コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

大島寛史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大島 寛史おおしまひろし
生誕 1949年8月
居住 日本の旗 日本
フランスの旗 フランス
国籍 日本の旗 日本
研究分野 生理学
研究機関 国立予防衛生研究所
国際がん研究機関
静岡県立大学
出身校 東京水産大学水産学部卒業
東京水産大学大学院水産学研究科修士課程修了
主な業績 メタボリック症候群バイオマーカーとしてのコレステロール炎症酸化物の新規同定
新規化学発がんの要因の検索とその生物活性の研究
プロジェクト:人物伝
テンプレートを表示

大島 寛史(おおしま ひろし、1949年8月 - )は、日本厚生官僚国際公務員生理学者(食品栄養科学・腫瘍生化学がん予防学・がん分子疫学)。農学博士東京大学論文博士・1987年)。静岡県立大学名誉教授。

国立予防衛生研究所食品衛生部勤務を経て、国際がん研究機関内因性発がん要因部門部長、静岡県立大学食品栄養科学部教授、静岡県立大学食品栄養科学部学部長(第7代)などを歴任した。

来歴

[編集]

生い立ち

[編集]

1949年に生まれた[1]東京水産大学(のちの東京海洋大学)に進学し、水産学部の製造学科にて学ぶ[2]。卒業後はそのまま東京水産大学の大学院に進学し、水産学研究科にて学んだ[2]1975年に同大学院の修士課程を修了した[2]。なお、その後1987年になって、東京大学より農学博士の学位を取得している[3]。博士論文の題は「Studies on carcinogenic N-nitroso compounds : analysis and occurrence in fishery products, and endogenous formation」[4] である。

研究者として

[編集]

大学院修了後、厚生省施設等機関のひとつである国立予防衛生研究所(のちの国立感染症研究所)に採用される[5]。同研究所では食品衛生部に配属され、1979年まで務めた[5]。同年、世界保健機関が所管する研究機関のひとつである国際がん研究機関にて勤務することになった[5]。国際がん研究機関はフランスローヌ=アルプ地域圏ローヌ県に所在することから、自身もフランスに渡った。以来、国際がん研究機関にて2006年まで勤務した[5]1994年には、同機関の内因性発がん要因部門にて部長に就任した[5]。また、それと並行して、国立がんセンター(のちの国立がん研究センター)の研究所にて、生化学部の客員研究員も兼任していた[5]

2006年に静岡県立大学に転じ、食品栄養科学部の教授に就任し、栄養生命科学科を担当した[1][5]。また、同大学の大学院では、生活健康科学研究科の教授を兼務し、食品栄養科学専攻を担当した。2011年中山勉の後任として、食品栄養科学部の学部長に就任した[1]。また、2012年に生活健康科学研究科と薬学研究科が統合再編されたことにともない、新設された食品栄養環境科学研究院の教授を兼務することとなった[1]2015年3月付にて、静岡県立大学を定年退職した[6][7][8]。同年6月1日]付で、静岡県立大学より名誉教授の称号が贈られた[9]

研究

[編集]

専門は生理学や医学、生物学であり、食品栄養科学などの領域や、腫瘍生化学がん予防学、がん分子疫学といった悪性新生物についての領域を研究している[10]。具体的には、メタボリックシンドロームバイオマーカーとして用いられる新たな酸化物同定を行った[11]。また、化学的な要因での悪性新生物の発生のメカニズムの解明に取り組んでいる[11]。近年では、ヤマノイモのジオスゲニンなどを取り上げて研究している[12]。それらの研究の成果は、アメリカ癌学会の『Cancer Prevention Research』など、多くの学術雑誌に発表している。なお、学術雑誌に関しては、『Cancer Science』の副編集長、『International Journal of Cancer』や『Asian Pacific Journal of Cancer Prevention』の編集会議のメンバーであった。また、一般紙において癌予防に効果的な生活習慣を啓蒙するコラムを寄稿するなど[13]、一般のマスコミに登場する機会も多い。

学会活動としては、日本環境変異原学会、日本NO学会、日本癌学会などに所属している。一酸化窒素についての研究者が集う日本NO学会では、腫瘍学を担当する理事のひとりとして名を連ねている[14][15]。また、日本環境変異原学会では評議員を務めている[16]

略歴

[編集]

著作

[編集]

共著

[編集]
  • 木苗直秀編著『健康と長寿への挑戦――食品栄養科学からのアプローチ』南山堂、2006年。ISBN 4525634014
  • Yusuke Hiraku, Shosuke Kawanishi and Hiroshi Ohshima, Cancer and inflammation mechanisms : chemical, biological, and clinical aspects, Wiley, 2014. ISBN 9781118160305

編纂

[編集]
  • 永井竜児・大島寛史編著『基礎生化学 = Biochemistry――健康・疾病とのつながり』アイ・ケイコーポレーション、2013年。ISBN 9784874922958

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d 「教員情報詳細」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  2. ^ a b c 「学歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  3. ^ 「学位」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  4. ^ 大島寛史「Studies on carcinogenic N-nitroso compounds : analysis and occurrence in fishery products, and endogenous formation」1987年
  5. ^ a b c d e f g 「主な経歴」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  6. ^ 新井英一ご案内――平成26年度――大島寛史先生による最終講義』。
  7. ^ 「食品栄養科学部大島寛史教授最終講義」『食品栄養科学部 大島寛史教授 最終講義:静岡県公立大学法人 静岡県立大学』静岡県立大学。
  8. ^ 「教員人事」『はばたき』129号、静岡県立大学広報委員会、2015年6月1日、18頁。
  9. ^ 「教員人事」『はばたき』130号、静岡県立大学広報委員会、2015年10月1日、18頁。
  10. ^ 「専門分野」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  11. ^ a b 「主要研究テーマ」『教員情報詳細:静岡県立大学教員データベース』静岡県立大学。
  12. ^ Noriyuki Miyoshi, et al., "Chemoprevention of azoxymethane/dextran sodium sulfate-induced mouse colon carcinogenesis by freeze-dried yam sanyaku and its constituent diosgenin", Chemoprevention of azoxymethane/dextran sodium sulfate-induced mouse colon carcinogenesis by freeze-dried yam sanyaku and its constituent diosgenin, American Association for Cancer Research, March 2, 2011.
  13. ^ 大島寛史「食生活の改善でがん予防」『中日新聞:長寿の根拠を求めて(8) 食生活の改善でがん予防:食と健康:静岡(CHUNICHI Web)中日新聞社2007年7月3日
  14. ^ 「理事」『日本NO学会』日本NO学会。
  15. ^ 「腫瘍学」『日本NO学会』日本NO学会。
  16. ^ 「評議員」『日本環境変異原学会 - 理事・評議員・各種委員会』日本環境変異原学会、2012年2月20日。

関連人物

[編集]

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
学職
先代
中山勉
静岡県立大学
食品栄養科学部学部長

第7代:2011年 - 2013年
次代
合田敏尚