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利用者:Shusuke88/sandbox2

フォスファテリウム科
フォスファテリウム
フォスファテリウムの頭骨
地質時代
古第三紀漸新世 - 新第三紀鮮新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
下綱 : 真獣下綱 Eutheria
上目 : アフリカ獣上目 Afrotheria
階級なし : 近蹄類 Paenungulata
: 長鼻目 Proboscidea
階級なし : 近ゾウ型類 Plesielephantiformes
: フォスファテリウム科 Phosphatheriidae
学名
Phosphatheriidae
Gheerbrant et al., 2005
Phosphatherium
Khamsakonus

フォスファテリウム科学名Phosphatheriidae ) とは、ゾウ目の絶滅した科である。学名の由来はフォスファテリウムを参照。

フォスファテリウムハムサコヌス の2属が含まれるとされるが、ハムサコヌスについては、1-2個の歯の化石しか見つかっていないため確実ではない[1]

形態

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フォスファテリウム科は、小さくて原始的で臼歯がロフォドント(横堤歯)のゾウ目である。中でもハムサコヌスはゾウ目の中で最小と考えられており[2]タイプ属であるフォスファテリウムも肩高 30 センチメートルの中型犬程度の大きさである[3]。特徴の詳細については フォスファテリウム#形態を参照。

科を分類する特徴

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以下の特徴をもって科の分類を行うとしている[4]

  • 上顎犬歯、上顎第一小臼歯 およびおそらく下顎第一犬歯を持つ。
哺乳類の基本歯式は切歯(3)・犬歯(1)・小臼歯(4)・大臼歯(3)の44本である[5]。歯式で表すと となり、上段が上顎歯で下段が下顎歯のそれぞれの歯の数を表している。食性が草食に変わるにつれ切歯や犬歯は退化して失われ歯式は変化していくが、フォスファテリウム科では上顎は基本歯式そのままで、犬歯や4本の小臼歯が残る原始的な歯式を維持しているのが特徴である。フォスファテリウムの歯式は もしくは と考えられている[1]。対して、時代が進み始新世後期のバリテリウムになると、歯式は となり、第三切歯・犬歯・第一小臼歯は失われている[1]
  • 上部ジアステマは短く、下部ジアステマは存在しない。
ジアステマ英語版とは動物では前歯(切歯)と小臼歯の間の隙間を指す。植物食の哺乳類では犬歯が失われ切歯や小臼歯の数も減る。その結果、前歯(切歯)と臼歯列の間=ジアステマが大きくひらくことになる。
原始的な歯列を持つとされるフォスファテリウム科においては、上顎骨・下顎骨にある歯槽の跡よりジアステマは小さいもしくは存在しないことが分かっている。バリテリウムのような始新世後期のゾウ目が広いジアステマを持つのとは対照的である[4]
  • 原始的な頭蓋骨の形状
フォスファテリウム科の頭蓋骨の第一の特徴は、横方向大きく広がる頬骨弓英語版である。頬骨弓は咀嚼に使う筋肉が付く骨で、その発達は咬合力が強いことを意味する。フォスファテリウムは植物食のみならず、木の実のような堅いものも食べる雑食性であった可能性がある[6]。次の特徴は鼻腔が後退していない点である。ゾウ目の特徴として発達した鼻を持つために頭蓋骨の鼻腔は大きく位置が後退する。しかし、フォスファテリウムの鼻腔は前方に位置したままで、まだ鼻が未発達であったと思われる。最後の特徴は眼窩の位置で、フォスファテリウムの眼窩は前縁が第四小臼歯の上にあり比較的後方に位置したままである。対して水生適応を果たしたと考えられるバリテリウムでは眼窩は小臼歯列よりも前方のディアステマの上に位置する。フォスファテリウム科は、このようなゾウ目の進化に伴う特徴が十分に発現していない前後に長い原始的な頭蓋骨を持つゾウ目である[1]
フォスファテリウム
国立自然史博物館 (フランス)
(比較用)バリテリウムの頭骨図

生息時代・生息域

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ウルド・アブドゥン盆地

ゾウ目の進化には 3回の放散があったとされる[7]。その第1回目の放散(始新世 - 漸新世)の先陣を切るのがフォスファテリウム科である。 古第三紀暁新世から始新世にかけてのゾウ目はアフリカ北西沿岸部にあるモロッコから発見されており、特にウルド・アブドゥンというリン酸塩堆積物の盆地からは多くの化石が見つかっている。フォスファテリウムも同盆地から発見されたゾウ目の一つで、エリテリウムを除けば最古のゾウ目とされる[4]。 また、フォスファテリウムが登場した 56Ma の時代は暁新世-始新世温暖化極大(PETM) と言われる CO2 の増大期で、地球環境の気温は 5-8度ほど上昇した。ゾウ目の発展にもこの温暖な気候が寄与した可能性は高いと考えられている[1]

その後大陸各地へと広がったゾウ目は、始新世中期には断続的に各地で化石が見つかるようになる。さらに始新世後期のバリテリウム科モエリテリウムの化石は、東アフリカのエジプトリビアが主な採掘場所となっており、次の漸新世まで放散は続く[1]

暁新世から始新世に生息していたゾウ目の一覧は次のとおり[1]

暁新世 始新世
66 - 56M 56 - 34M
科未定 エリテリウム サルーミア
フォスファテリウム科 フォスファテリウム
ハムサコヌス
ヌミドテリウム科 ヌミドテリウム
ダオウイテリウム
バリテリウム科 バリテリウム
アルカノテリウム
モエリテリウム科 モエリテリウム
科未定 ダグバティテリウム

生態

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始新世後期のバリテリウムモエリテリウムは半水棲であることが頭骨の形状や同位体分析などにより確実視されている。しかし、フォスファテリウム科のような始新世前期のゾウ目が半水棲であったかどうかは不明で、臼歯形状から推察される食性の近似性や、発掘場所の盆地がサメ等の軟骨魚類の化石が大量に発見される海洋堆積物の地層であることなどから半水棲を推察するに留まっている[8]

人類との共存

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ウルド・アブドゥン盆地からは、最古の真霊長目もしくは類人猿とも言われるアルティアトラシウス( Altialasius ) の化石も発掘されている[9]。これはフォスファテリウムは霊長類と同じ盆地で共存した最古のゾウ目であった証拠でもある[1]

分類

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以下の体系と考えられている[10]

2005年にフォスファテリウム科が Emmanuel Gheerbrant 達により提唱された。これは形態データに基づく系統解析により、フォスファテリウムは従来のヌミドテリウム科に入れておくには、ヌミドテリウムとの違いが顕著であるとされたためである[4]

その後、2010年に Sanders 達により近ゾウ型類(Plesielephantiforms) へと組み込まれている。二稜歯(バイロフォドント)を持つゾウ亜目(Elephantiforms)でないゾウ類をまとめる分類群なので、フォスファテリウムも所属することになる[11]。 その他下位分類を含め詳細については、フォスファテリウム#分類ハムサコヌス#分類を参照。

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h Evolution and Fossil Record of African Proboscidea
    Sanders (2024)
  2. ^ Paleocene emergence of elephant relatives and the rapid radiation of African ungulates
    Gheerbrant (2009)
  3. ^ Shoulder height, body mass and shape of proboscideans
    Larramendi (2016)
  4. ^ a b c d Nouvelles données sur Phosphatherium escuilliei (Mammalia, Proboscidea) de l'Eocène inférieur du Maroc, apports à la phylogénie des Proboscidea et des ongulés lophodontes
    Gheerbrant et al. (2005)
  5. ^ ふしぎ・ふしぎ 咀嚼と健康 ~その20~ —イヌの歯ネコの歯—”. モリタ DENTAL PLAZA. 2024年5月24日閲覧。
  6. ^ 山博コレクション 骨の小話シリーズ①
    藤田 (2009)
  7. ^ 新版 絶滅哺乳類図鑑
    富田 (2011)
  8. ^ Stable isotope evidence for an amphibious phase in early proboscidean evolution
    Alexander et al. (2008)
  9. ^ Anthropoid versus strepsirhine status of the African Eocene primates Algeripithecus and Azibius: craniodental evidence
    Tabuse et al. (2009)
  10. ^ Phosphatheriidae”. The Paleobiology Database. 2024年5月18日閲覧。
  11. ^ Cenozoic Mammals of Africa: Chaptor15 PROBOSCIDEA
    Sanders et al. (2010)

参考文献

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外部リンク

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