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コメの取引は、生産者やJA、卸・小売業者らの間で行われる相対取引が中心で、広く開かれた市場がないため、公平・透明な価格形成が行われていないと指摘されている[1]。今はJAグループが農家から集荷する際に支払う仮払金(「概算金」と呼ばれる)がコメ相場を左右しており、需要が減っても概算金が上がれば取引価格も値上がりするという消費者から見れば納得しにくい相場になっている[2][3]。コメ先物の上場廃止で価格指標が消滅したが、大規模コメ農家やJA、コメ卸などは価格指標が必要との認識で一致している[3]。このため、自民党が農林水産省に現物市場の創設を求めていた[1]。農林水産省は、「米の現物市場検討会」を設置し、需給実態に合った価格指標を提供する現物市場の創設を検討している。2022年3月には、市場の制度設計の取りまとめが行われ、JAなど集荷業者と卸売業者の間の「大口取引」と生産者と卸売業者・実需者の間の「小口取引」の2本立てとする方針が示された[1]。現物市場は買い手と売り手のマッチングの場となり、代表的な産地・品種・銘柄に関する⾼値帯(最も取引価格が高い価格帯)・中値帯(最も取引量が多い価格帯)・安値帯(中値未満で最も取引量が多い価格帯) 、およびこれらの価格帯に対応した取引量をリアルタイムで公表する[4][5]。
農林水産省は、2022年11月25日に開かれた自民党の会合で、コメの現物市場を2023年秋にも開設できるようにする方針を示した[1][5][6]。公益財団法人の「流通経済研究所」(東京都千代田区)が現物市場の開設・運営する意向を示しており、同研究所のマッチングシステム「アグリーチ」を使って農林⽔産物の⽣産者・卸売業者・実需者をマッチングすることを明らかにした[1][5][6]。
11月29日の閣議後の記者会見で、野村哲郎農相は、現物市場の消費者への影響を問われ、「売る側と買う側の両者が入っているなかで検討されるので透明性・公平性があり、消費者にとって納得のいく価格に設定されるのではないか」と期待を語った[7]。
農水省は、2023年3月24日に開かれた自民党の総合農林政策調査会・農林部会合同会議でコメの現物市場について報告し、水稲や野菜の栽培を手がける農業法人の「ぶった農産」(石川県野々市市)が新たに開設の意向を示したと発表した[3][8]。「みらい米市場」を運営する流通経済研究所と「グリーンフードテックマーケット」を運営するぶった農産が、それぞれ具体的な事業運営⽅法や価格指標の公表方法を開⽰した[3][8]。
- ^ a b c d e “コメ現物市場が来秋にも開設へ、農水省方針 求められる価格の透明性:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2022年11月25日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ “コメ現物取引市場、23年秋開設案 「透明な米価」なるか”. 日本経済新聞 (2022年11月25日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ a b c d “米の現物市場について(報告)(令和5年3月)”. 農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部/農産局. 2023年3月25日閲覧。
- ^ “米の現物市場 制度設計(令和4年3月取りまとめ)”. 農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 商品取引グループ. 2023年2月18日閲覧。
- ^ a b c “米の現物市場の検討状況について(経過報告)(令和4年11月)”. 農林水産省 ⼤⾂官房新事業・⾷品産業部/ 農産局. 2023年2月18日閲覧。
- ^ a b “コメ現物市場、東京の公益財団法人が開設意向”. 日本経済新聞 (2022年11月24日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ “コメ現物市場、23年秋開始へ農相「需要動向反映に期待」(写真=共同)”. 日本経済新聞 (2022年11月29日). 2023年2月17日閲覧。
- ^ a b “コメ現物2市場開設へ 23年秋、石川の農業法人も参入 - 日本経済新聞”. www.nikkei.com. 2023年3月25日閲覧。