小口川ダム
小口川ダム | |
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左岸所在地 | 富山県富山市水須 |
位置 | |
河川 | 常願寺川水系小口川 |
ダム諸元 | |
ダム型式 | 重力式コンクリートダム |
堤高 | 72.0 m |
堤頂長 | 245.0 m |
堤体積 | 250,000 m3 |
流域面積 | 251.1 km2 |
湛水面積 | 11.0 ha |
総貯水容量 | 2,718,000 m3 |
有効貯水容量 | 1,469,000 m3 |
利用目的 | 発電 |
事業主体 | 北陸電力 |
電気事業者 | 北陸電力 |
発電所名 (認可出力) | 有峰第三発電所 (20,000kW) |
施工業者 | 前田建設工業・真柄建設 |
着手年 / 竣工年 | 1977年 / 1981年 |
出典 | [1] [2] |
小口川ダム(おぐちがわダム)は、富山県富山市、一級河川・常願寺川水系小口川に建設されたダム。高さ72メートルの重力式コンクリートダムで、北陸電力の発電用ダムである。同社の水力発電所・有峰(ありみね)第三発電所に送水し、最大2万キロワットの電力を発生する。
歴史
[編集]昭和30年代、北陸電力は常願寺川有峰発電計画 (JAP) を推進。常願寺川水系和田川の源流に有峰ダムを完成させ、戦後の復興と高度経済成長を支えた。昭和50年代になると冷房の普及により、夏期の昼間に消費される電力量が増大。これをまかなうべく、北陸電力は既存の有峰ダム再開発事業に着手した。
昭和30年代における開発では、有峰ダムから和田川右岸に沿って水路を伸ばし、まず和田川第一発電所・和田川第二発電所で合計最大13万8,000キロワット(現在14万9,000キロワット)の電力を発生。さらに和田川第二発電所の放流水を新中地山ダムで再度取水し、新中地山発電所にて最大7万3,000キロワット(現在7万4,000キロワット)の電力を発生させていた。これを右岸ルートと呼ぶ。これに対して今回増設される左岸ルートは、有峰ダム左岸に増設する取水口から和田川左岸に沿って水路を伸ばし、有峰第一発電所・有峰第二発電所で合計最大38万キロワット(現在38万5,000キロワット)の電力を発生するものである。
いずれの開発においても電気が大量に消費される時間帯に集中して発電することを主眼に置いて計画されているため、こうした運用に伴う下流河川の増減水を抑える逆調整池が必要となる。右岸ルートにおいては小俣ダムがその役割を担っていたが、今回左岸ルートの増設に伴い、小俣ダムの上流に左岸ルート専用の逆調整池として小口川ダムが増設されることになった。小口川ダムの建設工事は1977年(昭和52年)に着工。1981年(昭和56年)に完成し、同年4月2日に湛水開始した[1]。
周辺
[編集]有峰林道・水須連絡所を過ぎると小口川ダムである。当地は有料道路区間内にあるため、所定の通行料金を支払う必要がある。ダム直下には小口川神社や小口川記念館がある。記念館内をのぞくと上流の小口川第三発電所で使用されていた揚水ポンプが安置されており、屋外には同じく小口川第三発電所で使用されていたジョンソンバルブや、熊野川第三発電所で使用されていた水圧鉄管が展示されている。
小口川ダムの直下に有峰第三発電所がある。人工の地下空間内に発電所を設けた地下式発電所であり、その施工には新オーストリアトンネル工法 (NATM) を採用。一般的なトンネルと同様、天井が低く横方向に長い空間内に横軸フランシス水車発電機が1台設置された。小口川ダム建設工事のうちコンクリート打設作業におけるタワークレーンの採用など、昭和30年代に比べ随所に土木建築技術の進歩が見られた。
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有峰第一発電所取水口(有峰ダム)
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有峰第二発電所
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小口川ダム湖
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小口川神社
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小口川記念館
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小口川第三発電所向けジョンソンバルブ
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有峰第三発電所
脚注
[編集]- ^ 『北陸電力30年史』(1982年3月20日、北陸電力株式会社発行)592頁。
関連項目
[編集]- ダム
- 日本のダム - 日本のダム一覧
- 重力式コンクリートダム - 日本の重力式ダム一覧
- 電力会社管理ダム - 日本の発電用ダム一覧
- 北陸電力
- 有峰ダム - 新中地山ダム - 祐延ダム - 真立ダム - 小俣ダム
- 有峰林道
- 小口川軌道
- 中部地方のダム一覧
参考文献
[編集]- 高柳英夫、小岱将志、小林一夫、森下悦明、押谷侃「北陸電力・有峰第三発電所向け横軸フランシス水車・発電機」『富士時報 第54巻 第11号』富士電機、1981年。
- 北陸地方電気事業百年史編纂委員会編『北陸地方電気事業百年史』北陸電力、1998年。