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利用者:Henon/作業用ページ5

線型代数学において、固有多項式(こゆうたこうしき、characteristic polynomial)あるいは特性多項式(とくせいたこうしき)とは、正方行列に付随して得られるある多項式を指し、その行列の固有値行列式トレースといった重要な量を内包している。またグラフの固有多項式とは、グラフの隣接行列の固有多項式のことを指す。この多項式はグラフの不変量となっている。すなわち同型なグラフは同じ固有多項式を持つ。

動機

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正方行列Aに対し、根がAの固有値を過不足なく与えるような多項式を見つけることを考える。

もしAが対角行列ならこのような多項式を見つけることは簡単にできる。Aの対角成分をa1,a2,a3,・・・とすれば、 が求める多項式になる。なぜなら対角行列の固有値は、対角成分に他ならないからである。

一般の行列Aに対しては次のような方法で考える。 あるスカラーλがAの固有値であるための必要十分条件は、Av=λvを満たすv0が存在することである。このvAの固有ベクトルという。 条件Av=λvは、

と同値である。(ここでIは恒等行列。)これをみたすv0が存在するための必要十分条件は、λI-Aが非正則、すなわち行列式が0となることである。 従って、の解がAの固有値である。またこの行列式はλに関する多項式になっている。

定義

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Kとする。(例えば実数体や複素数体。)AKの元を成分とする行列とする。 Aの固有多項式とは、

で定義される多項式のことである。ここでIの恒等行列であり、行列式はtに関する有理関数体K(t)の中で考える。

を定義とする場合もあるが、nが奇数のときに限り符号-1がつくだけなので本質的に違いはない。)

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次の行列Aの固有多項式を求めよう。

そのためには、

の行列式を計算すればよい。それは、

であり、これがAの固有多項式である。


性質

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  • 固有多項式はモニック(すなわち最高次の係数が1)なn次多項式となる。
  • 固有多項式の最も重要な性質は、動機の節で述べたように、その根がAの固有値を過不足なく与えることである。
  • 固有多項式の定数項は、となる。また、tn-1の係数はである。
例えば行列の場合には、その固有多項式は
t 2 − tr(A)t + det(A)
と簡単に表すことができる。
また、行列の場合には、c2主小行列式(principal minor)の総和と定義することで、固有多項式
と表すことができる。
  • 奇数次の実数係数多項式は少なくともひとつ実根を持つことから、奇数次の実数係数行列は、少なくともひとつ実固有値を持つ。実根をもたない偶数次の多項式はたくさんあるが、代数学の基本定理によれば、複素数の範囲で、n次多項式は重複を込めてn個の根を持つ。実数係数多項式の実数でない根は共役との組で現れることから、実数係数行列の実固有値ではない固有値も共役複素数の組で現れることがわかる。
  • ケーリー・ハミルトンの定理:固有多項式においてtAに置き換えて得られる行列は、零行列に等しい,すなわち
この定理により、A最小多項式は、を割り切ることがわかる。
  • 相似な2つの行列は、同じ固有多項式を持つ。
ただし逆は正しくない。同じ固有多項式を持つ行列でも相似ではないものがある。例えば、
の固有多項式はともにだが相似ではない。(前者の最小多項式はであるが、後者はである。)
  • AA転値行列の固有多項式は一致する。
  • Aが三角行列に相似であることと、体K上で固有多項式が一次式の積に分解することとは同値である。(この場合、Aはさらにジョルダン標準形とも相似になる。)
  • 2行列の積に対する固有多項式
ABn次正方行列とするとき、ABBAの固有多項式は一致する。すなわち
が成り立つ。
より一般に、A行列、B行列でm<nとするとき、AB行列で、BA行列である。このとき
が成り立つ。


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この節は、あまり良くかけていないような・・・。

関連項目

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参考文献

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