小田原提灯
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小田原提灯(おだわらぢょうちん、おだわらちょうちん)は、提灯の一種。童謡「お猿のかごや」に登場する[2]。
東海道の宿場町であった小田原(後の神奈川県小田原市)では、旅人が携帯するのに便利なようにと、同地在住の職人・甚左衛門が、畳んだ時に胴の部分が蓋に収まるように作ったのが最初といわれる。このような小田原発祥の提灯であるが、2015年5月時点で小田原市内には提灯屋自体が山崎提灯店と飯沼提灯店(飯沼商店)の2店舗しかなく[3][4]、外的に小田原提灯の作製をうたっているのは前者のみである[5]。収入を得られるほどの十分な需要がないので後継者は難しいことを職人が語っており[6]、前途が危ぶまれている[7]。
特徴
[編集]以下の特徴ゆえに、江戸時代に大人気商品となった。
- 同じ直径のリング状中骨による蛇腹形状を持ち、折りたたんでの携帯がしやすかった。
- 通常の提灯と異なり中骨が平たく、紙との糊代面積が大きいために剥がれにくく、雨や霧に強い。
- 作業工程が簡単なため、安価であった。
- 大雄山最乗寺の神木を一部材料に使い、狐狸妖怪に対して魔除けになると宣伝した。
関連
[編集]- 毎年7月の第4土曜・日曜に『あかりの祭典小田原ちょうちん夏まつり』を行っている。
- ちょうちん踊り:同提灯を用いた踊りで上記イベントなどで踊られる。[8][9]
- 提灯の形を応用して、飲み終わった時畳んで小さく収納できるペットボトルを用いたミネラルウォーター『小田原ちょうちん・旅名水』が2004年に発売されている[10][11]。
- 2003年に小田原駅の東西連絡通路が完成した際、JR東日本の改札口付近に巨大な小田原提灯が市民団体により設置された。2019年の令和元年東日本台風(台風19号)で破損したため、小田原市により一時撤去されたが[12]、修復が行われ翌2020年8月29日に再設置された[13]。
脚注
[編集]- ^ ディスプレイ用に実際より大きめに製作されたものであり、実際はこれより小型のものが使用される場合が多い。
- ^ “JR小田原駅の発車メロディ「お猿のかごや」に(JR東日本)”. 日本商工会議所 (2014年10月10日). 2017年3月18日閲覧。
- ^ “【神奈川の匠】(5) 小田原ちょうちん、夏祭り彩る灯”. 産経新聞. (2012年8月18日). オリジナルの2012年8月19日時点におけるアーカイブ。 2015年9月18日閲覧。
- ^ “小田原提灯”. かながわの名産100選 工芸品. 神奈川県観光協会. 2015年9月18日閲覧。
- ^ 小田原提灯取り扱い店一覧
- ^ “【小田原提灯(ちょうちん)】山崎勇”, 技人 (地域資源発掘発信事業実行委員会 小田原市) 4 発行は2011年頃と推定
- ^ 『日本の伝統産業 工芸編』(初版)通商企画調査会、1976年11月30日、163頁。
- ^ “小田原ちょうちん夏まつり”. 小田原市観光協会. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年3月18日閲覧。
- ^ ちょうちん踊りコンクール動画
- ^ “ちょうちんボトルを商品化/神奈川・小田原商工会議所”. 四国新聞. (2004年5月1日) 2017年3月18日閲覧。
- ^ “天然水使い商品化 伸縮式ペットボトルを採用”. 日本商工会議所 (2004年5月27日). 2017年3月18日閲覧。
- ^ “【台風19号】小田原駅通路に暴風、大ちょうちん破る”. カナロコ. 神奈川新聞 (2019年10月13日). 2019年12月23日閲覧。
- ^ “小田原駅の大ちょうちん復活 台風で破損、巻き上げ機追加”. カナロコ. 神奈川新聞 (2020年8月31日). 2022年4月4日閲覧。