射影集合
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数学の記述集合論において、ポーランド空間 の部分集合 が 射影集合(しゃえいしゅうごう、Projective hierarchy)であるとは、それがある正整数 についての 集合であることをいう。ここで、 が
- 集合であるとは、 が 解析集合であること。
- 集合であるとは、 の補集合 が 集合であること。
- 集合であるとは、あるポーランド空間 と 集合 について、 が の射影となること; すなわち、 となること。
射影集合のクラスの列 (n=1,2,……)は包含関係に関する狭義単調増加列になる。射影集合全体がなしているこの階層構造を射影階層と呼ぶ。第三節のポーランド空間 が何であるかは重要ではなく、不可算なポーランド空間(ベール空間, カントール空間, 実数直線等)を一つ固定しておいても良い。
解析的階層との関連
[編集]ベール空間の部分集合がなす相対化された解析的階層と、ベール空間の部分集合がなす射影階層との間には密接な関連がある。
ベール空間の全ての 部分集合が であるわけではないが、ある自然数集合 A についての 集合にはなる。 集合についても同様のことが言える。この関係は実効記述集合論において重要である。
同様の関係はカントール空間の部分集合間、さらに一般化して実効ポーランド空間の部分集合間にも言える。
他の階層との比較
[編集]細字 | 太字 | ||
---|---|---|---|
Σ0 0 = Π0 0 = Δ0 0 (しばしばΔ0 1と同じ) |
Σ0 0 = Π0 0 = Δ0 0 (定義されていれば) | ||
Δ0 1 = 帰納的 |
Δ0 1 = 開かつ閉 | ||
Σ0 1 = 帰納的可算 |
Π0 1 = 補-帰納的可算 |
Σ0 1 = G = 開 |
Π0 1 = F = 閉 |
Δ0 2 |
Δ0 2 | ||
Σ0 2 |
Π0 2 |
Σ0 2 = Fσ |
Π0 2 = Gδ |
Δ0 3 |
Δ0 3 | ||
Σ0 3 |
Π0 3 |
Σ0 3 = Gδσ |
Π0 3 = Fσδ |
⋮ | ⋮ | ||
Σ0 <ω = Π0 <ω = Δ0 <ω = Σ1 0 = Π1 0 = Δ1 0 = 算術的 |
Σ0 <ω = Π0 <ω = Δ0 <ω = Σ1 0 = Π1 0 = Δ1 0 = boldface arithmetical | ||
⋮ | ⋮ | ||
Δ0 α (αは再帰的) |
Δ0 α (αは可算) | ||
Σ0 α |
Π0 α |
Σ0 α |
Π0 α |
⋮ | ⋮ | ||
Σ0 ωCK 1 = Π0 ωCK 1 = Δ0 ωCK 1 = Δ1 1 = 超算術的 |
Σ0 ω1 = Π0 ω1 = Δ0 ω1 = Δ1 1 = B = ボレル | ||
Σ1 1 = lightface analytic |
Π1 1 = lightface coanalytic |
Σ1 1 = A = 解析集合 |
Π1 1 = CA = 補解析集合 |
Δ1 2 |
Δ1 2 | ||
Σ1 2 |
Π1 2 |
Σ1 2 = PCA |
Π1 2 = CPCA |
Δ1 3 |
Δ1 3 | ||
Σ1 3 |
Π1 3 |
Σ1 3 = PCPCA |
Π1 3 = CPCPCA |
⋮ | ⋮ | ||
Σ1 <ω = Π1 <ω = Δ1 <ω = Σ2 0 = Π2 0 = Δ2 0 = 解析的階層に属する集合 |
Σ1 <ω = Π1 <ω = Δ1 <ω = Σ2 0 = Π2 0 = Δ2 0 = P = 射影集合 | ||
⋮ | ⋮ |
参考文献
[編集]- Kechris, A. S. (1995), Classical Descriptive Set Theory, Berlin, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-0-387-94374-9
- Rogers, Hartley (1987) [1967], The Theory of Recursive Functions and Effective Computability, First MIT press paperback edition, ISBN 978-0-262-68052-3