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利用者:Sinhako/クリミア共和国 (2014年)

座標: 北緯45度18分 東経34度24分 / 北緯45.30度 東経34.40度 / 45.30; 34.40

クリミア共和国
ロシア語Республика Крым
ウクライナ語Республіка Крим
クリミア・タタール語Къырым Джумхуриети
ウクライナ
クリミア自治共和国
セヴァストポリ
2014年3月17日 - 2014年3月18日 ロシア
クリミア共和国
セヴァストポリ
クリミア共和国の国旗 クリミア共和国の国章
国旗国章
クリミア共和国の位置
公用語 ロシア語
ウクライナ語
クリミア・タタール語[1]
首都 シンフェロポリ
国家評議会議長
2014 - 2014 ウラジーミル・コンスタンチノフ
閣僚会議議長
2014 - 2014セルゲイ・アクショーノフ
面積
26,945km²
人口
2014年1月1日推計[2]2,353,129人
変遷
独立宣言 2014年3月17日
ロシアに編入2014年3月18日
通貨フリヴニャUAH
ロシア・ルーブル
ロシア編入後の2014年3月24日よりロシア・ルーブルに切り替え
時間帯UTC +2(DST: なし)ロシア編入後の2014年3月30日午前0時よりUTC+4
ccTLDなし

クリミア共和国(クリミアきょうわこく、ロシア語: Республика Крымウクライナ語: Республіка Кримクリミア・タタール語: Къырым Джумхуриети)は、2014年ウクライナ騒乱及びロシアのクリミア侵攻を経てウクライナから事実上分離し、ロシア連邦構成主体クリミア連邦管区(現在は南部連邦管区)として編入された国家である。前身はクリミア自治共和国セヴァストポリ特別市である。

概要

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ウクライナ領のクリミア半島にあったクリミア自治共和国セヴァストポリ特別市は、2014年ウクライナ騒乱ロシアのクリミア侵攻を経て、ロシア連邦への編入を前提とする独立宣言を議会で採択した上で、ロシアへの編入かウクライナの下での自治権拡大かを問う住民投票を実施した。その結果、ロシアへの編入賛成多数であったことを受けて、住民投票翌日の2014年3月17日にクリミア自治共和国がセヴァストポリを特別な地位を有する都市として包括したクリミア共和国として独立し、ロシアへの編入を求める決議を議会が行った。

3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は編入要請を受け入れることを表明、クリミアのセルゲイ・アクショーノフ首相との二国間条約に調印した[3]3月21日に条約がロシアの議会で批准され、ロシアとしての編入手続きを完了した[4]

しかしながら、ウクライナ政府、および欧米や日本などの諸外国は、クリミア共和国の独立およびロシアへの編入を認めていない(2014年クリミア危機)。

名称

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公用語であるロシア語ウクライナ語クリミア・タタール語での正式名称はロシア語でРеспублика Крымレスプーブリカ・クルィム)、ウクライナ語でРеспубліка Кримレスプーブリカ・クルィム)、クリミア・タタール語でКъырым Джумхуриетиクルム・ジュムフリイェティ)。クリミア・タタール語はソ連崩壊後、ラテン文字への切り替えが進んでいたが、ロシア議会はロシア連邦内のすべての言語はキリル文字を使用しなければならないとしている。ウクライナ管轄下においては公用語はウクライナ語のみであり、ウクライナ管轄下の離脱後にソ連崩壊後初めて、ロシア語とクリミア・タタール語がウクライナ語と共に公用語に追加された。

三言語共通の地名であるクルィム(クルム)の語源についてはクリミア半島を参照。

諸外国はクリミア共和国の独立とロシア編入を認めていないため、従来の「クリミア自治共和国」という名称も使われている。

地理

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クリミア共和国はクリミア半島のうち、同じくロシアに編入され、連邦市として対等の連邦構成主体であるセヴァストポリを除く全域を管轄する。北はペレコープ地峡を介してウクライナヘルソン州と接し、ロシアはヘルソン州と旧・クリミア自治共和国の境界線を国境と主張している(クリミア編入条約第6条第2項[5])。東はケルチ海峡を挟んでロシア本土のクラスノダール地方と隣り合う。

民族・言語

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母語話者(クリミア共和国) 2014
ロシア語
  
84.1%
クリミア・タタール語
  
7.8%
タタール語
  
3.7%
ウクライナ語
  
3.3%

2014年の統計によると、65.2%をロシア人が占め、次いでウクライナ人16.0%、クリミア・タタール人12.6%、タタール人2.3%の順となっている。一方、言語はロシア語が84%、次いでクリミア・タタール語7.9%、タタール語3.7%、ウクライナ語3.3%となっており、ウクライナ語の割合は2001年の10.1%から大幅に低下した。

行政区画

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クリミア共和国は従前の自治共和国の地方行政区分を踏襲している。3月17日から18日までの事実上の独立国であった間は、セヴァストポリを特別市として包括していたが、ロシア編入後はクリミア共和国とセヴァストポリ連邦市は対等な連邦構成主体となった。主な都市はシンフェロポリヤルタバフチサライイェウパトーリヤケルチフェオドシヤ等である。

1. バフチサライ郡
2. ベロゴルスク郡
3. ジャンコイ郡
4. キロフスク郡
5. クラスノグヴァルデイスク郡
6. クラスノペレコプスク郡
7. レニンスク郡
8. ニジネゴルスク郡
9. ペルヴォマイスク郡
10. ラズドリヌイ郡
11. サーキ郡
12. シンフェロポリ郡
13. ソヴェツキー郡
14. チェルノモルスク郡
基礎自治体
15. アルシタ
16. アルミャンスク
17. ジャンコイ
18. エフパトリヤ
19. ケルチ
20. クラスノペレコプスク
21. サーキ
22. シンフェロポリ
23. スダク
24. フェオドシヤ
25. ヤルタ
Subdivisions of Crimea

政治

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クリミア共和国は、「国家評議会」と呼ばれる議会(議員数100名、自治共和国最高会議から名称変更)を最高機関とする。自治共和国(共和国)時代の1994年に自治共和国(共和国)大統領が議会議長に代わり設置されたが、1995年に廃止され、再び議会議長が置かれるようになった[6]

行政は閣僚会議がつかさどっており、最高会議によって任命される首相がこれを代表する。

独立決議の直前にウクライナ議会はクリミア議会の解散を決議しており[7]、ウクライナの国内法上は議員および首相が不在の状態である。

歴史

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ロシアによる併合前のクリミア

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18世紀ロシア帝国に併合されたクリミアは、1921年ソビエトの支配を受け、クリミア自治ソビエト社会主義共和国が設置された。第二次世界大戦中の1944年にロシア併合以前からの住民である少数民族のクリミア・タタール人追放され、翌1945年に自治共和国から州に改組された。ニキータ・フルシチョフ政権下の1954年にはクリミア州はソ連最高会議によりロシア・ソビエト連邦社会主義共和国からウクライナ・ソビエト社会主義共和国帰属が変更ロシア語版英語版された。

ソ連崩壊直前の1991年1月に行われた住民投票英語版によって、1945年以前の自治共和国が復活することになった[8]。また、中央アジアからのクリミア・タタール人の帰還が許可された。しかし、帝政期以来の多数派であるロシア人はクリミアがウクライナ領になったことに不満を持ち、再びロシアへ帰属することを求めるようになった。

1992年5月5日、クリミア議会はウクライナからの独立を決議し、クリミア共和国を宣言した。ウクライナ議会は5月15日に独立無効を決議したが、黒海艦隊の基地として戦略的に重要なクリミアへの関心を持つロシアは独立の動きを支持し、5月21日にクリミアのウクライナ移管を定めた1954年の決定は違法とする議会決議を行った。しかし、ロシアで独立を宣言していたチェチェン共和国に対し、1994年にロシアが武力鎮圧を開始すると、一方で自国からのチェチェンの独立を禁圧しながらウクライナからのクリミアの独立を支持するのは自己矛盾であるとの国際的批判が高まり、ロシアはクリミア独立運動への支援を取りやめた[9]:415

その結果、クリミア内での独立運動も後ろ盾を失って急速に沈静化し、またウクライナ側でもロシアに敵対的な民族主義政党の活動が和らいだため、クリミア議会も1995年にウクライナ共和国内の自治共和国であることを認めるようになった。

クリミアの自治権は1996年に制定されたウクライナの現行憲法で再確認され、クリミア自治共和国の設置が規定されたが、同時にクリミア半島は「ウクライナの不可分な構成部分」とされ、自治共和国の離脱権は否定された[10]

ウクライナ政変のクリミアへの波及

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2014年クリミア危機において、3月11日クリミア自治共和国最高会議(議会)とセヴァストポリ特別市会議(市議会)は、クリミアおよびセヴァストポリ独立宣言を採択し、ウクライナからの一方的な独立を求めた[11]

3月16日に実施された住民投票で、ロシアの連邦構成主体としてロシアに統合するか、以前の憲法を復活させて自治権を強化した上でウクライナに留まるかが問われた。住民投票の結果、ロシアへの帰属を求めてウクライナから独立することを承認する票が多数(発表によれば80%を超える有効投票数の95%以上)に達した[12][13]。ただし、アメリカ合衆国欧州連合、そして日本政府は、投票がウクライナの国内法に違反し非合法なものであるとしている[12][14]

住民投票を受けて、3月17日にクリミアの議会は独立を宣言し、ロシアはその日のうちに国家承認を行った[15][16]

ロシアによるクリミア併合

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クリミア編入条約に調印するロシア、クリミア、セヴァストポリの代表。
クリミア共和国をロシア連邦に編入し、ロシア連邦に新たな連邦構成主体を設立することに関するロシア連邦とクリミア共和国との間の条約
クリミア共和国およびセヴァストポリ特別市をロシア連邦に編入し、ロシア連邦に新たな連邦構成主体を設立するためのロシア連邦憲法条項

3月18日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領クレムリンで上下両院議員、地域指導者、社会団体代表らの前で演説し、住民投票の投票率が8割を超えたことに触れ、投票は民主主義的な手続きに則ったものであり、国際法に完全に準拠した形で行われたとした。また、9割以上がロシア編入に賛成したことは、十分に説得力のある数字だとも指摘した[17]。この結果を根拠としてクリミアとセヴァストポリの編入を宣言、クリミアとセヴァストポリを新しい連邦構成主体としてロシア連邦に編入する関連法案の可決をロシア議会に求めて演説を終えた[18]

引き続いてプーチンとクリミア共和国のアクショーノフ首相とクリミア共和国国家評議会(「最高会議」から改称)のウラジーミル・コンスタンチノフ議長、セヴァストポリ特別市評議会のアレクセイ・チャリ議長(セヴァストポリ特別市市長代行)が、ロシアとクリミア共和国の二国間条約(セヴァストポリは単独で独立せず、クリミア共和国に特別な地位を有する都市として包括されるとしていた)の形式をとった「クリミア共和国をロシア連邦に編入し、ロシア連邦に新たな連邦構成主体を設立することに関するロシア連邦とクリミア共和国との間の条約[5][18]」に署名した。

条約の正式決定にはロシア憲法裁判所英語版ロシア語版の確認、下院の批准、上院の承認などの手続きが必要となるが[19]、条約の第1条は署名の日をもってクリミア共和国はロシア連邦に編入されることとしており、条約署名をもってクリミアはロシアに編入されたとの見解を示した[20]

なお、3月17日以前、クリミア自治共和国に含まれていなかったセヴァストポリは、特別市としてクリミア共和国に包括されて独立を宣言したが[21]、セヴァストポリ市は16日の住民投票において単独で連邦市としてロシア連邦に編入されることを承認されており[22]、編入後はクリミア共和国と対等な連邦構成主体である連邦市となった(条約第2条)。

ロシア国内の批准手続きは3月21日の上院承認により完了し、ロシア・クリミア両者の間での二国間条約としての編入が発効した[4]。しかし3月27日には、国連総会はこの編入を認めない旨を決議した(決議68/262)[23]

脚注

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  1. ^ Парламент Крыма принял постановление «О гарантиях восстановления прав крымскотатарского народа и его интеграции в крымское сообщество»(2014年3月12日時点のアーカイブ
  2. ^ Citypopulation.de Ukraine 2014-01-01 Estimate Population
  3. ^ “ロシア大統領、クリミア編入を表明 両者が条約に署名”. 朝日新聞. (March 18, 2014). http://www.asahi.com/articles/ASG3L54VFG3LUHBI00F.html March 18, 2014閲覧。 
  4. ^ a b “クリミア:ロシアが編入手続き完了 上院が条約批准”. 毎日新聞. (March 21, 2014). http://mainichi.jp/select/news/m20140322k0000m030049000c.html March 21, 2014閲覧。 
  5. ^ a b Договор между Российской Федерацией и Республикой Крым о принятии в Российскую Федерацию Республики Крым и образовании в составе Российской Федерации новых субъектов” (March 18, 2014). March 19, 2014閲覧。
  6. ^ rulers.org - Ukraine”. 2014年3月30日閲覧。
  7. ^ “ウクライナ議会、クリミア議会の解散を採決”. 日テレNEWS24. (March 16, 2014). http://www.news24.jp/articles/2014/03/16/10247562.html March 18, 2014閲覧。 
  8. ^ Sasse, Gwendolyn (3 March 2014). “Crimean autonomy: A viable alternative to war?”. Washington Post. http://www.washingtonpost.com/blogs/monkey-cage/wp/2014/03/03/crimean-autonomy-a-viable-alternative-to-war/ 6 March 2014閲覧。 
  9. ^ 伊東孝之 編『ポーランド・ウクライナ・バルト史』井内敏夫、中井和夫 編、山川出版社、1998年。ISBN 978-4-634-41500-3NCID BA39089582 
  10. ^ Constitution of Ukraine, 1996”. March 12, 2014閲覧。
  11. ^ Парламент Крыма принял Декларацию о независимости АРК и г. Севастополя”. Государственный Совет Республики Крым (11 March 2014). 2014年3月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。18 March 2014閲覧。
  12. ^ a b BBC News - Crimea referendum: Voters 'back Russia union'
  13. ^ Crimeans vote over 90 percent to quit Ukraine for Russia | Reuters
  14. ^ Japan does not recognise Crimea vote - govt spokesman | Reuters
  15. ^ Подписан Указ о признании Республики Крым
  16. ^ “Crimea, Putin move closer to Russian annexation”. USA Today. (March 17, 2014). http://www.usatoday.com/story/news/world/2014/03/17/crimea-vote-russia-ukraine-sanctions/6513905/ 
  17. ^ “プーチン演説、ロシア連邦への編入求めるクリミア住民投票に答え”. ロシアの声. (2014年3月18日). http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_18/269791918/ 2014年3月22日閲覧。 
  18. ^ a b “プーチン大統領:クリミアは強力な主権のもとに置かれるべき。今日において唯一それを有する国家はロシア”. ロシアの声. (2014年3月18日). http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_18/269796395/ 2014年3月22日閲覧。 
  19. ^ “クリミア:プーチン大統領演説「歴史的にも死活的に重要」”. 毎日新聞. (March 18, 2014). http://mainichi.jp/select/news/20140319k0000m030148000c.html March 19, 2014閲覧。 
  20. ^ “ロシア大統領、クリミア編入を表明 両者が条約に署名”. 朝日新聞. (March 18, 2014). http://www.asahi.com/articles/ASG3L54VFG3LUHBI00F.html March 18, 2014閲覧。 
  21. ^ “クリミア議会 クリミアの独立決議を採択”. ロシアの声. (March 18, 2014). http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_18/269742342/ March 19, 2014閲覧。 
  22. ^ “Lawmakers in Crimea Move Swiftly to Split From Ukraine”. The New York Times. (17 March 2014). http://www.nytimes.com/2014/03/18/world/europe/european-union-ukraine.html?hpw&rref=world&_r=0 17 March 2014閲覧。 
  23. ^ “Backing Ukraine’s territorial integrity, UN Assembly declares Crimea referendum invalid”. UN Daily News (the News and Media Division, Department of Public Information, United Nations): pp.1-2. (27 March 2014). http://www.un.org/News/dh/pdf/english/2014/27032014.pdf. 

関連項目

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外部リンク

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