城口洋平
きぐち ようへい 城口 洋平 | |
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生誕 |
1987年8月5日(37歳) 日本 |
出身校 |
東京大学法学部 ケンブリッジ大学工学部博士課程[1] |
職業 |
ENECHANGE Innovation Limited. CEO[2] JAPAN ENERGYファンド Managing Partner[3] |
受賞 |
Forbes 30 Under 30 Europe 第1回 JX Awards 2022 大賞 |
城口 洋平(きぐち ようへい、1987年8月5日[4] - )は、日本の起業家、実業家。工学博士(ケンブリッジ大学)。2015年にENECHANGE株式会社を創業し、現在はENECHANGE Innovation Limited. CEO[2]、JAPAN ENERGYファンド Managing Partner[3]を務める。経済産業省委員会、公益社団法人経済同友会、一般社団法人新経済連盟において各種委員を務め、脱炭素戦略の政策提言にも参画。2017年に「Forbes 30 Under 30 Europe」に日本人として初選出される[5][6]。新経済連盟「第1回 JX Awards 2022 大賞」受賞者[7]。ロンドン在住[8]。
来歴・人物
[編集]幼少期から高校時代
[編集]1987年、創業100年を超える老舗企業の長男として誕生し、兵庫県神戸市で育つ[9]。テニスに没頭し全国大会に出場、優勝をめざしていた。しかし小学校6年生の時に全国大会で2歳年下の錦織圭に惨敗したことで、勉強でトップをめざすことを決意し灘中学校・高等学校に進学[10]。高校の生徒会長を務めていた16歳の時、課外授業でゲストとして招いたオプト創業者鉢嶺登との出会いに恵まれ、起業家を目指すようになる[11]。2006年に東京大学文科一類進学。
学生起業家として
[編集]東京大学入学後、駒場キャンパスにおいて開講されていた鈴木寛が主宰する自主ゼミナール(通称「すずかんゼミ」)で触発され、入学したその年の2006年に資本金120万円で夜間診療のコンビニクリニック「コラボクリニック新宿」を学生など20人の友人たちと開院。医療法人への事業譲渡に伴い、翌年末に診療所は発展的解消をした。[注 1]
東京大学とハーバード大学の交換留学プログラム「HCAP Tokyo」を立ち上げる[11]。この取り組みは、2016年に東京大学総長賞を受賞[13]。
2008年、アメリカに住んでいた叔母を頼り渡米。シリコンバレーに滞在する。梅田望夫の著書『ウェブ進化論』に感銘を受けていた城口は、同地で梅田との出会いを果たし刺激を受け、起業への決意を新たにする[10]。
2009年4月、東京大学・東京工業大学産学連携本部の協力を得て、大学発のベンチャーとして株式会社ミログを起業[14]。ベンチャーキャピタルなどから約4億円の資金調達を受けたが、Androidスマートフォンのアプリ起動情報や端末情報などをユーザーの同意を得ずに収集してしまう事態が意図せず発生し、批判を浴びる。2012年4月2日、同社は解散、清算に至った[11][15]。
ミログを解散した理由として、同社の社会的信用が失墜した中同じ領域での事業再開が難しい、またこの事業で資本調達を行っている中での事業転換は株主への信義則に反することを挙げている[16]。
震災、そしてケンブリッジ大学へ
[編集]2011年の東日本大震災と福島第一原子力発電所事故をきっかけに、日本の電力業界の現状やエネルギー自給率の低さに課題を感じ、エネルギー分野における事業構想を始める。
城口の出身校の灘中学校・高等学校のある東灘区は、阪神・淡路大震災の被害が大きかった地域で、震災から10年目の2005年、高校在学時には被災者支援のためのチャリティーコンサートを開催。また東日本大震災時にも高校の友人たちと共に毎週のように被災地に赴いたが、瓦礫撤去程度しか役に立てることがなく歯がゆさを感じていた。これらの阪神・淡路大震災と東日本大震災での城口自身の経験、また生活に不可欠な電力というインフラが崩壊したときのインパクトを体感したことが、エネルギーの課題解決に取り組むことを後押しした[6][11]。
2013年、エネルギー分野での専門性を身につけるためケンブリッジ大学に留学。留学先としてイギリスを選択したのは地理的・制度的な条件が日本と類似しており、電力市場の自由化が進んでいたため[17]。博士課程在学中、エンジェル投資家で株式会社エプコCEOの岩崎辰之から1億円の資金提供を受ける[18]。この資金を元に2013年6月に産学連携研究機関Cambridge Energy Data Lab Limitedを創設し、ディレクターに就任。電力のデータ解析についての研究に取り組んだ[19]。
エネルギーテックの創業
[編集]Cambridge Energy Data Lab Limitedでの研究成果を活かし、日本における電力自由化を1年後に控えた2015年4月27日、エネチェンジ株式会社(現ENECHANGE株式会社)を設立。翌年2月、イギリスでSMAP ENERGY Ltd.(現ENECHANGE Innovation Ltd. )を設立した。
2017年6月30日、エネチェンジ株式会社とSMAP ENERGY Ltd.が経営統合し、エネチェンジ株式会社代表取締役会長に就任[20]。
2019年12月、脱炭素分野の海外エネルギーベンチャーへの出資を目的とした「JAPAN ENERGYファンド」が設立されManaging Partnerに就く[3]。
ENECHANGE株式会社の上場
[編集]創業してから5年、2020年12月にENECHANGE株式会社は東京証券取引所マザーズへ上場を果たした[21]。エネルギーテックとしては初の上場企業となった[22]。また2021年11月には同社の時価総額が1,100億円に達しユニコーン相当を実現するなど、創業して数年間の間に急成長を遂げている[23]。
研究者として
[編集]2013年より在籍したケンブリッジ大学では、スマートメーターから取得した電力データの予測モデルに関しての解析研究を行った。2017年6月に同大学の博士課程研究期間を修了し、事業を優先するために休学。発表した国際論文の2つはエルゼビア社が出版する査読付学術雑誌『Energy』にそれぞれ2019年4月と2021年12月に掲載された[24][25]。2021年12月22日に博士号を取得[1]。
略歴
[編集]- 2006年 - 灘高等学校卒業
- 2010年 - 東京大学法学部卒業
- 2015年 - ENECHANGE株式会社CEO
- 2016年 - ENECHANGE Innovation Limited. CEO
- 2017年 - ケンブリッジ大学工学部博士課程研究期間修了
- 2019年 - JAPAN ENERGYファンド Managing Partner
- 2021年 - ケンブリッジ大学工学博士号取得 (Ph.D.)
- 2024年 - 会計処理上の不正を会計監査人から指摘されたことを契機にENECHANGE株式会社代表取締役社長CEO並びに取締役を退任[26][27]
その他の役職
[編集]- 経済産業省「次世代スマートメーター制度検討会」委員[28]
- 経済産業省「エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会」オブザーバー[29]
- 経済同友会「データ戦略・デジタル社会委員会」委員[30]
- 新経済連盟カーボンニュートラルワーキンググループ副座長[31]
- 三極委員会 Asia Pacific Fellows[32]
受賞歴
[編集]関連項目
[編集]脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b ENECHANGE株式会社 公式Webサイト「CEO城口洋平がケンブリッジ大学工学博士号を取得」2021年12月23日2023年5月26日閲覧
- ^ a b “About us”. SMAP Energy. 2024年8月4日閲覧。
- ^ a b c “チーム”. Japan Energy Fund. 2024年8月4日閲覧。
- ^ IR Bank「役員の状況」2023年5月26日閲覧
- ^ a b “フォーブス欧州版「30アンダー30」に日本人、城口洋平が選出”. フォーブスジャパン (2017年1月23日). 2024年8月4日閲覧。
- ^ a b c Forbes「フォーブスが選ぶ30歳未満、欧州版で唯一リスト入りした日本人」2018年3月31日2023年5月26日閲覧
- ^ a b 新経済連盟「新経済連盟10周年記念イベント「Japan Transformation ~アントレプレナーが日本を変える!~」」2022年6月6日2023年5月26日閲覧
- ^ bridge “Enechange: Yohei Kiguchi harnesses the power of energy for change” 2023年5月5日2023年5月26日閲覧
- ^ 城口洋平 Facebook「プロフィール」2023年5月26日閲覧
- ^ a b 現代ビジネス「灘高 元生徒会長 城口洋平の頭脳」2010年5月7日2023年5月26日閲覧
- ^ a b c d NewsPicks「イノベーターズ・トークvol.175 電力イノベーターの先を読む力」2019年2月12日2023年5月26日閲覧
- ^ ナビタスクリニック Official Blog「「都会の働き手は時間的医療弱者」~現場からの医療改革推進協議会第14回シンポから①」
- ^ 東京大学Webサイト「学生表彰「東京大学総長賞」歴代受賞者名・題目一覧」2023年5月26日閲覧
- ^ 映像情報メディア学会誌「創業3ヵ月で1億円の資金調達に成功した「大学発ベンチャー株式会社ミログ」」2010年64巻3号2023年5月26日閲覧
- ^ ITmedia News 「ミログが会社清算 “スパイアプリ”問題で批判、再出発断念」2012年4月2日2023年5月26日閲覧
- ^ “なぜミログは解散に至ったのか、城口代表に聞く”. 日経クロステック (2012年4月13日). 2024年7月15日閲覧。
- ^ Wantedly ENECHANGE株式会社「巨大なエネルギー業界をドライブさせる存在でありたい / ENECHANGE株式会社の創業ストーリー(城口・有田編)」2018年9月5日2023年5月23日閲覧
- ^ 岩崎グループCEOブログ a route「エネチェンジ物語・その1」2016年2月13日2023年5月26日閲覧
- ^ Digital Shift Times「エネチェンジ 城口 洋平 代表取締役会長「エネルギーデータの活用で持続可能な世界の実現を」エネルギー業界のデジタルシフトに挑む若き起業家」2019年10月29日2023年5月26日閲覧
- ^ ENECHANGE株式会社 公式Webサイト「エネチェンジ、イギリス・ケンブリッジ大学 発産学連携ベンチャーSMAP ENERGY社との経営統合で 日本の電力市場にAIを活用した電力データ解析事業で本格参入 ~新・代表取締役会長にForbes 30 Under 30 Europeに日本初選出の城口洋平が就任~」2017年7月19日 2023年5月26日閲覧
- ^ ENECHANGE株式会社 公式Webサイト 広報ブログ「東証マザーズへ上場しました」2020年12月24日2023年5月16日閲覧
- ^ NewsPicks「「【株価高騰】僕らは、「脱炭素」にマストなベンチャーだ」」2020年12月29日2023年5月26日閲覧
- ^ NewsPicks「【評価30倍】僕らは「脱炭素」で、もう一つの勝負をかける」2021年12月28日2023年5月26日閲覧
- ^ Science Direct “Predicting intra-day load profiles under time-of-use tariffs using smart meter data”2023年5月26日閲覧
- ^ Science Direct”Predicting winners and losers under time-of-use tariffs using smart meter data” 2023年5月26日閲覧
- ^ 『代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ』(プレスリリース)ENECHANGE株式会社、2024年7月29日 。2024年8月4日閲覧。
- ^ “エネチェンジ、CEOが辞任 会計処理問題で再発防止策”. 日本経済新聞 (2024年7月29日). 2024年8月4日閲覧。
- ^ 経済産業省Webサイト「次世代スマートメーター制度検討会(第1回)議事概要」2023年5月26日閲覧
- ^ 経済産業省Webサイト「エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会 (2022年度第1回) 委員名簿」 2023年5月26日閲覧
- ^ 経済同友会「データ戦略・デジタル社会委員会 委員名簿」2022年4月2023年5月26日閲覧
- ^ 新経済連盟「カーボンニュートラルワーキンググループを発足しました」2022年6月3日2023年5月26日閲覧
- ^ 三極委員会 Asia Pacific Fellows2023年5月26日閲覧
注釈
[編集]外部リンク
[編集]- Yohei Kiguchi - LinkedIn
- Yohei Kiguchi (@yoheikiguchi) - X(旧Twitter)
- 城口洋平 (youheikiguchi) - Facebook
- ENECHANGE株式会社 公式Webサイト