堺呼気検査拒否事件
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最高裁判所判例 | |
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事件名 | 道路交通法違反 |
事件番号 | 平成8(あ)600 |
1997年(平成9年)1月30日 | |
判例集 | 刑集第51巻1号335頁 |
裁判要旨 | |
道路交通法六七条二項の規定による警察官の呼気検査を拒んだ者を処罰する同法一二〇条一項一一号の規定は、憲法三八条一項に違反しない。 | |
第一小法廷 | |
裁判長 | 小野幹雄 |
陪席裁判官 | 高橋久子、遠藤光男、井嶋一友、藤井正雄 |
意見 | |
多数意見 | 全会一致 |
反対意見 | なし |
参照法条 | |
憲法38条1項,道路交通法67条2項,道路交通法120条1項11号 |
堺呼気検査拒否事件(さかいこきけんさきょひじけん)は、自動車を公道で運転する者が警察によるアルコール呼気検査を拒否した場合に刑事罰を課すことが日本国憲法第38条の自己負罪拒否特権に違反しないかが争われた、日本の訴訟[1]。
概要
[編集]1995年5月2日に大阪府堺市内でトラックを運転中の30歳代の男Xが、警察官から道路交通法第67条第2項に基づく呼気検査を求められて拒否したことで、道路交通法の呼気検査拒否罪で起訴された[1][2][3]。それ以外にもXについて酒気帯び運転1件と無免許かつ酒気帯び運転2件についても併せて刑事訴訟の対象となった[1]。
1995年12月15日に大阪地方裁判所はいずれの訴因についても有罪としてXに懲役4か月罰金3万円の有罪判決を言い渡した[1]。Xは控訴したが、1996年5月7日に大阪高等裁判所は控訴を棄却した[1]。Xは被検査者が任意の呼気検査に応じないにもかかわらず、刑罰をもって呼気検査を強制することは、自己に不利益な供述を強要することと異なるところはないから、警察官が求める呼気検査に応じなかった者を処罰する道路交通法は日本国憲法第38条第1項に違反するとして最高裁判所に上告した[1]。
1997年1月30日に最高裁は「呼気検査は酒気帯び運転等を防止する目的で体内のアルコールの程度を調査するもので、供述を得ようとするものではなく、検査を拒んだ者を処罰することは憲法に違反しない」として違憲の主張を退けて上告を棄却し、Xの有罪が確定した[4][5]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 平良木登規男、椎橋隆幸、加藤克佳 編『刑事訴訟法』悠々社〈判例講義〉、2012年4月。ASIN 4862420222。ISBN 978-4-86242-022-0。 NCID BB0914477X。OCLC 820760015。全国書誌番号:22095472。
- 工藤達朗 編『憲法判例インデックス』商事法務、2014年3月11日。ASIN 4785721499。ISBN 978-4-7857-2149-7。 NCID BB15238878。OCLC 875969895。全国書誌番号:22396026。