利用者:YellowSmileyFace/日本語の数詞
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日本の命数法(にほんのめいすうほう)では、日本語で使われる命数法や数詞について解説する。文字としては、アラビア数字か、中国語と同じ漢数字が使われ、言い方としては、原日本語に由来すると考えられている固有の和語の数詞(ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ/よん、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、とお、…)と、漢字とともに中国から持ち込まれ日本語化した漢語の数詞(イチ、ニ、サン、シ、ゴ、ロク、シチ、ハチ、ク/キュウ、ジュウ、…)の2つの系列の数詞が併用されている。
基本的な数詞
[編集]前述の通り、日本語の数詞の書き方には、算用数字とも呼ばれるアラビア数字(1、2、3...)と、漢数字(一、二、三...)が併用される。アラビア数字は横書きに、漢数字は縦書きに使われることが多い。
漢数字は中国で使われ始めた数字で、漢字とともに日本に流入してきたものであり、アラビア数字は、幕末・明治初期に外国から、アルファベットと共に流入された。アラビア数字は横書き、漢数字は縦書きを中心に使われるのは、この流入の背景からであり、漢数字を横書きに使っても問題はない[1]。
ほとんどの数には、前述の通り、漢語の数詞(イチ、ニ、サン...)と和語の数詞(ひとつ、ふたつ、みっつ...)があるが、現代日本語で和語の数詞が普通に用いられるのは「ひとつ」 (1) から「とお」 (10) までに限られる。
以下に日本語における数詞の使用を表にする。現代日本語で普通に使われていない読み方は、「†」をつける。
アラビア数字 | 漢数字 | 漢語の読み | 和語の読み[2] | よく使われる読み |
---|---|---|---|---|
0 | 零 / 〇[注釈 1] | れい | まる | ゼロ(外来語) |
1 | 一 | いち | ひと・つ | いち |
2 | 二 | に | ふた・つ | に |
3 | 三 | さん | みっ・つ | さん |
4 | 四 | し | よん、よっ・つ | よん |
5 | 五 | ご | いつ・つ | ご |
6 | 六 | ろく | むっ・つ | ろく |
7 | 七 | しち | なな・つ | なな |
8 | 八 | はち | やっ・つ | はち |
9 | 九 | く、きゅう | ここの・つ | きゅう |
10 | 十 | じゅう | とお | じゅう |
20 | 二十 | にじゅう | (はた)† | にじゅう |
30 | 三十 | さんじゅう | (みそ)† | さんじゅう |
40 | 四十 | しじゅう | (よそ)† | よんじゅう |
50 | 五十 | ごじゅう | (いそ)† | ごじゅう |
60 | 六十 | ろくじゅう | (むそ)† | ろくじゅう |
70 | 七十 | しちじゅう | (ななそ)† | ななじゅう |
80 | 八十 | はちじゅう | (やそ)† | はちじゅう |
90 | 九十 | くじゅう | (ここのそ)† | きゅうじゅう |
100 | 百 | ひゃく | (もも)† | ひゃく |
500 | 五百 | ごひゃく | (いお)† | ごひゃく |
800 | 八百 | はっぴゃく | (やお)† | はっぴゃく |
1,000 | 千 | せん | (ち)† | せん |
10,000 | 万 | まん | (よろず)† | まん |
100,000,000 | 億 | おく | — | おく |
1,000,000,000,000 | 兆 | ちょう | — | ちょう |
10,000,000,000,000,000 | 京 | けい | — | けい |
上記の表にある通り、4と7の読みは、「よん」と「なな」の方が好ましいとされている。この理由については、4の読み方の一つである「し」は「死」と同じ音だから(四の字の項目を参照)とする説や、7の読み方の一つ「しち」は「いち(1)」や「はち(8)」に似ているからという説がある。しかし、多くの単語や語句は、「し」と「しち」が使われている上、数を数えるときも「し」や「しち」が使われることがある。
9は、「苦」と発音が同じであるため、不吉とさせれることがある。また、西洋から伝わったものであるが、13もまた不吉とされることがある。逆に、7と8は、日本では運のよい数字とされている[3]。
現代日本語では、4と7以外の数には音読みを使うことが多い。年月日の読み上げでは、「四月」(しがつ)を除いて「四」を和語の「よん」と発音する以外、全ての数詞を漢語の数詞の読み方で発音するのが慣習である。無線などの雑音の多い環境での会話では、漢語の「イチ」「ニ」「シ」「シチ」などの発音の似ている数の混同を防ぐために和語の「ひと」「ふた」「よん」「なな」などで発音し、例えば「四月二十七日」を「よんがつふたじゅうななにち」と読み上げることもある(「一月」は「正月」(しょうがつ)と読む)。
大きな数の数え方は、次のようになる。
- 20から90の間の数は、「(10の位の数)十」のようになる(例:50は「五十」となる)。
- 200から900の間の数は、「(100の位の数)百となる(例:300は「三百」、567は「五百六十七」となる)。
- 2000から9000の間の数字は、「(千の位の数)千」となる(例:5000は「五千」に、2325は「二千二十五」となる)。
万の位からは、単位が上がる数の読みには、1をつける。つまり、100は単に「百」、1000は単に「千」なのが、10000からは、単なる「万」でなく「一万」となるということである。また、万以上の数の桁に1000が入る数(例:10000000)の読む際は、線の前に一をつけて、一千(いっせん)と読む。つまり、10,000,000は、「千万」ではなく「一千万」と読むこととなる。だが、千が単位の一番初めに来ない場合は、一をつけるのは任意である。例えば、15,000,000を読む際は、千五百万とも、一千五百万とも読むことができる。
連濁などの連音現象や長子音が発生することもある。例えば、「ろく(6)」と「ひゃく(100)」を合わせると、「ろっぴゃく(600)」となる。
× | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 100 | 1000 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
100 | ひゃく・いっぴゃく | にひゃく | さんびゃく | よんひゃく | ごひゃく | ろっぴゃく | ななひゃく | はっぴゃく | きゅうひゃく | — | — | — |
1,000 | せん・いっせん | 二千 | さんぜん | よんせん | ごせん | ろくせん | ななせん | はっせん | きゅうせん | — | — | — |
1012 | いっちょう | にちょう | さんちょう | よんちょう | ごちょう | ろくちょう | ななちょう | はっちょう | きゅうちょう | じゅっちょう* | ひゃくちょう | せんちょう・いっせんちょう |
1016 | いっけい(一京) | にけい | さんけい | よんけい | ごけい | ろっけい | ななけい | はっけい | きゅうけい | じゅっけい* | ひゃけい** | せんけい・いっせんけい |
*10の倍数にも当てはまる。読み方が「ーじゅう」「ーじゅっちょう」「ーじゅっけい」となる。** 100の倍数にも当てはまる。読み方が「ーく」か「ーっけい」となる。
大きい数では、大きな位から小さな位の順に読む。0は飛ばされる。
数 | 書き方 | 読み方 |
---|---|---|
11 | 十一 | じゅういち |
17 | 十七 | じゅうなな・じゅうしち |
151 | 百五十一 | ひゃくごじゅういち |
302 | 三百二 | さんびゃくに |
469 | 四百六十九 | よんひゃくろくじゅうきゅう |
2025 | 二千二十五 | にせんにじゅうご |
その他の数詞
[編集]序数については、助数詞#日本語の助数詞を参照。
配分数詞の場合では、基数、助数詞の後に「ずつ」がつく(例: 一人一つを意味する「一人ずつ」)。
10の冪
[編集]大数は、中国語と同様に、1万ごとに単位が変わる。
階数 | 104 | 108 | 1012 | 1016 | 1020 | 1024 | 1028 | 1032 | 1036 | 1040 | 1044 | 1048 | 1052 (or 1056) |
1056 (or 1064) |
1060 (or 1072) |
1064 (or 1080) |
1068 (or 1088) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
文字 | 万 | 億 | 兆 | 京 | 垓 | 𥝱、秭 | 穣 | 溝 | 澗 | 正 | 載 | 極 | 恒河沙 | 阿僧祇 | 那由他、那由多 | 不可思議 | 無量大数 |
読み | まん | おく | ちょう | けい | がい | じょ、し | じょう | こう | かん | せい | さい | ごく | ごうがしゃ | あそうぎ | なゆた | ふかしぎ | むりょうたいすう |
これは日本最古の数学書、塵劫記によるものである。 初版は1627年に公開されたが、多数の間違いがあり、1631年版にてほとんどが訂正された。
3文字以上の単位は、インドから由来したものが多い。恒河沙はもともと仏教の聖典で無限に大きな数を表すのに使われていた位で、गङ्गा(ガンジス川)から由来している。阿僧祇はअसंख्येय(不可算)から、那由他はनयुत/नयुतःから由来している。それより大きな数の単位は、仏教の単語が中国語に翻訳され、後に単位を与えられたものである。
以下に例を示す。
- 1 0000 : 一万 (いちまん)
- 983 6703 : 九百八十三万 六千七百三 (きゅうひゃくはちじゅうさんまん ろくせんななひゃくさん)
- 20 3652 1801 : 二十億 三千六百五十二万 千八百一 (にじゅうおく さんぜんろっぴゃくごじゅうにまん せんはっぴゃくいち)
しかし、アラビア数字が使われる場合は、英語のように3桁ごとにコンマが入れられる。アラビア数字と漢数字が同時に使われる場合は、1万以下の数字についてアラビア数字の書き方が使われる場合がある(例: 25,000,000を2,500万と表記する場合)。
大きな数字が感じで表されるときは、ほとんどの場合でゼロが省かれる。例えば、4002はゼロを表す中国語での「四千零二」ではなく、四千二と表されることが多い。ただし、決算書を読み上げる場合、読まない桁は、「飛び」または「飛んで」で示される場合がある。例えば、通常の「よんせんに」の代わりに、「よんせんとびに」または「よんせんとんでに」のようにもなる。
小数
[編集]日本語で小数は、2つの方法で表記される。現在ではどちらも一般的につかわれなくなったもの、野球選手の打率や守備率、スポーツチームの勝率、慣用句 (「五分五分の勝負」など) などで用いられ、レートまたは割引を表す場合にも用いられる。 「分」は、「九度二分」(9.2°C)のように、温度を表す時にも用いられる。
1つ目の方式は以下の通り。
位 | 10−1 | 10−2 | 10−3 | 10−4 | 10−5 | 10−6 | 10−7 | 10−8 | 10−9 | 10−10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
字 | 分 | 厘 | 毛 | 糸 | 忽 | 微 | 繊 | 沙 | 塵 | 埃 |
読み | ぶ | りん | もう | し | こつ | び | せん | しゃ | じん | あい |
この方式は、尺貫法で用いられており、一部の数詞は、寸をいくらかに分けた数であることを表すために「そのまま」用いられる。
もう一つの表記方法は10−1(0.1)の位が「割」を使用しており、10−2(0.01)のくらいからは上の方式と同じ表記が一位分下げられて使われている。
位 | 10−1 | 10−2 | 10−3 | 10−4 | 10−5 |
---|---|---|---|---|---|
字 | 割 | 分 | 厘 | 毛 | 糸 |
読み | わり | ぶ | りん | もう | し |
この方式は、「一割五分引き」(15%の値下げ)や、「打率三割八分九厘」(打率は0.389)などと、ある種の価値とともによく用いられる。
現在では、これらの方式は「割」を除いてめったに使われていない。
大字
[編集]中国語と同じように、日本語には大字(だいじ)と呼ばれる、通常とは違う漢数字が存在する。大事は法的文書や金融文書などで、画数が多く難しい漢字を使うことで書き換え・改竄を防ぐために使われる(「一」を使った場合は、後から線を付け足すだけで「二」や「三」に書き換えることができてしまう)。現在の日本の法令では一(壱)、二(弐)、三(参)、十(拾)のみに大字が用いられている[4]。 これらの漢数字は数本の線を書き加えるだけで数値を改竄出来てしまう(「一」だけでなく、「三」は「五」に、「十」は「千」に変えることができる)。また通常は表記しない「1」を表記することもある。例えば、110は「百拾」ではなく「壱百壱拾」となる。
以下は大字の一覧である。
アラビア数字 | 漢数字(小字) | 大字 | |
---|---|---|---|
新字体・現行 | 旧字体・廃止済み | ||
1 | 一 | 壱 | 壹 |
2 | 二 | 弐 | 貳 |
3 | 三 | 参 | 參 |
4 | 四 | 四 | 肆 |
5 | 五 | 五 | 伍 |
6 | 六 | 六 | 陸 |
7 | 七 | 七 | 柒, 漆 |
8 | 八 | 八 | 捌 |
9 | 九 | 九 | 玖 |
10 | 十 | 拾 | 拾 |
100 | 百 | 百 | 佰 |
1000 | 千 | 千 | 阡, 仟 |
10000 | 万 | 万, 萬 | 萬 |
ちなみに、現在使われている日本銀行券は千円札、二千円札、五千円札、一万円札の4種であり、それぞれ「千円」「弐千円」「五千円」「壱万円」と表記されている。
上代日本語
[編集]上代日本語は、後の時代といくつか語彙は共通するものの、特定の語彙素の一部を除き、使われなくなった10を超える独特の数の用語も存在する。
注:
数 | 読み | 例 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | ひと | 一日 (ひとひ), 一年 (ひととせ) | |
2 | ふた | 二夜 (ふたよ) | |
3 | み | 三十 (みそ) | |
4 | よ | 四十 (よそ) (40), 四人 (よたり) | |
5 | いつ | 五年 (いつとせ) | |
6 | む | 六爪 (むつま) | |
7 | なな | 七瀬 (ななせ) | 「多い」という意味でも使われる。 |
8 | や | 八雲 (やくも) | 「多い」という意味でも使われる。 |
9 | ここの | 九柱 (ここのはしら) | |
10 | と / とお | 十日 (とおか) | |
10 | そ | 三十 (みそ)、四十 (よそ)、六十 (むそ)、八十 (やそ) | 複合語のみで見られ、単独で用いられることはない。 |
20 | ぱた | 二十 (ぱた)、二十人 (ぱたたり)、二十年 (ぱたとせ) | |
50 | い | 五十日 (いか) | |
100 | ぽ | 五百 (いぽ)、五百年 (いぽとせ)、五百夜 (いぽよ)、八百 (やぽ)、三百 (みぽ)、六百 (むぽ)、九百 (ここのぽ) | 100の倍数を表すときに用いられる。 |
100 | もも | 百日 (ももか) | 100のみを表すときに用いられる。「多い」の意味でも使われる。 |
1000 | ち | 千年 (ちとせ) | 「多い」という意味でも使われる。 |
10000 | よろづ | 八百万 (やおよろず) | 「多い」という意味でも使われる。 |
表記
[編集]日本語にアラビア数字が導入されて以来、数を表す際にアラビア数字で書かれることがより一層多くなった。ただし、語彙素の一部となっている数字は感じで書かれることもある。例えば、「八百屋」には、沢山という意味で数字の800が入っているが、アラビア数字ではなく漢字で表記でされることがほとんどである。また、ヤクザを指す隠語として「八九三」が存在するが、これはおいちょかぶにおける「8-9-3」の手が最も弱い0になることから、ヤクザが「意味のない人」であると揶揄するとされている[5]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 0については、「〇(まる)」という表記もあるが、あまり見られない。「まる」という読みの例としては、渋谷に旗艦店を構える「109」を「イチマルキュー」と読むことがあげられる。なお、普段はアラビア数字の0か漢字の「零(れい)」と表記するのがほとんどである。また、電話番号では、2と5の母音は長くなる(「に」から「にい」、「ご」から「ごお」)。
出典
[編集]- ^ 山下洋子. “七転八倒は7転8倒か?”. 日本放送協会. 2022年9月8日閲覧。
- ^ 『スーパー大辞林 [Super Daijirin]』Sanseidō。
- ^ “The number of death: Lucky and unlucky numbers in Japan”. The Science of Language Self-Study | LinguaLift Blog. 2016年3月24日閲覧。
- ^ 大正十一年大蔵省令第四十三号 (会計法規ニ基ク出納計算ノ数字及記載事項ノ訂正ニ関スル件) Archived 2012-02-26 at the Wayback Machine. 第一条: 会計法規ニ基ク出納計算ニ関スル諸書類帳簿ニ記載スル金額其ノ他ノ数量ニシテ「一」、「二」、「三」、「十」、「廿」、「卅」ノ数字ハ「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「弐拾」、「参拾」ノ字体ヲ用ユヘシ但横書ヲ為ストキハ「アラビア」数字ヲ用ユルコトヲ得
- ^ “What is the origin of yakuza?”. www.sljfaq.org. 2016年3月24日閲覧。