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安城市 (京畿道)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
京畿道 安城市
ソイル農園
位置
各種表記
ハングル: 안성시
漢字: 安城市
片仮名転写: アンソン=シ
ローマ字転写 (RR): Anseong-si
統計(2024年
面積: 553.47 km2
総人口: 192,293[1]
男子人口: 99,380 人
女子人口: 92,913 人
行政
国: 大韓民国の旗 大韓民国
上位自治体: 京畿道
下位行政区画: 1邑11面34洞
行政区域分類コード: 31220
安城市の木: イチョウ
安城市の花: レンギョウ
安城市の鳥: カササギ
自治体公式サイト: 安城市
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安城市庁

安城市(アンソンし)は、大韓民国京畿道の南部にある市である。

近世(朝鮮王朝時代)には鍮器の製造をはじめとする商工業で栄えた。朝鮮語で「おあつらえ向き」を意味する慣用句「안성맞춤(アンソンマッチュム)」は、この町の鍮器生産に由来すると説明される(#アンソンマッチュム)。

地理

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東部は車嶺山脈に連なる山地となっており、忠清北道との境界に位置する南部の瑞雲山(547m)が最高峰である。安城川が市内に源を発して西に流れている。

西に平沢市、北に龍仁市、東に利川市、東南に忠清北道鎮川郡、西南に忠清南道天安市に隣接する。

歴史

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古代には奈兮忽(ネヘホル)と呼ばれ、百済高句麗新羅がせめぎあう土地であった。6世紀半ば、百済の威徳王と高句麗の陽原王が争った熊川城を安城付近に比定する説もある。新羅時代には白城郡が置かれて漢州に属した。高麗時代の940年に安城郡が置かれ、1018年には水州の属県となった。

朝鮮王朝時代のはじめに安城郡が置かれて忠清道に属したが、1413年には京畿道に編入された。また、現在市域に含まれている西北部の陽城は陽城県、東部の竹山は竹山都護府であった。安城は近世には商工業の中心として栄え、鍮器の生産でその名を知られた。また、男寺党などの民衆芸能の拠点のひとつとなった。

近代の地方制度改革により都護府・郡・県などの呼称が郡に統一されて安城郡・陽城郡・竹山郡の3郡が編成され、1914年には陽城・竹山の両郡が安城郡に併合された。京釜線などの主要な鉄道交通網から外れたこともあり、伝統的な安城の真鍮産業は近代になって衰えている。1937年に中心部の安城面がに昇格した。

1998年4月1日、安城郡が安城市に昇格した。

年表

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朝鮮総督府令第111号
朝鮮総督府令第111号
旧行政区域 新行政区域
安城郡 北里面 邑内面 金石里、堂旺里、沙谷里
西里面 桂村里、道基里、西里、石井里、玉山里
東里面 東里、場基里
鳥嶺面 金光面 四興里、三興里、五興里
大門面 金光里、玉井里、閑雲里、玄谷里
加洞面 開山里、内隅里、農村里、梧山里、玄水里
月洞面 上中里、石下里、長竹里
奇村面 瑞雲面 新基里、新興里、梧村里、中里
松竹面 松山里、松井里、賢梅里
徳谷面 東村里、新村里、陽村里、仁里
立長面 北山里、山坪里、新興里、青龍里
木村面 薇陽面 康徳里、桂勒里、九水里、両辺里、保体里
晩谷面 葛田里、九礼里、龍頭里、新基里
于谷面 開井里、古地里、法田里、新渓里
辰頭面 馬山里、陽支里、井洞里、真村里、後坪里
竹村面 大徳面 内里、新令里、竹里
所村面 乾芝里、茅山里、湺東里、蘇峴里、兎峴里
見乃面 大農里、三閑里、辰峴里
金谷面 明堂里、舞陵里、素内里
加士面 宝蓋面 加士里、加峴里、九士里、内芳里
北佐面 洑坪里、北佐里、新安里、烏頭里
其佐面 曲川里、其佐里、仏峴里
居谷面 東新里、上三里、陽福里
栗洞面 栗洞里、泥田里、新長里、迪加里
陽城郡 邑内面 陽城面 旧場里、東恒里、石花里、楸谷里
金谷面 蘭室里、老谷里、美山里、長西里
徳山面 徳峰里、名木里、芳新里、三岩里
紙洞面 桃谷里、梨峴里、山井里、照日里
松五里面 防築里、筆山里
孔梯面 孔道面 仏堂里、薪頭里、熊橋里
令通面 乾川里、中洑里
九千里面 馬井里、万井里、両基里
道一面 九龍洞面 蝿頭里、龍頭里 素沙里、珍沙里
元谷面 盤諸里 龍耳里
盤谷面 月谷里、竹栢里、青龍里
元堂面 内加川里、芝文里、七谷里、外加川里
升良院面 山下里、聖恩里、聖住里
竹山郡 蹄村面 竹一面 菱菊里
北二面 新興里、和谷里
北一面 古銀里、唐村里、芳草里
南二面 松川里、月井里、長岩里、竹林里、花鳳里
南一面 佳里、金山里、山北里、注川里
府一面 竹二面 斗峴里、長渓里、長陵里
府二面 梅山里、長院里、竹山里
南面 唐木里、斗橋里、龍舌里、七長里
西一面 竹三面 内長里、徳山里、龍月里、栗谷里、排台里
西二面 基率里、南楓里、内康里、麻田里、美獐里、真村里
西三面 加峴里、東坪里
  • 1915年6月1日(12面)[5]
    • 竹一面が一竹面に改称。
    • 竹二面が二竹面に改称。
    • 竹三面が三竹面に改称。
  • 1915年(日付不明) - 龍仁郡古三面の一部が陽城面に編入。(12面)
  • 1931年4月1日 - 邑内面が安城面に改称。(12面)
  • 1937年7月1日 - 安城面が安城邑に昇格。[6](1邑11面)
  • 1963年1月1日 - 龍仁郡古三面を編入。[7](1邑12面)
  • 1983年2月15日 - 元谷面の龍耳里・竹栢里・青龍里・月谷里、孔道面の素沙里が安城の住民の同意や意見収集なしに平沢郡平沢邑に編入。[8](1邑12面)
  • 1987年1月1日(1邑12面)[9]
    • 宝蓋面陽福里の一部(福巨・新基・東新谷)が金光面に編入。
    • 三竹面南楓里・東平里・加峴里が宝蓋面に編入。加峴里が北加峴里に改称。
  • 1990年1月1日 - 安城駅と安城線を閉鎖。
  • 1992年9月30日 - 二竹面が竹山面に改称。[10](1邑12面)
  • 1997年6月6日 - 宝蓋面加士里・加峴里の全域および大徳面乾芝里・茅山里・蘇峴里の各一部が安城邑に編入。[11](1邑12面)
  • 1998年4月1日 - 安城郡が安城市に昇格。[12](12面3行政洞)
    • 安城邑が3つの洞に分割。
    • 金光面農村里・玄水里が安城1洞に編入。
    • 瑞雲面中里が安城2洞に編入。
  • 1999年8月30日 - 金光面内隅里の一部が玄水洞に編入。
  • 2003年7月31日 - 金光面内隅里・開山里の一部を宝蓋面・発化洞に編入。[13]
  • 2000年9月25日 - 安城男寺党パウトギ祭り幕開き。
  • 2001年6月1日 - 孔道面が孔道邑に昇格。[14](1邑11面3行政洞)
  • 2006年10月12日 - 瑞雲面陽村里西陽村が西陽村と南陽村に分割。[15]
  • 2007年9月 - 世界ソフトテニス選手権を開催。
  • 2012年4月11日 - 第19代国会議員選挙で韓国憲政史上最年少国会議員出馬 (京畿道安城市選挙区)。
  • 2012年10月1日 - 世界民俗祭り開催。
  • 2020年10月5日 - スターフィールド安城オープン。
  • 2024年1月 - 大韓民国ファーストブランド18年連続大賞受賞 (アンソンマチュムのブランド)。
  • 2024年2月 - 2025年 東アジア文化都市 選定。
  • 2024年9月3日 - 世界ソフトテニス選手権を開催。

行政

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行政区域図

都農複合形態市であり、が置かれた安城1洞、安城2洞、安城3洞と孔道の都市部、が置かれた農村部が並存する。3行政洞(33法定洞)1邑11面からなる。

下位行政区画

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行政洞・邑・面 法定洞・法定里
安城1洞(アンソン=イル=ドン) 鳳山洞、崇仁洞、栄洞、鳳南洞、九苞洞、東本洞、明倫洞、玉川洞、楽園洞、創前洞、城南洞、加士洞、加峴洞、玄水洞、発花洞
安城2洞(アンソン=イ=ドン) 新興洞、仁智洞、西仁洞、石井洞、峨洋洞、桂洞、玉山洞、道基洞、中里洞
安城3洞(アンソン=サム=ドン) 錦山洞、蓮池洞、大泉洞、金石洞、沙谷洞、堂旺洞、新乾芝洞、新蘇峴洞、新茅山洞
孔道邑(コンド=ウプ) 両基里、熊橋里、薪頭里、中洑里、龍頭里、蝿頭里、乾川里、仏堂里、万井里、馬井里、珍沙里
宝蓋面(ポゲ=ミョン) 迪加里、其佐里、北佐里、上三里、新長里、陽福里、烏頭里、泥田里、仏峴里、内紡里、東新里、曲川里、洑坪里、九士里、加栗里、新安里、東坪里、南楓里、北加峴里
金光面(クムグァン=ミョン) 内隅里、開山里、長竹里、上中里、金光里、玄谷里、三興里、四興里、五興里、閑雲里、梧山里、玉井里、石下里、新陽福里
瑞雲面(ソウン=ミョン) 仁里、青龍里、松井里、新村里、山坪里、賢梅里、東村里、新興里、新陵里、新基里、松山里、梧村里、陽村里、北山里
薇陽面(ミヤン=ミョン) 九礼里、桂勒里、開井里、新渓里、法田里、龍頭里、古地里、井洞里、九水里、真村里、葛田里、陽支里、保体里、新基里、康徳里、後坪里、馬山里、両辺里
大徳面(テドク=ミョン) 蘇峴里、兎峴里、茅山里、湺東里、明堂里、辰峴里、乾芝里、内里、大農里、竹里、新令里、舞陵里、素内里、三閑里
陽城面(ヤンソン=ミョン) 東恒里、旧場里、石花里、楸谷里、照日里、桃谷里、山井里、梨峴里、長西里、蘭室里、老谷里、美山里、防築里、筆山里、徳峰里、名木里、三岩里、芳新里
元谷面(ウォンゴク=ミョン) 聖恩里、七谷里、芝文里、山下里、内加川里、外加川里、盤諸里、聖住里
一竹面(イルチュク=ミョン) 月井里、注川里、竹林里、佳里、山北里、唐村里、芳草里、松川里、古銀里、和谷里、菱菊里、新興里、金山里、長岩里、花鳳里
竹山面(チュクサン=ミョン) 竹山里、梅山里、長院里、斗峴里、長陵里、長渓里、龍舌里、七長里、唐木里、斗橋里
三竹面(サムジュク=ミョン) 内長里、栗谷里、龍月里、徳山里、排台里、内康里、真村里、美獐里、麻田里、基率里
古三面(コサム=ミョン) 双芝里、新倉里、大葛里、佳柳里、三隠里、鳳山里、月香里

警察

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消防

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教育

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大学校
専門大学

交通

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高速道路

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郡域の西端に京釜高速道路、東端に統営-大田・中部高速道路がそれぞれ南北に走っている。

国道

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鉄道

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市内を経由する鉄道路線はない。かつては市内を安城線が走っていたが、1989年までに全線が廃止された。

文化・観光

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  • 七長寺
  • 石南寺
  • 青龍寺
  • 安城奉業寺
  • ミリネ聖地(1991年完成。韓国で最初の司祭金大建が安置されており、韓国カトリックの聖地とされている。)
  • 安城マッチュム博物館(鍮器専門の博物館)
  • 安城マッチュムランド(市が運営する文化施設。安城男寺党常設公演が行われる他、工芸文化センターなどがある)
  • 安城ファームランド(韓国最大級の畜産体験型牧場。ドラマ『馬医』のロケ地でもある)
  • 安城男寺党バウドギ祭
  • 聴流斎樹木文学館 - 宝蓋面東新里682-5

なお、韓国で発売されているインスタントラーメンに「安城湯麺」という商品があるが、発売元(農心)の工場が安城市にあることと「アンソンマッチュム」のイメージを重ねたためであり、安城市自体が特に麺類を名物としているということはない。

• スターフィール 安城

アンソンマッチュム

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アンソンマッチュム안성맞춤)は直訳すると「安城合わせ」「安城あつらえ」となるが、これは朝鮮語の慣用句のひとつで「おあつらえ向き」「打ってつけ」と訳される。

かつて安城で精度の高い真鍮製品(安城鍮器)が生産されており、安城の職人に注文すると注文どおりの器がつくられたことから[16][17]、あるいは器と蓋を合わせると隙間なく合わさったことから、「安城鍮器のようにぴったり合う」としてこのような表現ができたと、一般的な辞書では説明されている[18]

安城市は「アンソンマッチュムの都市・安城」をスローガンとしており、「アンソンマッチュム」を冠した文化施設や農産物によって産業振興を図っている。

姉妹都市

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韓国国内

  • ソウル特別市鍾路区
    • 都農複合都市と政治都市との相互発展のため安城市より提起
    • 2005年4月29日 - 姉妹結縁締結

韓国国外

  • 中華人民共和国の旗 遼中区中華人民共和国遼寧省瀋陽市
    • 交流先を模索中、京畿道の姉妹都市である遼寧省から推薦を受ける
    • 1996年10月23日 - 友好交流協力合意書締結
    • 1997年10月22日 - 姉妹結縁締結

出身者

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  • 洪思翊 - 日本の軍人、1889年安城出身。

脚注

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  1. ^ 주민등록 인구통계 - 행정안전부”. 行政安全部. 2024年7月3日閲覧。
  2. ^ 勅令第98号 地方制度改正件(1895年旧暦5月26日)
  3. ^ 勅令第36号 地方制度官制改正件(1896年8月4日)
  4. ^ 朝鮮総督府令第111号(1913年12月29日)
  5. ^ 京畿道令第7号 안성군내면의명칭(1915年5月28日)
  6. ^ 朝鮮総督府令第80号(1937年6月28日)
  7. ^ 法律第1175号 시·군관할구역변경및면의폐치에관한법률(1962年11月21日
  8. ^ 大統領令第11027号 市・郡・区・邑・面の管轄区域変更及び面設置等に関する規定(1983年1月10日
  9. ^ 大統領令第12007号 市・郡・区・邑・面の管轄区域変更及び面の名称変更に関する規定(1986年12月23日)
  10. ^ 安城郡条例第1423号
  11. ^ 安城郡条例第1629号(1997年5月7日)
  12. ^ 法律第5458号 경기도안성시등2개도농복합형태의시설치등에관한법률(1997年12月17日
  13. ^ 금광면 소개[リンク切れ]
  14. ^ 安城市条例第333号(2001年5月29日)
  15. ^ 서운면 소개 アーカイブ 2014年4月7日 - ウェイバックマシン, 2012年5月10日確認
  16. ^ 동아 새국어사전』第5版(두산동아、2003年)
  17. ^ empass 국어사전"안성맞춤"
  18. ^ 안성-맞춤(安城맞춤)”. 標準国語大辞典. 国立国語院. 2023年10月20日閲覧。

外部リンク

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