埼玉新都市交通2020系電車
埼玉新都市交通2020系電車 | |
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2020系21編成・グリーンクリスタル(加茂宮駅にて) | |
基本情報 | |
運用者 | 埼玉新都市交通 |
製造所 |
三菱重工業(21 - 23編成) 三菱重工エンジニアリング(24編成 - )[1] |
製造年 | 2015年 - 2020年 |
製造数 | 6両編成5本(30両) |
運用開始 | 2015年11月4日 |
投入先 | 埼玉新都市交通伊奈線 |
主要諸元 | |
編成 | 6両編成 |
軌間 | 1,650 mm |
電気方式 |
三相交流600V,50Hz 剛体三相三線式 |
最高運転速度 | 60 km/h |
設計最高速度 | 70km/h |
起動加速度 | 3.5km/h/s (0.97m/s2) |
減速度(常用) | 3.5km/h/s (0.97m/s2) |
減速度(非常) | 4.5km/h (1.25 m/s2) |
編成定員 | 260人(座席114人・立席146人) |
車両定員 |
先頭車38人(座席13人・立席25人) 中間車46人(座席22人・立席24人) |
車両重量 |
先頭車 10.8 t 中間車 10.5 t |
全長 | 8,000 mm(連結面間) |
全幅 |
先頭車:2,610mm(バックミラー間寸法) 中間車:2,480mm |
全高 | 3,240mm |
車体 |
アルミニウム合金 ダブルスキン構造 |
台車 |
三菱重工業製 4案内輪車軸ボギー台車(T - smover) 動台車:MDT304形/従台車:MTR304形[2] |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 125kW(装備数 1台/1両) |
駆動方式 | 直角カルダン駆動方式 |
歯車比 | 1:6.833 |
定格速度 | 40.4km/h |
制御方式 | CI(コンバータ/インバータ)制御(IGBT素子VVVFインバータ制御) |
制御装置 | 東洋電機製造製RG697-B-M(コンバータ/インバータ式、装備数2台/編成)(インターネットアーカイブ) |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・保安ブレーキ・駐車ブレーキ |
保安装置 | 車内信号式ATC |
備考 |
マスコン制御段数 力行3段、制動5段 集電装置 6台/編成片側 ユニット3台並列 出典:[3] |
埼玉新都市交通2020系電車(さいたましんとしこうつう2020けいでんしゃ)は、2015年(平成27年)11月4日より営業運転を開始した[4]埼玉新都市交通のAGT(新交通システム)用電車。
概要
[編集]2020系は、既存の1010系の置き換え及び1050系の取り換え準備のために導入が行われてきた2000系に続いて、残った1010系3編成の置き換えを目的として、同社で初めて三菱重工グループ製[5]の車両を導入したものである。2016年度グッドデザイン賞受賞[6][7]。
2015年11月と2016年2月、6月にそれぞれ1編成、計3編成を導入して、1010系を置き換えた。この3編成まで、購入に際して自治体とJR東日本の経営支援を受けた[8]。以後は自力調達となり、2019年2月には各所に改良を施した第4編成[9]、2020年2月に第5編成を導入[10] して、1050系2本を置き換えた。
概説
[編集]車体
[編集]編成はゴムタイヤ式2軸車の6両編成。
外観は、並走する新幹線との調和性の高い、未来感のあるデザインを目指して設計された。車体は2000系のステンレス製から、アルミ製オールダブルスキン構造に変更され、1両あたり1 t超の軽量化が図られた[11]。前頭部はFRP(炭素繊維強化プラスチック)により構成している[2]。
車体断面は、理想的なシートの傾きを基準に、最も車内を広くできる形状として、六角形になっている[11]。前面デザインや客用ドア周りも六角形を強調した配色になっている。
客用ドアは同社初となる外吊り式ワイドドア(従来の1,300 mm幅から1,400 mm幅に拡大)を採用した[11]。ドアには下部にも窓をつけ、下方の景色を望めるようにした[11]。ドアを駆動させる戸閉装置は、空気式に代わり富士電機製のFCPM方式(ラック・アンド・ピニオン)の電気式ドアエンジンを採用している[12]。
台車には三菱重工業の最新式「T-smover」(軽量・高耐久性・低振動・低騒音・メンテナンスの容易性を備えた台車)を採用している。24編成では、人体に負荷をかける周波数を分析し、台車まわりを再設計した[1]。空気圧縮機(CP)は従来のレシプロ式に代わり、潤滑油の不要なオイルフリースクロール式(三菱電機製URC800D-1形)が使用されている[2]。
行先表示器には、2000系同様LED式の表示器が使われ、前面運転台窓上のほか、側面にも設置されている。24編成以降はフルカラーLEDを採用している。
第1編成(21編成)の前面塗装には、埼玉新都市交通のコーポレートカラーであるグリーン(グリーンクリスタル)を基調とし、ホワイト、ブラックをあしらった。側面はブラック、シルバー、グリーンが採用されており、22編成ではオレンジ(ブライトアンバー)が、23編成ではピンク(ピュアルビー)、24編成では黄色(ゴールデントパーズ)[9]、25編成は紫色(トワイライトアメジスト)が採用された。
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ブライトアンバーの22編成(加茂宮駅にて)
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ピュアルビーの23編成(加茂宮駅にて)
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ゴールデントパーズの24編成(加茂宮駅にて)
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トワイライトアメジストの25編成(加茂宮駅にて)
車内
[編集]座席は、ゆりかもめ7300系電車で採用されたG-Fit技術(密着性を高め、座面角度を調整し、足を投げ出しづらくした)のオールロングシートで、これまでよりフィット性が良くなった。配色は、座席は黒を基調に背もたれ中心部が緑、壁はホワイト、床下は薄いグリーンとなっている。座席の前にはスタンションポール(縦握り棒)もこれまで通り設置された。座席上部には荷棚が設置され、より利用しやすくなった。
先頭車の乗務員室直後には車椅子スペースが設置されており、合わせて非常通報装置が設置されている[11]。乗務員室と客室間の仕切り窓はシースルーパーテーション型とすることで、2000系よりも展望性を大幅に向上させている[11]。側窓は2段式で、下段は固定窓だが、上段は換気のため内倒れ式となっている[11]。
各ドア上部には、2000系同様LED式の車内案内表示器が設置されており、次駅、行先などを案内する。また、ドアブザーも装備されている。
2018年からは全車両への防犯カメラ設置が開始された[13]。24編成では、シートの樹脂の改良による乗り心地向上、新製当初から防犯カメラの設置、手すり位置の変更を行った[1]。
制御装置
[編集]主変換装置には東洋電機製造製2レベルCI(コンバータ/インバータ)によるVVVFインバータ制御(RG-697-B-M形)を採用している[3]。機器はコンバータ部・インバータ部共IGBT素子(1,700V - 1,200A)を使用しており、三相交流をコンバータにより直流に変換後、VVVFインバータ装置で三相交流に変換して誘導電動機を制御する(PGセンサレスベクトル制御・定速運転対応)[3]。主電動機はかご形三相誘導電動機であり、型式はTDK-6450-B(端子電圧700V、電流133A、周波数55Hz、出力125kW、定格回転数1,610rpm、効率91.5%、力率85%)である[3]。1台のCIにより、3台の主電動機を制御する1C3M制御方式である[3]。
乗務員室
[編集]運転台は既存の車両と同じくワンマン運転に対応しており、運転台の正面には速度計などの計器類が、右側にはモニタ装置ディスプレイ(日立製作所製のATI[2])が配されている。主幹制御器は片手ワンハンドル式(デッドマン装置付)で、力行1 - 3ノッチ、ブレーキは1 - 5段・非常位置である[3]。
24編成では運転ハンドルを改善するとともに、あらゆる体形の運転士が最適な運転ポジションに位置できるように改良した[1]。
その他
[編集]2019年(平成31年)1月16日に2000系2606号車のタイヤがパンク・バーストした事故を受け、2020年(令和2年)2月21日より、24編成から順次、タイヤ内圧監視装置の使用を開始する[14]。
歴史
[編集]- 2015年(平成27年)
- 2016年(平成28年)
- 2019年(平成31年)2月18日 - 第4編成となる24編成が営業運転を開始(ゴールデントパーズ)[9][18]。
- 2020年(令和2年)2月21日 - 第5編成となる25編成が営業運転を開始(トワイライトアメジスト)[10]。
編成表
[編集](ループ線のため、1往復ごとに車両の向きが変わる) ← 大宮・内宿 大宮・内宿 →
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形式 | 2120形 (M1) |
2220形 (M2) |
2320形 (M3) |
2420形 (M4) |
2520形 (M5) |
2620形 (M6) |
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機器配置 | APU,CP | CI | BT | BT | CI | APU,CP |
車両番号 | 2121 : 2125 |
2221 : 2225 |
2321 : 2325 |
2421 : 2425 |
2521 : 2525 |
2621 : 2625 |
凡例
- CI:主変換装置
APU:補助電源装置
CP:空気圧縮機
BT:蓄電池
脚注
[編集]- ^ a b c d 埼玉新都市交通(ニューシャトル)向け 乗り心地を改善したAGT車両6両を追加納入(三菱重工業ニュースリリース・インターネットアーカイブ)
- ^ a b c d 日本鉄道車輌工業会「車両技術」252号(2016年9月)「埼玉新都市交通2020系 交流電車」pp.72 - 82。
- ^ a b c d e f 畠山卓也; 久保厳之; 山口敏弘 (2007年9月). “埼玉新都市交通株式会社向け2000系「ニューシャトル」新車用電気品” (PDF). 東洋電機技報 第116号. 東洋電機製造株式会社. pp. pp.7-11. 2010年2月26日閲覧。(インターネットアーカイブ)。
- ^ a b 新型車両2020系がデビュー!(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
- ^ 23編成までは三菱重工業製となっていたが、三菱重工業の交通システム製品の製造は2018年1月1日より三菱重工エンジニアリングに継承されたため、24編成からは三菱重工エンジニアリング製となっている。
- ^ a b 「新型車両2020系」が2016年度グッドデザイン賞を受賞しました!(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
- ^ 「新交通システム車両 ニューシャトル2020系」 - グッドデザイン公式 2016年10月2日閲覧
- ^ 埼玉県. “埼玉新都市交通への経営支援”. 埼玉県. 2020年12月1日閲覧。
- ^ a b c 2020 系 第4弾目の 24 (にいよん)編成がデビューします。(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
- ^ a b 2020系 第5弾目の25(にいごう)編成がデビューします - 埼玉新都市交通 2020年02月18日
- ^ a b c d e f g 交友社『鉄道ファン』2016年1月号CAR INFO「埼玉新都市交通2020系」pp.60 - 61。
- ^ 富士電機技報 2016年Vol.89 No.2 2015年の技術成果と展望 (PDF) (インターネットアーカイブ)。
- ^ ニューシャトル全車両に防犯カメラを設置します(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)
- ^ タイヤ内圧監視装置導入のお知らせ 埼玉新都市交通 2020年02月18日
- ^ a b 埼玉新都市交通 2020系第2編成 あすから投入 - 交通新聞社 トピックスニュース、2016年2月1日(インターネットアーカイブ)。
- ^ 最新型2020系第二弾 22編成がデビューします! - 埼玉新都市交通株式会社、2016年1月28日(インターネットアーカイブ)。
- ^ 2020系第3弾目の23(にいさん)編成がデビューします。(埼玉新都市交通トピックス・インターネットアーカイブ)。
- ^ 三菱重工エンジニアリング,ニューシャトル2020系を追加納入 - 鉄道ファン2019年2月12日
参考文献
[編集]外部リンク
[編集]- 埼玉新都市交通にニューシャトル向け新型車両の納入を開始 11月から営業運転、「第4回鉄道技術展」にも実物を出展(三菱重工業ニュースリリース・インターネットアーカイブ)
- 新交通システム車両「ニューシャトル2020系」が2016年度グッドデザイン賞を受賞 埼玉新都市交通株式会社で運行中の新型車両(三菱重工業ニュースリリース・インターネットアーカイブ)