原発ゼロ基本法案
原発ゼロ基本法案は、第196回国会会期中の2018年3月9日、野党が衆議院に提出した法律案である[1]。立憲民主党・日本共産党・自由党・社会民主党の野党4党が共同提出したもので、無所属の菊田真紀子・黒岩宇洋が賛同者に名を連ねた[1]。提出から一年経過している2019年3月12日時点において一度も審議されていない[2]。
内容
[編集]- 基本理念として、すべての原子力発電所(原発)を速やかに停止、廃止する[1]。
- 施行後5年以内にすべての原発の廃炉を決定する[3]。
- 再生可能エネルギーの割合を2030年までに40%以上とする[3]。
- 廃炉作業を行う電力会社や立地地域の雇用・経済対策について、国が必要な支援を行う[1]。
経緯
[編集]第180回国会会期末前日の2012年9月7日、「脱原発基本法案」が衆議院に提出され[4]、継続審議となった。
2017年6月20日、民進党が「原発ゼロ基本法案(仮称)」の作成に向けて、同年秋に法案骨子をまとめる方針を決めた[5]。
2018年1月10日、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(会長は城南信用金庫元理事長吉原毅)が記者会見を行ない、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表[6]。連盟顧問の元内閣総理大臣小泉純一郎は、立憲民主党などと連携する考えを表明した[6]。
立憲民主党が2018年1月に法案骨子をまとめた。この段階では非常時には原発再稼働が認められるものだったが[7]、「非常時こそ原発の危険性が高まるので現実的ではない」との批判が多く寄せられたため、その後この例外規定は削除された[8]。そのため例外規定に難色を示していた日本共産党も共同提出する見込みとなった[9]。
2018年3月9日に衆議院に提出され、6月8日に衆議院経済産業委員会に付託された。6月20日までの会期だった国会は参議院定数を六増する公職選挙法改正案を通すために1ヶ月延長されたが、原発ゼロ基本法案は自民党が経済産業委員会の開催に応じなかったため審議のないままに国会閉会となった。野党委員は自民党が「原発ゼロを否定する党というイメージが強まるのを警戒し、審議しない状態を続けた」と推測している[10]。ただし委員会は全会一致で継続審査とした[11]。
2019年3月11日に立憲民主党の枝野幸男代表は被災地視察の際に「リスクを考えれば、原発に合理性がないことは、はっきりしている」と宮城県名取市で報道陣に語った。
2019年の通常国会でも野党が原発ゼロ基本法案の審議を要求したが、与党が審議に応じなかったため、審議のないまま6月26日の最終日を迎えた[12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d “野党 立憲など4党 原発ゼロ法案、衆院に共同提出”. 毎日新聞 (2018年3月9日). 2018年3月9日閲覧。
- ^ “原発ゼロ法案、1年経っても審議されず 与党が拒む”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞. 2019年3月15日閲覧。 “「原発ゼロ基本法案」が一度も審議されないまま、丸1年を迎えた。”
- ^ a b “「原発ゼロ基本法案」立憲など野党4党が共同提出”. テレビ朝日 (2018年3月9日). 2018年3月9日閲覧。
- ^ “議案名「脱原発基本法案」の審議経過情報”. 衆議院 (2017年6月20日). 2018年3月9日閲覧。
- ^ “民進党 「原発ゼロ基本法案」今秋にも骨子案まとめる”. 毎日新聞 (2017年6月20日). 2018年3月9日閲覧。
- ^ a b “小泉元首相らが「原発ゼロ法案」発表 立憲と連携の考え”. 朝日新聞 (2018年1月10日). 2018年3月9日閲覧。
- ^ “立憲民主「原発ゼロ」骨子案、再稼働は非常時以外認めず”. 朝日新聞 (2018年1月10日). 2018年5月15日閲覧。
- ^ “全原発 廃炉決定5年以内 立民のゼロ法案 全容判明”. 東京新聞 (2018年2月21日). 2018年5月15日閲覧。
- ^ “原発ゼロ法案、立民との共同提案に意欲 共産・志位和夫委員長”. 産経新聞 (2018年3月4日). 2018年5月15日閲覧。
- ^ “原発ゼロ法案 審議ゼロ 自民、委員会開催応じず”. 東京新聞 (2018年7月20日). 2018年8月14日閲覧。
- ^ 第196回国会 参議院 原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案(平成30年8月14日参照)
- ^ “後半国会 論戦の場なく 予算委3月以降ゼロ 野党の法案審議応じず”. 東京新聞 (2019年6月26日). 2019年7月25日閲覧。