 山古志住民会議 (2022年2月7日). 2022年2月8日閲覧。
- ^ “Web3の現場から デジタル村民、旧山古志村に里帰り”. 日本経済新聞 (2023年1月17日). 2023年1月19日閲覧。
- ^ “小林幸子「また新潟が…」旧山古志村の人々へ気遣い”. 日刊スポーツ (2019年6月19日). 2019年7月16日閲覧。
- ^ 「【FAN】「幸子田」稲刈り 農林水産省お米大使 小林幸子」FoodActionNippon、2011年10月21日。YouTubeより。
- ^ 「小林幸子と美女達が泥だらけになりました…。」小林幸子はYouTuBBA!!、2022年6月12日。YouTubeより。
- ^ “記録映画『1000年の山古志』公式サイト”. www.cinemanest.com. 2018年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月3日閲覧。
- ^ “NGT48公認 聖地巡礼 in Yamakoshi”. yamakoshi.org (2018年11月8日). 2019年12月3日閲覧。
関連項目
[編集]- 新潟県の廃止市町村一覧
- 新潟県中越地震
- 蓬平温泉 - 旧・太田村に位置し、山古志地域と共にパッケージ化された観光プランが提案されている。
外部リンク
[編集]- 行政
- 観光・総合
-
- 山古志オフィシャルサイト
- 山古志観光協会 (@yamakoshikotaro) - X(旧Twitter)
- 観光:山古志エリア - 長岡市
- 山古志の自然とくらし 新潟県中越地震に学ぶ副読本 (PDF) - 国土交通省北陸地方整備局 湯沢砂防事務所