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小角 (楽器)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

小角(くだのふえ/くだ/くだぶえ/しょうかく)は、軍事用の吹奏楽器。少角管の笛とも表記する。

概要

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水牛・牛角などの内部をえぐり、空洞とした角笛のうち、管の形をした小さな笛。小角は管であるため、「くだ」と読んだという[1]。『和名類聚抄』征戦具には、「小角」を「久太能布江」と読むとしており、戦場で大角(はらのふえ)とともに用いたという。

初出は、『日本書紀』の天武天皇14年(685年)11月に出された、大角・鼓などの楽器や、軍旗や弩などの武器は個人の家ではなく、群家に収納せよという詔である[2]。 」 律令制では、鼓吹司吹部により、また軍団の兵士に大角や鼓とともに、分番して教習させた、とある[3][4][5]

万葉集』巻第二には、高市皇子殯宮の際に、柿本人麻呂が詠んだ長歌が収録されており、その中で

…皇子ながら 任(ま)けまたへば 大御身に 大刀取り佩かし 大御手に 弓取り持たし 御軍士(みいくさ)を 率(ゐども)ひたまひ 整ふる 鼓の音は 雷(いかづち)の 声と聞くまで 吹き鳴せる 小角(くだ)の音も あたみたる 虎も吼ゆると 諸人の おびゆるまでに ささげたる 旗のなびきは…[6]

と歌われている。

貞観儀式』巻九も鼓吹司による試生のことを伝えているが、平安時代末より武士の台頭とともに角笛は洞貝(ほらがい)に代わり、小角は袖貝になり、令制の大角・小角は姿を消している。

脚注

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  1. ^ 岩波書店『日本書紀』(五)p214 - p215注14
  2. ^ 『日本書紀』巻第二十九、天武天皇下 14年11月4日条
  3. ^ 「職員令」27条「鼓吹司条」
  4. ^ 『日本後紀』巻第五、桓武天皇 延暦15年12月27日条
  5. ^ 「軍防令」39条「軍団置鼓条」
  6. ^ 『万葉集』巻第二、199番

参考文献

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