変動地形学
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変動地形学(英: tectonic geomorphology)とは、内的営力に伴った地形の形成について研究する学問分野のことである[1]。なお、侵食地形は含まない[2]。
概要
[編集]変動地形学は大地震の際に生じた地殻変動の調査から始まり[2]、地殻変動や活断層についてのメカニズムを解明する学問分野で[3]、特に日本やニュージーランドで発達した研究分野である[1]。日本では日本列島が世界有数の変動帯に属するため、研究が行われてきた[4]。
学史
[編集]地理学者の吉川虎雄は、震災予防調査曾からの委託で山崎直方が行った1923年の関東地震に関する調査[5]が基礎的研究のきっかけとなったとしている[2]。
1940 - 60年代
[編集]1947年、ニュージーランドでコットン(en:Charles Cotton (geologist))が変動地形と構造地形の区別を最初に強調し、主に横ずれ活断層の地形学的手法による研究が開始された。日本では1960年代に活断層研究が活発化し、横ずれ活断層が発見された。また、プレートテクトニクスの受容に伴い、変動地形区の研究が本格的に開始された[6]。
1990年以降
[編集]1995年に発生した兵庫県南部地震[4]、2011年に発生した東日本大震災により、変動地形学の認知度および研究の社会的ニーズが高まった[3]。翌年(2012年)に発足した原子力規制委員会では、断層についての外部有識者として変動地形学の研究者が推薦された[7]。
脚注
[編集]- ^ a b 箕浦 幸治・池田 安隆、2011、『地球のテクトニクスI 堆積学・変動地形学』、共立出版 ISBN 978-4-320-04717-4 p. 122
- ^ a b c 吉川虎雄、山崎直方先生と変動地形の研究 地理学評論 1971年 44巻 8号 pp.552-564, doi:10.4157/grj.44.552
- ^ a b 大学院 理学研究科 地形学研究室|研究|国立大学法人 千葉大学|Chiba University 2017年8月8日閲覧
- ^ a b 中田 高、2005、「変動地形学の新しい展開:シンポジウムの趣旨と内容」、『地理科学』60巻3号、doi:10.20630/chirikagaku.60.3_133 pp. 133-135
- ^ 山崎直方、「関東地震ノ地形学的考察」 震災予防調査曾報告 100乙, 11-54, 1925, NAID 10004721299
震災予防調査会報告 第百号(乙) 関東大地震調査報文 地変及津浪篇 - ^ 貝塚 爽平、米倉 伸之・岡田 篤正・森山 昭雄(編)、2001、『大学テキスト 変動地形学』、古今書院 ISBN 4-7722-5051-4 pp. 1-17
- ^ 渡辺 満久、2013、「変動地形研究者が果たすべき役割 - 原子力施設周辺の活断層評価 -」、『日本地理学会発表要旨集』、doi:10.14866/ajg.2013a.0_100072
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 中田高、変動地形学の新しい展開 : シンポジウムの趣旨と内容 地理科学 Vol.60 (2005) No.3 pp.133-135, doi:10.20630/chirikagaku.60.3_133
- 渡辺満久、変動地形研究者が果たすべき役割 - 原子力施設周辺の活断層評価 - 2013年度日本地理学会秋季学術大会 セッションID: S0202, doi:10.14866/ajg.2013a.0_100072