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名古屋市教育会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
名古屋市教育会
教育会が入居する教育館(2013年6月)
教育会が入居する教育館(2013年6月)
団体種類 任意団体
設立 1881年
所在地 日本の旗 日本愛知県名古屋市中区錦三丁目16番6号
北緯35度10分14.4秒 東経136度54分26.9秒 / 北緯35.170667度 東経136.907472度 / 35.170667; 136.907472座標: 北緯35度10分14.4秒 東経136度54分26.9秒 / 北緯35.170667度 東経136.907472度 / 35.170667; 136.907472
活動地域 名古屋市
活動内容 教育の改良
従業員数 3名
会員数 約7万人
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名古屋市教育会(なごやしきょういくかい)は、1881年に設立された、名古屋市名古屋市教育委員会とは関係がない任意団体である[1]

概要

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市独自の組織で、国公立の幼稚園小学校中学校高等学校特別支援学校保護者教職員から、教育会の「年会費」名目で1口100円で5口以上の協力を求めている[2]

戦前においては、地図の編纂[3][4][5]図書館の運営なども行っており、名古屋市の地域性に依った伝統のある団体である。

1881年に創設された名古屋区教育会が前身。かつては全国組織の教育団体「大日本教育会」に属していたが、1946年に脱退して以降、市独自の教育助成団体として活動し、教員や保護者からの会費で運営している。[1][2][6]


沿革

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歴代会長

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  • 初代 - 志水直(1900年7月 - 1901年6月)[8]
  • 2代 - 青山朗(1901年7月 - 1906年6月)[8]
  • 3代 - 加藤重三郎(1906年7月 - 1911年6月)[8]
  • 4代 - 阪本釤之助(1911年7月 - 1917年1月)[8]
  • 5代 - 佐藤孝三郎(1917年7月 - 1921年6月)[8]
  • 6代 - 大喜多寅之助(1921年7月 - 1922年2月)[8]
  • 7代 - 川崎卓吉(1922年5月 - 1924年6月)[8]
  • 8代 - 田阪千助(1924年10月 - 1927年8月)[8]
  • 9代 - 大岩勇夫(1927年9月 - 1938年12月)[8]
  • 10代 - 縣忍(1939年1月 - 1932年1月6日)[8]
  • 11代 - 佐藤正俊(1942年3月 - 1946年11月)[8]
  • 会長代理 - 富田彦吉(1946年12月 - 1948年3月)[12]
  • 12代 - 柴山義政(1948年3月 - 1954年4月)[12]
  • 13代 - 佐藤丈夫(1954年5月 - 1958年4月)[12]
  • 14代 - 水野鈴一(1958年5月 - 1962年3月)[12]
  • 15代 - 加藤幸吉(1962年4月 - 1963年3月)[12]
  • 16代 - 福岡晋作(1963年6月 - 1965年5月)[12]
  • 17代 - 長谷川三一(1965年6月 - 1970年3月)[12]
  • 18代 - 山田正保(1970年6月 - )[12]

問題

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収入総額が約4千万円にもかかわらず、名古屋市立小中学校校長経験者ら3名いる事務局員の給与など事務局費や運営費に約1500万円かかるという[13]。厳しい経済状況の下、集められた資金が人件費に多く出費されるのは、集められる側に「痛み」の理解ができているのだろうかとの指摘がある[13]

全市の小学生の希望者1700名に対して、知多半島の河和口などで水泳練習会を開催したりすることもあった[14]。さまざまな地域団体と教員との結びつきも閨閥や町単位など様々なチャンネルを通して行われてきた。教育会で行われているのは、戦後に社会的使命を持っていたとされる事業である[15]。現在の社会状況に沿って発展的に解消していかないと、自由で活発な教育活動をむしろ阻んでしまい、校長会や校長経験者の天下りと思われ、若い教職員にも理解が得られないのではないかとする声もある[13][16]

2024年9月15日、名古屋市に子どもを通わせる保護者から「名古屋市教育会って何? 教育委員会とは違うの?」との質問があり[17]毎日新聞が取り上げ耳目を集めた。名古屋市内の公立学校の校長らで作る任意団体「名古屋市教育会」が、各校の文化活動や教職員研修への支援を名目に、保護者から会費を集めていた問題。2023年度は、総収入約2900万円のうち約4万6000人の保護者から約2347万円を徴収。市教育会は市立小中学校長会長が会長を務め、事務局にはOB校長2人を含む3人が勤務する。名古屋市教育委員会とは別組織だが、市教委の予算執行とは別に、同会独自に教職員や保護者から会費を集めて事業費を計上。公立学校の部活動や教職員研修などを支援している。毎年新学期が始まる際、各学校で「教育会入会のお願い」と書かれたチラシを担任が配布し、チラシには「入会を強制するものではありません」とあるものの入会申込書とともに「1口100円ですが、できれば5口以上ご協力いただきますよう、お願い申し上げます」とある。会費徴収は校内で行われクラス担任が子どもたちから現金を受け取り担任名で領収印を押印しているとのこと。現役教員の一人は「校長の天下り組織だ」と憤り、専門家からは「保護者からお金を集めるというのは義務教育無償の原則からしておかしく、本来は教育行政の責任において事業支援を行うべきだ。透明性が求められる今の時代には、保護者からお金を集める市教育会自体、必要ないのではないか」との意見がある。市教育会の小口博則事務局長は「名古屋の先生、子どもたちへの支援に少しでも役立ちたいとの思いで私たちは活動している。これからも理解を求めていきたい」。 [3][4][5]

令和6年度役員 会長 鈴木健(市小中学校長会会長) 副会長 尾関利昌(市P協議会長) 副会長 川上賢太(名教組委員長) 副会長 加藤司(名高教委員長) PTA名古屋(第31号 令和6年6月17日発行)https://www.youtube.com/watch?v=7-fypqyBYLk&ab_channel=メ〜テレニュース

2024年9月15日 令和5年度 名古屋市教育会 経常費最終報告 2023年3月17日~2024年3月16日[18][19]

 収入合計 29,158,161円 (会費28,075,750円 (内訳: 正会員費4,603,700円(46,037口 9,289名)賛助会員費23,472,050円(234,721口 45,892名)、前年度繰越金1,082,350円)

 支出内訳:・事務局費10,243,642円(内訳:給料8,860,522円、通勤手当・雇用保険等1,039,860円、他) ・事業費14,817,120円(内訳:教育研究派遣員費(研究派遣費108人)3,262,538円、研究調査費150,532円、教職員研修補助費3,900,000円、園児児童生徒学習補助費3,300,050円、教職員体育補助費780,000円、園児児童生徒体育補助費2,138,000円、PTA事業補助費695,000円、ファミリーデーなごや570,000円、共済福利厚生費21,000円)  ・運営費2,597,913円(内訳:会議費97,370円、渉外費33,745円、会員募集費2,419,298円、20,000円、雑費27,500円)

2024年9月19日 名古屋市教育会が保護者から会費を集めていることについて、中川敦史名古屋市議会議員減税日本)は「任意加入にもかかわらず、一部学校が入学書類で入会を求めている」点なども指摘し、坪田知広教育長は名古屋市議会本会議で「教職員の負担軽減に向けた募集方法の検討を名古屋市教育会と協議したい」、「保護者に誤解が生じているのであれば改めていくよう名古屋市教育会と協議していく」と述べた。河村たかし名古屋市長は「(担任による募集を)やってはいかん。全容を明らかにしたい」などと述べ、名古屋市教育委員会に全面調査を求めた。[20]

2024年9月20日 TV局の取材で、名古屋市教育会の主な活動は「教員の研修費の助成やファミリーデーなごや、部活動の大会などの子どもたちの活動への助成」、決算報告書を用いて、教員や保護者からの収入総額は約2915万円、支出の約1/3が事務局員3人の給与約900万円と説明。[21]

2024年10月3日 河村市長が9月に名古屋市教育委員会に対して「名古屋市教育会」の金の流れなどについて調査するよう指示した事に対して、名古屋市教育教育委員会から名古屋市長に対して一応の報告はあったとのこと。その際に河村市長は「いろいろなことをやっているので、全部明らかにしてくれ」と指示したとの事だが、しかしながら名古屋市教育委員会はTV局の取材に対し「9月に名古屋市長に報告を上げたが、不十分だといった連絡はなく追加調査は行っていない」と回答しており、齟齬が生じている。[22]

2024年11月8日 新聞記者が、河村名古屋市長が「教育会自ら記者会見などを開いて説明責任を果たすべきだ」と名古屋市教育委員会に伝えた事に対して取材すると、名古屋市教育会側は「名古屋市教育委員会から説明を求める連絡は(10月末時点で)来ていない」と話し、名古屋市教育会の担当者は「我々はこれまでこのやり方でやってきている。今後もやり方を変えるつもりはない」と話し、記者会見の予定もないという。名古屋市教育委員会側も各学校の教育課程や教科書の取り扱いなどを所管しているが、任意団体の名古屋市教育会は管轄外であり、名古屋市教育委員会の担当者は「名古屋市教育会は関連団体でもないので活動は把握していない」と話した。[23]

2024月11月8日 令和5年度の事業支出の教育研究派遣員費(研究派遣費108人)3,262,538円は、教育研究に関する優秀な論文を執筆した教員108人に「教育研究派遣員費」として支給していたことが判明した。受け取った教員の一人は新聞記者の取材に対して「3万円を受け取った。使い道は定められていなかった」と証言した。[24]

発行・著作物

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  • 名古屋市教育会 編『最新詳密名古屋市実測全図』名古屋市教育会、1903年6月15日。 NDLJP:1089121
  • 名古屋市教育会 編『名古屋市及附近図』名古屋市教育会、1907年8月11日。 NDLJP:1089201
  • 名古屋市教育会 編『名古屋市實測圖』名古屋市教育会、1910年3月16日。 NDLJP:1083107
  • 田島竜夫 編『教育品展覧会報告書』名古屋市教育会、1911年4月26日。 NDLJP:808589
  • 名古屋市教育会 編『済美帖』名古屋市教育会、1915年11月20日。 NDLJP:953902
  • 『御大禮奉祝名古屋市教育品展覽會報告書』名古屋市教育會事務所、1916年3月。 
  • 名古屋市教育会 編『郷土研究概観 大名古屋』名古屋市教育会、1933年。 
  • 名古屋市教育会 編『名古屋市戦線銃後美談集 第1輯』星野書店、1939年8月。 
  • 名古屋市教育会 編『名古屋市戦線銃後美談集 第2輯』星野書店、1940年4月23日。 NDLJP:1057077
  • 名古屋市教育会 編『名古屋市戦線銃後美談集 第3輯』星野書店、1944-0。 

脚注

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  1. ^ 名古屋市教育会 編『七十年の歩み : 創立70周年記念誌』名古屋市教育会、1970年。 
  2. ^ 『入会のお願い』、名古屋市教育会、2009年
  3. ^ 名古屋市教育會 編『名古屋市及附近図』名古屋市教育會。 
  4. ^ 名古屋市教育會 編『最新詳密名古屋市実測全図』名古屋市教育會。 
  5. ^ 名古屋市教育會 編『最新増補名古屋市及附近圖』名古屋市教育會。 
  6. ^ 担任が子どもから会費集め 名古屋にある「謎の教育団体」の正体”. 毎日新聞. 2024年9月15日閲覧。
  7. ^ a b c d e 名古屋市教育会 1970, p. 7.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 名古屋市教育会 1970, p. 8.
  9. ^ 名古屋市教育会 1970, p. 10.
  10. ^ a b c d 名古屋市教育会 1970, p. 11.
  11. ^ 名古屋市教育会 1970, pp. 12–13.
  12. ^ a b c d e f g h i 名古屋市教育会 1970, p. 9.
  13. ^ a b c 朝日新聞. (1991年9月25日) 
  14. ^ 中日新聞. (1934年7月22日) 
  15. ^ 名古屋市教育會『戦線銃後美談集』名古屋市教育會。 
  16. ^ 朝日新聞. (2009年10月24日) 
  17. ^ 担任が子どもから会費集め 名古屋にある「謎の教育団体」の正体”. 毎日新聞. 2024年9月15日閲覧。
  18. ^ 保護者から年2300万円超を徴収する教育団体 その実態は (毎日新聞)”. Yahoo!ニュース. 2024年9月21日閲覧。
  19. ^ 謎の教育助成団体「名古屋市教育会」 事務局員3人の給与に約900万円 市教委と勘違いする親も(メ〜テレ(名古屋テレビ))”. Yahoo!ニュース. 2024年9月22日閲覧。
  20. ^ 名古屋市教育長「募集方法を協議する」 任意団体の会費徴収問題で(毎日新聞)”. Yahoo!ニュース. 2024年9月20日閲覧。
  21. ^ 謎の教育助成団体「名古屋市教育会」 事務局員3人の給与に約900万円 市教委と勘違いする親も(メ〜テレ(名古屋テレビ))”. Yahoo!ニュース. 2024年9月21日閲覧。
  22. ^ 河村たかし市長が名古屋市教育会を非難 学校で寄付集めは「廃止でしょう」(メ〜テレ(名古屋テレビ))”. Yahoo!ニュース. 2024年10月3日閲覧。
  23. ^ 保護者から会費徴収の教育団体 河村たかし氏の市長辞職で調査棚上げ(毎日新聞)”. Yahoo!ニュース. 2024年11月9日閲覧。
  24. ^ https://mainichi.jp/articles/20241107/k00/00m/040/179000c

参考文献

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  • 名古屋市教育会 編『創立70周年記念誌 七十年の歩み 1970』名古屋市教育会、1970年10月20日。 
  • 名古屋教育史編集委員会 編『名古屋教育史Ⅰ 近代教育の成立と展開:明治期~大正中期』名古屋市教育委員会、2013年3月4日、358-362頁。ISBN 978-4-9905445-1-5 
  • 名古屋教育史編集委員会 編『名古屋教育史Ⅱ 教育の拡充と変容』名古屋市教育委員会、2014年3月3日、498-503頁。ISBN 978-4-9905445-2-2 

関連項目

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