奥寺敬
奥寺 敬(おくでら ひろし、1955年10月 - )は、日本の医学者。専門は、救急医学・集中治療医学・脳神経外科学・危機管理学。学位は、博士(医学)。
中部国際医療センター救急部門集中治療部部長。富山大学名誉教授・学術研究部医学系特別研究教授、福島県立医科大学特任教授。
来歴
[編集]信州大学医学部医学科卒業後、同大学脳神経外科学教室初代教授杉田虔一郎に師事、脳神経外科手術、手術機器開発として手術室用CTシステム、開頭術中赤外線画像計測等を開発、同時期に研修会やセミナーの創設・運営を学ぶ。『開頭手術用定位脳手術装置の開発』で学位(博士)(指導教授は同教室第二代教授小林茂昭)。
略歴
[編集]- 1955年10月 - 大阪府豊中市生まれ
- 1968年3月 - 杉並区立第二小学校卒業
- 1968年4月 - 杉並区立東田中学校入学
- 1971年3月 - 小平市立第四中学校卒業
- 1974年3月 - 東京都立立川高等学校卒業
- 1981年3月 - 信州大学医学部医学科卒業
- 1981年4月 - 信州大学医学部附属病院脳神経外科
- 1981年10月 - 長野赤十字病院脳神経外科
- 1982年4月 - 信州大学医学部附属病院脳神経外科
- 1982年5月 - 篠ノ井総合病院脳神経外科
- 1982年7月 - 信州大学医学部附属病院脳神経外科
- 1982年10月 - 小林脳神経外科・神経内科病院脳神経外科
- 1983年4月 - 小諸厚生総合病院脳神経外科
- 1984年4月 - 国立松本病院脳神経外科
- 1985年4月 - 信州大学医学部附属病院脳神経外科
- 1985年10月 - 諏訪赤十字病院脳神経外科
- 1987年10月 - 国立松本病院脳神経外科
- 1989年10月 - 昭和伊南総合病院脳神経外科
- 1991年4月 - 小諸厚生総合病院脳神経外科
- 1993年4月 - 信州大学医学部附属病院救急部講師・副部長
- 1998年4月 - 信州大学医学部附属病院救急部助教授・副部長
- 2001年8月 - 信州大学医学部救急集中治療医学講座助教授、信州大学医学部附属病院救急部副部長
- 2003年9月 - 富山医科薬科大学医学部危機管理医学(救急・災害医学)講座教授、富山医科薬科大学附属病院救急部部長
- 2005年4月 - 富山大学医学部危機管理医学(救急・災害医学)講座教授、富山大学附属病院救急部部長
- 2012年6月 - 富山大学医学部危機管理医学(救急・災害医学)講座教授、富山大学附属病院地域救命救急センター長
- 2012年7月 - 富山大学医学部危機管理医学(救急・災害医学)講座教授、富山大学附属病院災害・救命センター長
- 2021年3月 - 富山大学を定年退職
- 2021年4月 - 富山大学名誉教授・危機管理医学講座客員教授
- 2022年10月 - 富山大学名誉教授・危機管理医学講座客員教授、福島県立医科大学特任教授
- 2023年4月 - 中部国際医療センター救急部門集中治療部部長、富山大学名誉教授・学術研究部医学系特別研究教授、福島県立医科大学特任教授
逸話
[編集]信州大学医学部附属病院救急部教官当時、1994年6月の松本サリン事件を医療サイドで経験、自宅は現場の至近であり被災地域でもある[1][2][3]。この事件を契機として救急・災害医学の研究に着手。サリンが神経ガスであることより神経蘇生、神経救急集中治療学などの概念を考案。1995年、日本医師会最高優功賞を受賞。またこの神経ガステロへの対応経験が評価され、1998年長野市開催の第18回長野オリンピック冬季競技大会の医療救護ディレクターに指名された。長野オリンピックの前大会である1996年アトランタオリンピックの医療救護の現地視察に派遣され[4]、現地でFEMAやCDCのオリンピック医療への参画、トリアージの運用と、医師スタッフ採用基準であった二次心肺蘇生法(ACLS)などに触発され、第18回長野オリンピック冬季競技大会の医療救護ディレクターとして大会運営にあたり、直後より災害医療の研究に着手する契機となった。1998年国際オリンピック委員会(IOC:International Olympic Committee)よりオリンピック功労賞(Olympic Merit)を受賞した。(2003年富山県下救急救命士会 特別講演「富山医科薬科大学、救急・災害医学講座のめざすもの」より)
学会活動
[編集]以下の学会を会長、世話人として主催
- 第15回日本救急医学会東海地方会総会(1998年9月12日、松本市、松本市勤労者福祉センター)
- 第15回日本救急医学会東海地方会学術集会(1999年2月13日、松本市、長野県松本文化会館)
- 第18回日本神経救急学会総会・学術集会(2004年6月18-19日、富山市、富山全日空ホテル)
- 第19回日本脳死・脳蘇生学会総会・学術集会(2006年6月2-3日、富山市、富山国際会議場)
- 第1回全国ドナーコーディネーター研修会(2006年6月2日、富山市、富山国際会議場)
- 第7回日本救急医学会中部地方会(2008年5月18日、富山市、富山大学黒田講堂)
- 第2回日本医療教授システム学会総会・学術集会(2010年2月14-16日、東京都、学術総合センター)
- 1st International Meeting on Instructional Systems in Healthcare(2010年2月16日、富山市、富山全日空ホテル)
- 第9回日本臨床高気圧酸素・潜水医学会総会・学術集会(2012年6月1-2日、富山市、名鉄トヤマホテル・富山国際会議場)
- 第19回日本脳神経外科救急学会総会・学術集会(2014年1月10-12日、富山市、富山国際会議場)
- 第18回日本臨床救急医学会総会・学術集会(2015年6月4-6日、富山市、富山県民会館・富山国際会議場)
- 第8回日本蘇生科学シンポジウム J-ReSS (2015年6月4日、富山市、富山県民会館)
- 第3回国際ETSワークショップ (3rd International Workshop of Emergo Train System)(2015年6月6日、富山市、富山県民会館)
- 第15回日本組織移植学会総会・学術集会(2016年8月26-27日、富山国際会議場)
- 第26回日本意識障害学会学術集会(2017年7月7-9日、富山国際会議場 )
- 第4回日本救護救急学会学術集会(2018年10月20-21日、富山大学黒田講堂)
- 第23回日本脳低温療法・体温管理学会学術集会(2020年9月11-12日、富山大学黒田講堂)
共著
[編集]- 『ISLSコースガイドブック』(へるす出版、2006年) ISBN 978-4892695599
- 『PSLSコースガイドブック』(へるす出版、2007年) ISBN 978-4892695650
- 『災害・健康危機管理ハンドブック』(診断と治療社、2007年) ISBN 978-4787815316
- 『外傷初期診療入門セミナー』(中山書店、2007年) ISBN 978-4521730004
- 『必携 NBCテロ対処ハンドブック』(診断と治療社、2008年)
- 『PCECコースガイドブック』(へるす出版、2008年) ISBN 978-4892696183
- 『DCLSコースガイドブック』(へるす出版、2009年) ISBN 978-4892695803
- 『PSLSコースガイドブック』第2版(へるす出版、2009年) ISBN 978-4892696381
- 『緊急度判定支援システム CTAS 2008 日本語版/ JTASプロトタイプ』(へるす出版、2010年) ISBN 978-4892697029
- 『患者さんのどんなサインも見逃さない!救急外来トリアージ実践マニュアル』(メディカ出版、2010年) ISBN 978-4840430838
- 『エマルゴトレインシステムEmergo Train Systemマニュアル』(へるす出版、2011年) ISBN 978-4892697173
- 『緊急度判定支援システムプロバイダーマニュアル―CTAS 2008日本語版/JTASプロトタイプ』(へるす出版、2011年) ISBN 978-4892697180
- 『緊急度判定支援システムJTASガイドブック2012』(へるす出版、2012年) ISBN 978-4892697777
- 『ISLSガイドブック2013』(へるす出版、2013年) ISBN 978-4892698101
- 『ACECガイドブック2014』(へるす出版、2014年) ISBN 978-4892698125
- 『JTAS指導者テキスト-緊急度判定支援システム』(へるす出版、2014年) ISBN 978-4892698224
翻訳
[編集]- 『事故・災害時のMCガイド』(中山書店、2008年) ISBN 978-4521730349
- 『有害事象の報告・学習システムのためのWHOドラフトガイドライン』(へるす出版、2011年) ISBN 978-4892697364
脚注
[編集]- ^ Okudera H, Morita H, Iwashita T, Shibata T, Otagiri T, Kobayashi S, Yanagisawa N:Unexpected nerve gas exposure in the city of Matsumoto: the first rescue experience of sarin gas terrorism. Am J Emerg Med 15:527-528, 1997
- ^ Okudera H: Clinical features on nerve gas terrorism in Matsumoto. J Clin Neurosci 9(1):17-21, 2002
- ^ “地方型救急、富山から発信”. 富山大学附属病院. 2021年6月27日閲覧。
- ^ Okudera H, Kobayashi S, Kiyosawa K: Medical care required for mass gatherings in the XVIII Olympic Winter Games in Nagano, In Nose H,Gisolfi CV, Imaizumi K (eds): Exercise, Nutrition, and Environmental Stress, Vol. 1: GSSI Sports Science Network Forum in Nagano, 1999, Cooper, Traverse City, 2001, pp 249-255