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大澤義明

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大澤 義明
Yoshiaki OHSAWA
生誕 (1959-03-10) 1959年3月10日(65歳)
日本の旗 日本 青森県[1]
研究分野 都市計画
地域科学英語版
社会工学
研究機関 筑波大学 (1991年 - )
出身校 筑波大学
博士課程
指導教員
腰塚武志
主な業績 都市空間の解析
主な受賞歴 日本OR学会文献賞(2001年)
補足
応用地域学研究』編集長(? - 現在)
筑波大学社会工学域長(2011-15年)
プロジェクト:人物伝
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大澤 義明(おおさわ よしあき、1959年3月10日 - )は日本の都市工学者。専門は都市計画地域科学英語版社会工学[1]筑波大学教授。

研究

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博士論文では施設配置をテーマに選び、熊本大学時代はこの研究を熊本の都市計画に適用した[2]。1993年からは1年間ベルギーのDominique Peetersのもとに留学し、既に数値的解析がなされていた最適配置について理論的な解析を試み始める[2]

2000年より基盤研究「迷惑施設の多目的計画配置問題に関する理論研究」[3]が採択され、その成果をEuropean Economic Review英語版誌やNaval Research Logistics英語版誌に発表する。なかでも、2000年Naval Research Logistics誌に掲載された施設配置に関する研究[4]が評価され、翌2001年にはこの論文に対して日本オペレーションズ・リサーチ学会より文献賞が贈られる[5]。この論文は、迷惑施設の最適配置を、最遠ボロノイ図と最近ボロノイ図を組み合わせることによって解析的に導出できることを証明したものである[2]

2002年からは基盤研究「欧州における間接税競争・税調和政策の実態調査」が採択され、欧州における税競争に対して地理的なアプローチを適用した研究を開始したほか[6]栗田治らと共同で景観の評価に関する研究を行う[7]

2006年からは白波瀬佐和子らと共同で、住民投票による社会基盤施設整備の地理空間的な配置特性に関する研究を行う[8]。この研究で大澤らは民主主義と経済的効率性の間のトレードオフに着目しており、後に庁舎などの公共施設建設も対象として研究を行った[9]

また、地方分権、少子高齢化と縮小社会、インフラの老朽化などの社会問題に対する数理的アプローチに基づいた研究も行う[10][11][12]

2009年には都市空間の数理的解析による一連の研究に対して日本都市計画学会論文賞が授与された[13]。選考に際して、(1) 直接的な効用のみならず公平性の観点も考慮した実用的な施設配置モデリングによる理論的発展、(2) 都市景観の計量解析に基づいた天空率や天空比などに関連させた具体的な提言、(3) 経済的均衡分析と地理ネットワークを融合させるなどの地理的空間構造分析の新たな方法論を構築した点、などが評価され、受賞が決定した[13]

来歴

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1959年3月10日青森県三沢市に家電量販店を営む家の長男として生まれる[1]。実家は三沢飛行場の傍にあり、米国軍人の豊かな住環境に憧れを抱く[2]

1977年、「社会工学」「学際研究」といった言葉に憧れて、当時筑波大学に新設されたばかりの第三学群(現・理工学群)社会工学類に第1期生として入学する[2][14]。一年次のクラス担任は小島重次松原望らであったという[2]。父の急死により青森の実家に戻ることを迫られて休学し、復学までの一年間は家電製品の訪問販売セールスマンとして働く[2]。1982年に社会工学類を卒業したが[15]、卒業までに1年間の休学を挟んでいたために指導教員の腰塚武志らから「1.5期生」と呼ばれた[2]

1987年、筑波大学社会工学研究科都市地域計画学専攻(現・社会工学専攻) を修了し、学術博士を取得する[16]

その後、東京大学工学部特別研究員(1987-88年)、熊本大学工学部助手(1988-91年)などを経て、1991年から筑波大学社会工学系に奉職する[15]。2002年に教授に昇任し、2009年から学長補佐を務める[15]。2010年には教育社会連携推進室長に就任し、高大連携の推進にも取り組む[17][18]

2011年4月より筑波大学大学院システム情報工学研究科社会システム・マネジメント専攻(現・社会工学専攻)の専攻長を、同11月より社会工学系長(現・社会工学域長)を2015年3月まで務めた[15]

2014年9月現在、応用地域学会の機関学術雑誌『応用地域学研究』の編集長を務める[19]

大澤は学識経験者や有識者として学外での活動も行っている。2001年にはつくば市によるITを活用するための推進プラン策定のための懇親会世話役・座長を務めた[20][21]。2015年9月に発生した関東・東北豪雨により被災した常総市の復興を検討する「市復興ビジョン懇話会」の座長も務めている[22]。その他にも、地方創生に関するシンポジウムの基調講演などを行う[23]

略年譜

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  • 1959年 - 出生
  • 1982年 - 筑波大学第三学群社会工学類 卒業
  • 1987年 - 学術博士
  • 1991年 - 筑波大学社会工学系(講師、助教授、教授)
  • 2009年 - 筑波大学 学長補佐

著作

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共編著

  • 八木勇治・大澤義明(編) 編『巨大地震による複合災害―発生メカニズム・被害・都市や地域の復興―』筑波大学出版会ISBN 978-4-904074-38-1 

主な論文

受賞

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脚注

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  1. ^ a b c プロフィール. OHSAWA Yoshiaki - on the web
  2. ^ a b c d e f g h 大澤義明「〈研究室だより〉社会工学類1.5期生―オペレーションズ・リサーチ学会文献賞を受けて―」『筑波フォーラム』第60巻、2001年、85-88頁、NAID 110000390407 
  3. ^ 2000年採択 基盤研究(C)「迷惑施設の多目的計画配置問題に関する理論研究」 - KAKENデータベース
  4. ^ Osawa (2000; NRL).
  5. ^ a b 研究賞 - 日本オペレーションズ・リサーチ学会
  6. ^ 2002年採択 基盤研究(B)「欧州における間接税競争・税調和政策の実態調査」 - KAKENデータベース
  7. ^ 2002年採択 基盤研究(C)「ランドマーク景観・緑地景観の数理評価モデル」 - KAKENデータベース
  8. ^ 2006年採択基盤研究(B)「高速道路建設における国民投票の意義―民主主義と経済効率との対立に着目して―」 - KAKENデータベース
  9. ^ 2013年採択 挑戦的萌芽研究「公共施設配置における住民投票の意義―投票制度は経済効率をどの程度悪化させるのか」 - KAKENデータベース
  10. ^ 2008年採択 挑戦的萌芽研究「地方分権社会における自治体間格差・不均衡の意義―市町村政策の時空間伝播―」 - KAKENデータベース
  11. ^ 2010年採択 基盤研究(B)「縮小時代における公共施設整備見直し政策の理論化」 - KAKENデータベース
  12. ^ 2013年採択 基盤研究(A)「老朽化する都市インフラの選択集中整備に関する理論・実証研究」 - KAKENデータベース
  13. ^ a b c 2009年学会賞・功績賞・国際交流賞受賞者 授賞理由書 (PDF) p. 5, 9 - 日本都市計画学会。都市空間の解析に関する一連の研究に対して。
  14. ^ 教授に聞く学生時代 (PDF) p. 4 - Campus (筑波大学全学学類・専門学群代表者会議の広報誌) No. 185 (2011年)
  15. ^ a b c d 教員プロファイル - 筑波大学
  16. ^ 博士論文『グループ利用、混雑現象を考慮に入れたLocation-Allocation問題』 - 博士論文書誌データベースより。
  17. ^ 日本経済新聞・地方経済面(北関東)「筑波大と高校、街づくりに新風(こだま)」2011年12月20日(p. 41)
  18. ^ 2013米軍子弟教育高大連携プロジェクトを実施 - 筑波大学 (2014年9月28日閲覧)
  19. ^ 「応用地域学研究」編集委員会 - 応用地域学会 (2014年9月28日閲覧)
  20. ^ 日本経済新聞・地方経済面(茨城)「筑波大学社会工学系助教授大沢義明氏―IT、学生の意見貴重(利根往来)」2001年6月9日(p. 41)
  21. ^ 朝日新聞・朝刊「ITなら若者に つくば市があす懇話会 学生・院生らで構成/茨城」2001年5月15日(p. 35)
  22. ^ 松田拓朗 (2015年11月29日). “復興計画へ議論スタート 「常総再生」の一歩”. 茨城新聞. http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14487054012587 2015年12月1日閲覧。 
  23. ^ “超高齢化社会向けまちづくり考える 土浦で来月シンポ”. 茨城新聞. (2014年10月30日). http://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=14145960589522 2015年12月1日閲覧。 
  24. ^ 学生論文賞 - 日本オペレーションズ・リサーチ学会

外部リンク

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先代
橋本昭洋
筑波大学社会工学系長/社会工学域長
2011年 - 2015年
次代
谷口守