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利用者:Mizusumashi/写真の著作物の保護期間/解説/原則/団体名義の場合

このページでは、日本人による創作によるもので、日本で最初に公表された、団体名義の写真の著作物についての日本の著作権法における保護期間について解説します。いくつかの前提的な問題については、利用者:Mizusumashi/写真の著作物の保護期間/解説を参照してください。

対象

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次の条件をすべて満たす写真の著作物を対象とします:

  • 日本人によって創作された
  • 日本で最初に公表された
  • 無名または変名の著作物ではない(旧著作権法第5条、現行著作権法第52条参照)
  • 法人その他の団体の名義の著作物である(旧著作権法第6条、現行著作権法第53条参照)
  • 美術上の著作物を複製した写真ではない(旧著作権法第23条第3項)
  • 文芸学術の著作物中に挿入した写真で、その著作物のために創作し、または創作させたものではない(旧著作権法第24条参照)

1899年

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旧著作権法は、1899年7月15日に施行されました。写真の著作物の保護期間を原則として、公表より10年、ただし公表しなかったときは創作より10年と定めていました。

旧著作権法は団体名義の著作物の保護期間について公表後30年という特別な定めをおいていましたが、写真の著作物にこれをあてはめると、一般的には写真の著作物について他の著作物より短い期間の保護しか与えておらず、写真の著作物以外については団体名義の著作物については個人名義・実名の著作物より短い期間の保護しか与えていないにもかかわらず、団体名義の写真の著作物が個人名義・実名の写真の著作物よりも長い期間の保護を受ける可能性が出てくるため、一貫しない結果となります。また、条文の位置からいっても、第6条(団体著作物)は、第3条(生前公表著作物)・第4条(死後公表著作物)の例外を定めたものであって、第23条の例外を定めたものではないと理解するのが自然かもしれません。よって、旧著作権法下において、団体名義の場合でも、写真の著作物の保護期間の原則どおりの保護を受けると理解するべきとします[1](旧著作権法第23条第3項、第24条が適用される場合は別論)。

1899年7月15日
公表 保護期間
10年以内に公表されず 創作後10年
10年以内に公表 公表後10年(最大20年)
官公衙学校社寺協会会社其の他団体に於て著作の名義を以て発行又は興行したる著作物の著作権は発行又は興行のときより三十年間継続す
1項 写真著作権は十年間継続す

2項 前項の期間は其の著作物を始めて発行したる年の翌年より起算す若し発行せざるときは種板を製作したる年の翌年より起算す

3項 〔省略〕

1967年

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旧著作権法は、1962年(昭和37年)、1965年(昭和40年)に著作物の一部について著作権の存続期間の延長を行いましたが、写真の著作物の保護期間は延長されませんでした。そして、写真の著作物の保護期間は、1967年(昭和42年)に2年延長されました(施行は1967年7月27日)。

ただし、次のものについては、すでに著作権が消滅しており、著作権が消滅しているものについては適用しないこととされたので、延長を受けることなく著作権は消滅したままとなります。:

  • 1946年までに創作したものについては、1956年までに公開していなければ1966年末までに創作後10年の保護が満了し、1956年までに公開していても1966年末までに公開後10年の保護が満了しているので、著作権が消滅しています。
  • 1947年から1956年に創作され、10年以内に公表されていないものについては、1966年末までに創作後10年の保護が満了しているので、著作権が消滅しています。
  • 1947年から1956年に創作され、10年以内に公表されていたとしても、1956年までに公表したものについては、1966年末までに公表後10年の保護が満了しているので、著作権が消滅しています。

次のものについては、著作権が存続しており、2年の延長を受けることになります。:

  • 1947年から1956年に創作され、10年以内に公表され、1957年以降に公表したものについては、1967年末に公表後10年の保護が継続しているので、著作権が存続しています。
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていないものは、1967年末に創作後10年の保護が継続しているので、著作権が存続しています。
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていたとしても、1967年末に公表後10年の保護が継続してしているので、著作権が存続しています。
1967年7月27日
創作 公表 保護期間
~1946年 - - 満了(最大20年が経過)
1947年~1956年 10年以内に公表されず - 満了(創作後10年が経過)
1947年~1956年 10年以内に公表 ~1956年 満了(公表後10年が経過)
1947年~1956年 10年以内に公表 1957年~ 公表後12年
1957年~ 12年以内に公表されず - 創作後12年
1957年~ 12年以内に公表 - 公表後12年
この法律は、公布の日から施行する。ただし、この法律の施行前に著作権の消滅した著作物については、適用しない。

1969年

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写真の著作物の保護期間は、さらに1969年(昭和44年)に1年延長されました(施行は1969年12月8日)。

このときも、著作権が消滅しているものについては適用しないこととされたので、すでに保護期間が満了しているものについては復活しません。しかし、1967年改正以後存続していたものはすべて、次のように延長をうけます:

  • 1947年から1956年に創作され、10年以内に公表され、1957年以降に公表したものについては、1969年末に公表後12年の保護が継続しているので、著作権が存続しています。
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていないものは、1969年末に創作後12年の保護が継続しているので、著作権が存続しています。
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていたとしても、1969年末に公表後12年の保護が継続してしているので、著作権が存続しています。
1969年12月8日
創作 公表 保護期間
~1946年 - - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表されず - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 ~1956年 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 1957年~ 公表後13年
1957年~ 13年以内に公表されず - 創作後13年
1957年~ 13年以内に公表 - 公表後13年
この法律は、公布の日から施行する。ただし、この法律の施行前に著作権の消滅した著作物については、適用しない。

1971年

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1970年(昭和45年)に、旧著作権法は全部改正を受けて、現行著作権法となりました(施行は1971年1月1日)。このとき、写真の著作物の保護期間が50年に延長されました。このとき、現行著作権法53条で団体名義の著作物について別に定めをおきましたが、同法55条2項は写真の著作物につきその適用を排除したので、個人名義・実名の場合と保護期間は異ならない結果となります。

このときも、著作権が消滅しているものについては適用しないこととされたので、すでに保護期間が満了しているものについては復活しません。しかし、1969年改正以後存続していたものはすべて、次のように延長をうけます:

  • 1947年から1956年に創作され、10年以内に公表され、1957年以降に公表したものについては、1970年末に公表後13年の保護が継続しているので、著作権が存続しています[2]
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていないものは、1970年末に創作後13年の保護が継続しているので、著作権が存続しています[3]
  • 1957年以降に創作され、10年以内に公表されていたとしても、1970年末に公表後13年の保護が継続してしているので、著作権が存続しています[4]
1971年1月1日
創作 公表 保護期間
~1946年 - - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表されず - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 ~1956年 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 1957年~ 公表後50年
1957年~ 50年以内に公表されず - 創作後50年
1957年~ 50年以内に公表 - 公表後50年
1項 写真の著作物の保護期間は、その著作物の公表後50年(その著作物がその創作後50年以内に公表されなかったときは、その創作後50年)を経過するまでの間、存続する。

2項 第52条及び第53条の規定は、写真の著作物の著作権については、適用しない。

1項 改正後の著作権法(以下「新法」という。)中著作権に関する規定は、この法律の施行の際現に改正前の著作権法(以下「旧法」という。)による著作権の全部が消滅している著作物については、適用しない。

2項 この法律の施行の際現に旧法による著作権の一部が消滅している著作物については、新法中これに相当する著作権に関する規定は、適用しない。

3項 〔省略〕

1997年

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現行著作権法は、1996年(平成8年)12月26日に改正を受け、55条が削除されました(施行は、1997年3月25日[5])。

この結果、団体名義の写真の著作物についても同法53条の適用を受けるようになり、公表後50年、だたし創作後50年公表されなかった場合は創作後50年の保護期間となりました。これは、若干の例外が加わりますが、1970年の現行著作権法への全部改正時の規定と基本的に変わらないため、ほとんど変化はありません。

1997年3月25日
創作 公表 保護期間
~1946年 - - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表されず - 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 ~1956年 満了
1947年~1956年 10年以内に公表 1957年~ 公表後50年
1957年~ 50年以内に公表されず - 原則として、創作後50年
1957年~ 50年以内に公表 - 原則として、公表後50年
1項 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。

2項 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。

3項 第十五条第二項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第一項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。

改正後の著作権法中著作物の保護期間に関する規定(次項において「新法」という。)は、写真の著作物については、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存するものについて適用し、この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している写真の著作物については、なお従前の例による。
この法律の施行前に創作された写真の著作物の著作権の存続期間は、当該写真の著作物の改正前の著作権法中著作物の保護期間に関する規定(以下「旧法」という。)による期間の満了する日が新法による期間の満了する日後の日であるときは、新法にかかわらず、旧法による期間の満了する日までの間とする。

脚注

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  1. ^ この点については、参考資料の提供を求めます。
  2. ^ 個人的見解としては、「ローマの休日」事件「シェーン」事件判決を敷衍すれば、1957年に公表したものについては著作権が消滅しているものと考える。1957年に公表したものは1970年の末日まで保護を受けるが、現行著作権法施行は1971年の初日であり、「シェーン」事件判決によればこれらは異なる日であって、保護は継続しないはずではないだろうか。しかし、「ローマの休日」事件一審判決(2006年)・「シェーン」事件一審判決(2006年)以前のものであるが、田村2001(290項)が「1957年1月1日以降に発行された写真の著作物で創作後10年内に発行されたものの保護期間は、新法の削除前55条によれば公表後50年とされたことになる」とし、作花2002(384-387項)もとくに問題としていないので、1970年の末日まで継続する保護は1971年初日の施行時に継続しているものとして処理した。
  3. ^ これも同様に、個人的見解としては1957年に創作されたものについては保護は継続していないはずであると考えるが、1970年の末日まで継続する保護は1971年初日の施行時に継続しているものとして処理した。
  4. ^ これも同様に、個人的見解としては1957年に創作・公表されたものについては保護は継続していないはずであると考えるが、1970年の末日まで継続する保護は1971年初日の施行時に継続しているものとして処理した。
  5. ^ ひとまず、著作権の保護期間による。

リンク

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参考文献

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