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土地 (小説)

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土地
著者 朴景利
発行日 1969年 - 1994年
ジャンル 大河小説
大韓民国
言語 朝鮮語
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土地
各種表記
ハングル 토지
漢字 土地
発音 トジ
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土地』(とち)は、韓国の小説家朴景利が書いた大河小説[1]1969年から1994年まで、途中休止を挟んで25年にわたり雑誌に連載された[1]慶尚南道河東郡平沙里(ピョンサリ)を舞台にした第1部から物語が始まり、その後舞台を間島などに広げ、李氏朝鮮末期から日本統治時代を経て太平洋戦争終結による「解放」[2]に至るまでの朝鮮近代史を描く。

概要

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慶尚南道河東郡平沙里(ピョンサリ)の大地主である崔(チェ)一家と、平沙里の農民である李龍(イ・ヨン)一家の家族史を軸に、李氏朝鮮末期から日本統治時代を経て太平洋戦争終結による朝鮮の「解放」[2]に至るまでの内容を扱う全5部25編361章で構成され、「民族の一大叙事詩」[3]とされる。

第1部は1897年から始まり[4][5]、平沙里を舞台にして崔参判家の当主である崔致修(チェ・チス)の殺害と崔一家の没落を描き、第2部では舞台を間島龍井に移し、崔致修の一人娘西姫(ソヒ)の商売による財産形成、崔一家の財産を奪った趙俊九(チョ・ジュング)との対決、そして西姫と二人の息子を始めとする平沙里の人たちの帰郷を描き、第3部では舞台を広げて間島と東京ソウル晋州を中心として物語が展開し、金環(キム・ファン、九泉〈クチョン〉)が獄死し、第4部では金吉祥(キム・ギルサン)の出獄と仏画の完成、紀花(キファ、鳳順〈ポンスン〉)の死、そして柳仁実(ユ・インシル)と日本人の緖方次郞の愛と葛藤を描く一方、李龍の息子である李弘(イ・ホン)や、西姫と金吉祥の二人の息子である崔還国(チェ・ファングク)と崔允国(チェ・ユングク)が物語の前面に徐々に登場する。第5部では第二次世界大戦中の朝鮮人の苦難と解放への期待を表現すると同時に、李相鉉(イ・サンヒョン)と紀花の娘である良絃(ヤンヒョン)、崔允国、そして宋寛洙(ソン・グァンス)の息子である宋栄光(ソン・ヨングァン)の愛の三角関係を描く。この小説は日本の無条件降伏を知らせるラジオ放送を聞いた良絃が西姫の元に走って来てその知らせを伝え、村人たちが一斉に「万歳」を叫ぶシーンで終幕を迎える。

主な登場人物

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崔西姫(チェ・ソヒ)
本作の主人公。崔致修の一人娘[6]李氏朝鮮末期の1892年生まれ[7]。還国(ファングク)と允国(ユングク)の母となる。
金吉祥(キム・ギルサン)
孤児。1885年生まれ。燕谷寺の牛観(ウグァン)住職に育てられる。崔参判家で働く[8]
鳳順(ポンスン) / 紀花(キファ)
崔参判家で針仕事をする女性の娘。1890年生まれ。歌がうまい[9]
李相鉉(イ・サンヒョン)
李東晉の息子。1891年生まれ[10]
金頭洙(キム・ドゥス) / 金巨福(キム・ゴボク)
崔致修を殺した金平山(キム・ピョンサン)の息子。1886年生まれ[11]
崔致修(チェ・チス)
西姫の父。1854年生まれ。尹氏夫人の嫡子で、崔参判家当主の両班。金平山に殺害される[12]
九泉(クチョン)/金環(キム・ファン)
崔参判家の作男(下男)で、独立運動家。東学の将軍・金介周(キム・ゲジュ)と尹氏夫人の庶子。幼少時の吉祥に字を教える。
別堂の若奥様[6]
西姫の母。崔致修の妻。1864年生まれ。娘と夫を捨て、九泉(クチョン)/金環(キム・ファン)と駆け落ちする[13]
尹(ユン)氏夫人
崔致修の母。1842年生まれ[14]
趙俊九(チョ・ジュング)
崔致修のまたいとこ。没落した両班。1852年生まれ。ソウルから平沙里の崔参判家にやって来る[15]
李龍(イ・ヨン)
農民。弘(ホン)の父[16]
金永八(キム・ヨンパル)
農民。李龍の親友[17]
潤保(ユンボ)
大工[18]。義兵として独立運動に加入する[4]
金訓長(キムフンジャン)
没落した両班。村の書堂の先生をしている[19]
李東晉(イ・ドンジン)
崔致修の親友。李府使家当主の両班。独立運動に加わる[20]
孔(コン)老人
間島の商人。西姫に協力し、俊九を陥れる。本名は孔弼先(コン・ピルソン)[21]
宋寛洙(ソン・グァンス)
東学党員。白丁の娘と結婚して衡平社運動に参加する。栄光(ヨングァン)の父。

翻訳など

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原作小説第1部が英語、フランス語、ドイツ語、中国語、日本語に翻訳されている[5]

韓国で漫画版が2015年に完結した[5]。この漫画版は原作を忠実に漫画化している[5]

日本語訳

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  • 『土地』全8巻、福武書店、1983年〜1986年刊:原作第1部の翻訳[5]
  • 『土地』全6巻、講談社、2011年〜2012年刊:2003年に韓国で刊行された全編をダイジェストした青少年版の日本語訳[5]
  • 『完全版 土地』全20巻、クオン、2016年〜2024年刊:[22]。2012年に韓国で刊行されたマロニエブックス(마로니에북스)版の翻訳。

映像化作品

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『土地』は1974年にキム・ジミとイ・スンジェ主演で映画化された[23][24]。映画化の5年後の1979年には初めてテレビドラマ化され、女主人公ソヒ役をハン・ヘスク、相手役のキム・ギルサン役をソ・インソクが演じた[25]。1987年にチェ・スジ主演で再びテレビドラマ化され、2004年にキム・ヒョンジュ主演で3度目のテレビドラマ化がされた[25][26][27]

映画

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原作を李亨愚(イ・ヒョンウ)が脚色し、金洙容(キム・スヨン)が監督して、キム・ジミ、イ・スンジェ、キム・ヒラ主演で映画化され、1974年11月23日に公開された[23]。出演は他にウ・ヨンジョン、チェ・ジョンミン、ホ・ジャンガン、ト・グムボン、ファンヘ、チェ・ナムヒョン、パン・スイル、チュ・ジュンニョ、ヨ・スジン、チェ・ソンホ、チェ・ボンなど[23]。上映時間は130分[23]

第13回大鐘賞で金洙容が監督賞を受賞した他、作品賞および録音賞、キム・ジミが主演女優賞、ト・グムボンが助演女優賞を受賞した[24]。韓国の1970年代の代表的文芸映画とされる[23]

テレビドラマ (1979年)

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1979年に初めてテレビドラマ化されて、11月12日から1980年12月22日まで韓国放送公社 (KBS) で毎週月曜日の夜に全48回にわたって放送された[25][28][29]。女主人公ソヒ役をハン・ヘスク朝鮮語版、相手役のキム・ギルサン役をソ・インソクが演じた[25]。初テレビドラマ化された1979年当時は原作の小説は第4部の途中まで発表されていた[4]。1979年のこのテレビドラマの初回を見た原作者の朴景利は原作小説と違っている点を指摘して、あきれたと述べた[30]

このドラマは韓国最初の大河ドラマとされたが[31]、KBSの大河ドラマとしては続いて1981年1月5日から同じく毎週月曜日に放送された『大命』が「KBS大河ドラマ」第1作として言及されている[32][33][34]

テレビドラマ (1987年)

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チェ・スジ朝鮮語版主演で再びテレビドラマ化され、1987年10月24日から1989年8月6日まで韓国放送公社で「KBS大河ドラマ」として放送された[35][36]

テレビドラマ (2004年)

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2004年から2005年にかけて3度目のテレビドラマ化作品がSBSで放送された[37]。今までの映像化作品は原作小説の完結前に製作されたが、本作は1994年に完結した原作小説の全5部すべてを初めて映像化した[25]。崔西姫(チェ・ソヒ)をキム・ヒョンジュ、金吉祥(キム・ギルサン)をユ・ジュンサン、鳳順(ポンスン、のちの紀花〈キファ〉)をイ・ジェウンが演じた[38][39][40]。2006年に第42回百想芸術大賞テレビ部門の作品賞を受賞した[41]

日本では題名を『名家の娘ソヒ』(ミョンガのむすめソヒ)として放送された[27]

ミュージカル

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原作小説の第1部と第2部をミュージカルとして製作し、公演した[42][43]。詩人のイ・スンハが歌詞を書き、ソウル市立国楽館弦楽団団長を務める朝鮮伝統音楽の作曲家であるキム・ヨンドンが作曲した[42][43]。1995年にソウルで初演し[42][44]、2009年8月14日と15日には原州市の野外劇場で公演された[43]。この2009年8月の公演は250名余りの出演者によって行われた[43]

脚注

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  1. ^ a b 토지 세트 박경리 대하소설, 전20권」(土地セット パク・キョンニ大河小説, 全20巻)NAVER책(本)。2022年1月8日閲覧。
  2. ^ a b 朝鮮史における「解放」については「連合軍軍政期 (朝鮮史)#「解放(光復)」と連合国の「朝鮮即時独立」否定」を参照。
  3. ^ 長璋吉朴景利」『改訂新版 世界大百科事典平凡社コトバンク。2022年1月8日閲覧、2024年1月2日改訂新版を閲覧。
  4. ^ a b c 권영민(クォン・ヨンミン)「토지[土地]」『한국현대문학대사전』(韓国現代文学大事典)。2022年1月8日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 金承福(クオン代表)「『土地』とは?クオン。2022年4月11日閲覧。
  6. ^ a b 第1巻登場人物」『土地 完全版』クオン。2022年4月11日閲覧。
  7. ^ 崔西姬」『土地事典』。2022年4月11日閲覧。
  8. ^ 金吉祥」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  9. ^ 봉순」(鳳順)『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  10. ^ 李相鉉」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  11. ^ 金巨福」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  12. ^ 崔致修」『土地事典』。2022年4月11日閲覧。
  13. ^ 별당아씨」(別堂〈離れ家〉の若奥様)『土地事典』。2022年4月11日閲覧。
  14. ^ 윤씨부인」(尹氏夫人)『土地事典』。2022年4月11日閲覧。
  15. ^ 趙俊九」『土地事典』。2022年4月11日閲覧。
  16. ^ 李龍」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  17. ^ 김영팔」(金永八)『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  18. ^ 윤보」(潤保)『土地事典』。2022年4月13日閲覧。
  19. ^ 김훈장」(金訓長)『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  20. ^ 李東晉」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  21. ^ 孔老人」『土地事典』。2022年4月12日閲覧。
  22. ^ 完全版 土地 17巻」クオン。2023年2月10日閲覧。
  23. ^ a b c d e 土地Daum映画。2022年4月12日閲覧。
  24. ^ a b 토지」NAVER 영화(映画)。2022年1月8日閲覧。
  25. ^ a b c d e 김수혜(キム・スヘ)記者「'토지' 3대 최서희 떴다…주인공에 김현주 낙점」(「土地」第3代チェ・ソヒの名前があがった…主人公にキム・ヒョンジュ指名)『朝鮮日報』(2003年11月18日)。2022年1月8日閲覧。
  26. ^ 토지」NAVER. 2022年1月8日閲覧。
  27. ^ a b 名家の娘ソヒKNTV. 2022年1月23日閲覧。
  28. ^ 대하드라머 토지 첫회」(大河ドラマ 土地 初回)『東亜日報』(1979年11月12日〈月曜日〉8面)、NAVERニュースライブラリー。2022年1月8日閲覧。
  29. ^ 토지 3부 최종회」(土地3部最終回)『東亜日報』(1980年12月22日〈月曜日〉8面)、NAVERニュースライブラリー。2022年1月8日閲覧。
  30. ^ 글 쓴다는 것은 고통과 마주서는 일」(文を書くということは苦痛と向き合って立つこと)『東亜日報』(1979年11月22日3面)、NAVERニュースライブラリー。2022年1月21日閲覧。
  31. ^ 大河 드라머時代 연 KBS의「土地」」(大河ドラマ時代を開いたKBSの「土地」)『朝鮮日報』(1979年11月18日5面)、NAVERニュースライブラリー。2022年1月8日閲覧。
  32. ^ 실존인물 감동적 삶 드라마로 KBS 「인간극장」봄개편때 선봬」(実存する人物の感動的な生き方をドラマでKBS「人間劇場」春改変の時お目見え)『京郷新聞』(1994年1月29日18面)、NAVERニュースライブラリー。2022年1月8日閲覧。
  33. ^ 남지은(ナム・ジウン)記者「KBS 대하사극이 어찌 이 지경이 되었단 말이더냐」(KBS大河史劇がどうしてこの境遇になったのか)『ハンギョレ』(2016年9月9日)。2022年1月8日閲覧。
  34. ^ 이경호(イ・ギョンホ)記者「양승동 KBS 사장 "대하드라마, 내년에 부활시키려 한다"」(ヤン・スンドンKBS社長「大河ドラマ、来年に復活させるようにする」)『스타뉴스』(スターニュース、2020年10月15日)。2021年7月9日時点のアーカイブ。2022年1月8日閲覧。
  35. ^ 토지」NAVER. 2022年4月12日閲覧。
  36. ^ 토지」WAVVE. 2022年4月12日閲覧。
  37. ^ 드라마 정보」(ドラマ情報)『토지』SBS. 2022年4月11日閲覧。
  38. ^ 최서희」(チェ・ソヒ)『토지』SBS. 2022年4月11日閲覧。
  39. ^ 김길상」(キム・ギルサン)『토지』SBS. 2022年4月12日閲覧。
  40. ^ 봉순(기화)」(ポンスン、キファ)『토지』SBS. 2022年4月12日閲覧。
  41. ^ 토지」NAVER映画。2022年4月11日閲覧。
  42. ^ a b c “「토지」 의 감동을 음악극으로”/9월5일 세종문화회관서 막올려(『土地』の感動を音楽劇で / 9月5日世宗文化会館で公開)『韓国日報』(1995年7月31日付け)。2022年4月13日閲覧。
  43. ^ a b c d 이인모(イ・インモ)記者「[강원]대하소설 ‘토지’ 국악뮤지컬로 재탄생」([江原]大河小説『土地』国楽ミュージカルとして再誕生)『東亜日報』(2009年8月13日付け、2009年9月21日更新)2022年4月13日閲覧。
  44. ^ 선명수(ソン・ミョンス)記者「박경리 <토지>, 국악 뮤지컬로 무대에 올라」(朴景利『土地』国楽ミュージカルとして舞台に上がる)『プレシアン』(2009年7月30日付け)。2022年4月13日閲覧。

参考文献

[編集]
  • イム・ウギ、チョン・ホウン『土地事典』1997年、ソル出版社、ISBN 9788981332433

外部リンク

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