四ヨウ化二リン
四ヨウ化二リン | |
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Diphosphorus tetraiodide | |
Tetraiododiphosphane | |
別称 Phosphorus(II) iodide | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 13455-00-0 |
PubChem | 83484 |
ChemSpider | 75322 |
EC番号 | 236-646-7 |
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特性 | |
化学式 | P2I4 |
モル質量 | 569.57 g/mol |
外観 | 橙色結晶性固体 |
融点 |
125.5 °C, 399 K, 258 °F |
沸点 |
分解 |
水への溶解度 | 分解 |
危険性 | |
GHSピクトグラム | |
GHSシグナルワード | 危険(DANGER) |
Hフレーズ | H314 |
Pフレーズ | P260, P264, P280, P301+330+331, P303+361+353, P304+340, P305+351+338, P310, P321, P363, P405, P501 |
引火点 | Non-flammable |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 四フッ化二リン 四塩化二リン 四臭化二リン |
その他の陽イオン | 四ヨウ化二ヒ素 |
関連する二元ハロゲン化リン | 三ヨウ化リン |
関連物質 | ジホスファン ビホスフィン |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
四ヨウ化二リン(Diphosphorus tetraiodide)は、橙色の結晶固体で、化学式はP2I4である。有機化学反応では、還元剤として用いられる。リンの酸化状態が+2である珍しい化合物であり、リンのサブハライドに分類することができる。四ハロゲン化二リンとしては最も安定した物質である[1]。
合成と構造
[編集]四ヨウ化二リンは、乾燥エーテル中で三ヨウ化リンの不均化により容易に生成する。
- 2 PI
3 → P
2I
4 + I
2
また、無水環境下で三塩化リンとヨウ化カリウムを処理することでも生成する[2]。
他の合成経路としては、二酸化炭素溶液中で、ヨウ化ホスホニウムとヨウ素を反応させる方法がある。この経路の利点は、生成した化合物に不純物が含まれないことである[3]。
- 2PH
4I + 5I
2 → P
2I
4 + 8HI
この化合物は、P-P結合距離が2.230 Åの中心対称構造を持つ[4]。
反応
[編集]無機化学
[編集]四ヨウ化二リンは臭素と反応し、混合物PI3−xBrxを形成する。硫黄存在下では、P-P結合を維持したまま、P2S2I4に酸化する[1]。また、リン元素及び水と反応して、ヨウ化ホスホニウムを生成し、80℃で昇華させて集める[3]。
有機化学
[編集]有機合成においては、主に脱酸素剤として用いられる。アセタールやケタールの保護基を除いてアルデヒドやケトンにしたり、エポキシドをアルケン、アルドキシムをニトリルに変換するのに用いられる。また、2-アミノアルコールをアジリジンに環化し、α,β-不飽和カルボン酸をα,β-不飽和臭化物に変換することもできる。
1855年のBertholetによる研究で予測されたように、四ヨウ化二リンはグリコールをtrans型のアルケンに変換する。この反応は、この反応をポリイン発色団の合成に応用した化学者の名前に因んで、Kuhn–Winterstein反応として知られている。
出典
[編集]- ^ a b グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン. ISBN 978-0-08-037941-8。
- ^ H. Suzuki; T. Fuchita; A. Iwasa; T. Mishina (December 1978). “Diphosphorus Tetraiodide as a Reagent for Converting Epoxides into Olefins, and Aldoximes into Nitriles under Mild Conditions”. Synthesis 1978 (12): 905–908. doi:10.1055/s-1978-24936.
- ^ a b Brown, Glenn Halstead (1951). Reactions of phosphine and phosphonium iodide (PhD). Iowa State College. 2020年10月5日閲覧。
- ^ Z. Žák; M. Černík (1996). “Diphosphorus tetraiodide at 120 K”. Acta Crystallographica Section C C52 (2): 290–291. doi:10.1107/S0108270195012510.