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単約数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学において、自然数 ab単約数: unitary divisor, Hall divisor)であるとは ab約数a が1より大きい公約数を持たず互いに素であるということを意味する。同様に、b の約数 a は、a のすべての素因数b と同じ重複度を持つ場合にのみ, 単約数である。

単約数の概念は、R. Vaidyanathaswamy (1931) が導入し[1]、彼はそれを block divisor と呼んでいた。

具体例

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5は60の単約数である。というのも、5と の公約数は1のみだからだ。

一方、6は60の約数だが単約数ではない。なぜなら6と は1以外の公約数2を持つからだ。

単約数の和

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単約数関数はギリシャ文字のシグマを用いてσ*(n)と表される. 単約数の k 和はσ*k(n)と表され以下のようになる:

ある数の真の単約数の和がその数が一致する場合, その数は単完全数であるという.

性質

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1は全自然数の単約数.

ある数 n の単約数の個数は2k個である. ここで kn の異なる素因数の個数である. これは, 各整数 N > 1 が異なる素数 p の正のべき乗 prp の積なので, N のすべての単約数は N の素因数 {p} の与えられた部分集合 S 上で, pSの素因数 prp の積であることと S の部分集合がちょうど 2k 個あることから示すことができる.

n の単約数の和は n2の冪乗(1を含む)なら奇数, そうでないなら偶数.

n の単約数の個数を返す関数, 和を返す関数は乗法的関数であるが完全乗法的関数ではない. ディリクレ級数

全ての n の約数が単約数であることと n無平方であることは同値.

奇単約数

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奇数の単約数の k 乗和は

これも乗法的である. ディリクレ級数は

重単約数

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n の約数 d二重単約数であるとは dn/d の最大単約数が1であるということである. このコンセプトは D. Suryanarayana (1972). [The number of bi-unitary divisors of an integer, in The Theory of Arithmetic Functions, Lecture Notes in Mathematics 251: 273–282, New York, Springer–Verlag] が初出である.

n の二重単約数の個数を返す関数は平均オーダー の乗法的関数である.[2] ここで, A

二重単約完全数はそれ自身を除く二重単約数の和がそれ自身と等しい数のことである. そのような数は6, 60, 90のみである.

また約数(零重単約数), 単約数(一重単約数), 二重単約数の考えを一般化して, k 重単約数を次のように定義できる:

n の約数 dk重単約数であるとは dn/d の最大(k-1)単約数が1であるということである. [3][4]

さらに一般化して無限重単約数も定義できる:

n の約数 d無限重単約数であるとはd, nを次のように素因数分解したとき, 任意のiに対しのy-1重単約数となっているということである(ここで素数 p についてのy-1重単約数であることと任意の k (≧y-1≧0)に対しのk重単約数となることは同値である). [4]

OEISに登録されている数列

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関連項目

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参考文献

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  1. ^ R. Vaidyanathaswamy (1931). “The theory of multiplicative arithmetic functions”. Transactions of the American Mathematical Society 33 (2): 579-662. doi:10.1090/S0002-9947-1931-1501607-1. 
  2. ^ Ivić (1985) p.395
  3. ^ k-ary Divisor”. 2024年3月15日閲覧。
  4. ^ a b COHEN, GRAEME L. (january 1990). “ON AN INTEGER'S INFINITARYDIVISORS”. mathematics of computation 54 (189): pp395-411. https://www.ams.org/journals/mcom/1990-54-189/S0025-5718-1990-0993927-5/S0025-5718-1990-0993927-5.pdf. 
  • Richard K. Guy (2004). Unsolved Problems in Number Theory. Springer-Verlag. p. 84. ISBN 0-387-20860-7  Section B3.
  • Paulo Ribenboim (2000). My Numbers, My Friends: Popular Lectures on Number Theory. Springer-Verlag. p. 352. ISBN 0-387-98911-0 
  • Cohen, Eckford (1959). “A class of residue systems (mod r) and related arithmetical functions. I. A generalization of Möbius inversion”. Pacific J. Math. 9 (1): 13–23. doi:10.2140/pjm.1959.9.13. MR0109806. 
  • Cohen, Eckford (1960). “Arithmetical functions associated with the unitary divisors of an integer”. Mathematische Zeitschrift 74: 66–80. doi:10.1007/BF01180473. MR0112861. 
  • Cohen, Eckford (1960). “The number of unitary divisors of an integer”. American Mathematical Monthly 67 (9): 879–880. doi:10.2307/2309455. JSTOR 2309455. MR0122790. 
  • Cohen, Graeme L. (1990). “On an integers' infinitary divisors”. Math. Comp. 54 (189): 395–411. Bibcode1990MaCom..54..395C. doi:10.1090/S0025-5718-1990-0993927-5. MR0993927. 
  • Cohen, Graeme L. (1993). “Arithmetic functions associated with infinitary divisors of an integer”. Int. J. Math. Math. Sci. 16 (2): 373–383. doi:10.1155/S0161171293000456. 
  • Finch (2004年). “Unitarism and Infinitarism”. 2024年11月10日閲覧。
  • Ivić, Aleksandar (1985). The Riemann zeta-function. The theory of the Riemann zeta-function with applications. A Wiley-Interscience Publication. New York etc.: John Wiley & Sons. p. 395. ISBN 0-471-80634-X. Zbl 0556.10026 
  • Mathar, R. J. "Survey of Dirichlet series of multiplicative arithmetic functions". arXiv:1106.4038 [math.NT]。 Section 4.2
  • Sándor, József; Mitrinović, Dragoslav S.; Crstici, Borislav, eds (2006). Handbook of number theory I. Dordrecht: Springer-Verlag. ISBN 1-4020-4215-9. Zbl 1151.11300 
  • Toth, L. (2009). “On the bi-unitary analogues of Euler's arithmetical function and the gcd-sum function”. J. Int. Seq. 12. https://cs.uwaterloo.ca/journals/JIS/VOL12/Toth2/toth5.html. 

外部リンク

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