小田島春樹
小田島 春樹(おだじま はるき、1985年 - )は、日本の実業家、経営DXコンサルタント。北海道函館市出身[1]。
人物
[編集]日本大学商学部でマーケティングと会計学を専攻[2]。大学卒業後、ソフトバンク株式会社に入社、組織人事や新規事業・営業企画に従事する[3]。
2012年、妻の実家が営む三重県伊勢市の老舗飲食店「有限会社ゑびや」に入社[3]。店長、専務取締役を経て、2017年、代表取締役社長に就任[4]。ビッグデータの活用による来客予測や、AI、IoT等のIT技術を積極的に導入し、経営革新を進める。
2016年、三重大学大学院 地域イノベーション学研究科に進学、地域の課題解決に関する研究に取り組む。2018年、同研究の社会実装のため、サービス業向けデータ解析サービスプロダクトを手掛ける株式会社EBILABを設立[3]。2022年、学位論文『観光地に立地する中小飲食店のプロセス・イノベーションに関する事例研究―ビッグデータの活用を中心に―』で博士(学術)の学位を取得[5]。
- 2018~2022年 Microsoft MVP 5回連続受賞[7]
- 2019年 船井財団グレートカンパニーアワード2019「ユニークビジネスモデル賞」受賞
- 2020年 第3回日本サービス大賞「地方創生大臣賞」受賞
- 2023年 KANSAI DX AWARD 2023「第1回グランプリ」受賞
他多数
事業
[編集]TOUCH POINT BI
[編集]EBILABが提供する店舗経営支援ツール「TOUCH POINT BI」は、2022年時点で200社以上の企業への導入事例を数える[8]。来客予測においては、400種類のデータを元に取捨選択と重み付けを行い、90%以上の予測精度を実現可能とする[9]。
2023年には、ビアレストランを展開するキリンシティの直営26店舗への導入を完了しており、店舗運営の平準化などの成果が見込まれている[10]。
2023年10月、本サービスをはじめとするDX推進の先進的取り組みにより、有限会社ゑびやが「KANSAI DX AWARD 2023」の第1回グランプリを受賞[11]。
エピソード
[編集]- サラリーマン経営者であった祖父や、投資を行っていた祖母の影響を受け、幼少期から商売好きな子供だった[12]。
- 2012年にゑびやに入社した小田島は、伊勢神宮の式年遷宮が翌年に控えていることに着目し、テレビ局とのリレーションを築いて積極的に取材を受け入れ、店内をロケ用にエリア分けしたり、メディア用の駐車スペースや機材搬入口を設けるなどの工夫を行った。こうした改革が、同店がメディアに注目される切っ掛けとなったという[13]。
- 小田島の入社以前のゑびやは、アルバイト・パート従業員を含めて40名ほどのローカル企業であり、「経験と勘」に頼った経営ゆえに、人件費や提供時間など多くの部分に課題を抱えていた。そこで、小田島はデータ分析による経営革新に着手し、来客予測に基づく効率的な人員配置など、「脱“何となく”経営」への転換を進めていった。その結果、料理の提供時間は3分の1にまで短縮され、クレームの減少によって従業員の精神的負担も減り、売上は4倍、利益率は10倍以上となり[9]、従業員の平均給与も5万円増となったという[14]。
脚注
[編集]- ^ 「外食産業を動かす人々/ゑびや 代表取締役 小田島 春樹 氏」『日本外食新聞』2019年1月25日。
- ^ 「創業150年の老舗がデータ経営で躍進、学び直しと人づくりが支える」月刊先端教育ONLINE 2021年10月号
- ^ a b c 「小田島春樹」講師セレクト 2023年9月22日閲覧
- ^ 「有限会社ゑびや」中小企業庁 2023年9月22日閲覧
- ^ 小田島春樹『観光地に立地する中小飲食店のプロセス・イノベーションに関する事例研究―ビッグデータの活用を中心に―』 三重大学〈博士(学術) 甲学術第2135号〉、2022年。hdl:10076/00020390。NAID 500001508629 。
- ^ 「昔ながらの食堂がデジタルシフトで売上6倍・利益80倍!?すぐに実践できる「データ活用術」とは」THE OWNER 2023年5月11日
- ^ 「Haruki Odajima」Microsoft 2023年9月22日閲覧
- ^ 「来客予測的中率は90%以上!データドリブンな店舗経営を実現する「TOUCH POINT BI」(EBILAB)」Industry Co-Creation 2022年11月28日
- ^ a b 「数字なき物語も、物語なき数字も意味はない ── Microsoftがゑびやの事例で示したAIの生死を分けるもの」Ledge.ai 2018年8月20日
- ^ 「ビアレストラン「キリンシティ」直営26店舗が「TOUCH POINT BI」を導入 ―テクノロジーで、商いをアップデートする。創業150年の老舗食堂発ベンチャー企業EBILAB―」PR TIMES 2023年3月30日
- ^ 「第1回KANSAI DX AWARDで伊勢のゑびやがグランプリ受賞」電波新聞 2023年10月30日
- ^ 「テクノロジー×アナログ商売 日本中にインパクトを与える企業を地方から創る!」継ギトピ! 2021年1月20日
- ^ 「伊勢神宮門前の老舗食堂 来客予測AI導入で利益率は10倍に」月刊事業構想ONLINE 2018年11月号
- ^ 「創業100年超の食堂が売上4倍・営業利益10倍に。バックヤード業務のIT化で接客に注力~ゑびや大食堂」FOODS CHANNEL 2021年6月29日
外部リンク
[編集]- ゑびや
- EBILAB
- ゑびやのらぼ*小田島春樹 - YouTubeチャンネル