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2月16日 かねて病のため交代を予定されていた初代艦長中尾中佐に代わって、二代目艦長荒木政臣中佐が着任。艦長室での事務引き継ぎ中に空襲警報が出る。 横須賀で待機中に硫黄島の戦いの援護で関東地方に空襲を仕掛けてきた第58任務部隊(マーク・ミッチャー中将)の艦載機と交戦した。 敵機がかなりの低空だったため、四十九門の機銃による対空砲戦を行った。約一時間ほどの対空戦闘で撃墜グラマンF6F2機と報告した。戦闘慨報の決裁を新艦長が行い、旧艦長は退艦した。夕刻、横須賀鎮守府から「明日空襲の際、陸上防空砲台の援護下に入れ」と伝達があり、砲術学校沖へ移動準備をした。 [1] [2]
2月17日 空襲警報後に砲術学校沖で待機。敵機が長10センチ高角砲の射程内に入ってこなかったため、前日のような戦闘にはならなかった。この日横須賀には宵月の他に爆撃標的艦波勝が在泊していた。 [3]
2月20日 駆逐艦「蔦」とともに横須賀を出港、敵潜水艦を警戒しながら本州南岸を接岸航行し、伊予灘屋代島(周防大島)の安下庄泊地に仮泊。 [4]
3月5日 安下庄を基地として訓練に従事。 [6]
3月16日 訓練中に注油ポンプが故障、呉に一時帰投しブイに係留し整備している時に呉軍港空襲を受ける。 味方艦を守るため、高角砲による対空射撃を実施、自艦に向かってくる敵機は機銃対空射撃で応戦した。朝から夕方まで断続的に戦闘が続き、昼食は乾パンのみであった。この日の戦闘で高角砲弾の1/3を消費した。損害は至近弾があったのみで外鈑に小孔が空いた程度。 [7]
呉海軍工廠で修理が行われたが復旧せず、当面の行動に支障なしとして修理は打ち切られた [8]。
4月6日 坊ノ岬沖海戦には訓練不十分のため参加できず、待機部隊第二部隊に編入、花月、夏月と共に瀬戸内海西部防空の任に着く。以降、安下庄、八島を泊地として訓練を繰り返したが、訓練用標的機も得られず実戦即訓練という考えで行わざるを得なかった。 [9]
5月10日 八島泊地を早朝に出港、呉に向かう途中、松山沖釣島水道を通って柱島泊地に変針すると警戒警報が出た。十三号電探が四国南方に呉に向かうと思われる敵大編隊を発見。対空戦闘のため伊予灘に出る。十五センチ高角望遠鏡でB-29を確認。九四式高射器測距儀で距離を測るが、第一悌団だけでも五十機以上の大編隊であった。第一悌団へ射撃の弾着は同高度前方で炸裂、その後下方に弾着が移る。爆弾を投下されたため蛇行して回避。第二悌団に射撃を続けたが、編隊下方に弾着。第三悌団以降は東へ迂回して北上するコースを取ったため射程外となった [10]。
5月20日 第十一水雷戦隊から離れ、第四十一駆逐隊に編入される。 [11]
5月25日 第四十一駆逐隊は夏月が編入され4隻そろうが、損傷している涼月、冬月は行動不能であった。海軍総隊はGB第251221番電、GB電令第三十三号により、第四十一駆逐隊を対馬海峡部隊編入とした。 [12]
6月5日 対馬海峡部隊に合同するため呉を出港、下関海峡を経て鎮海へ向かう航路をとった。1530 周防灘姫島灯台の325度5.8キロ地点で磁気機雷に触雷し、補助機械の一部に損傷を受け片舷航行となった。修理のため呉に回航することになり、下関海峡東口の部崎沖に仮泊。 [13]。
機関出力低下により最高速度が28ノットどまりとなった
6月6日 呉工廠岸壁に係留。 [14]
6月29日 係留中にB-29の空襲を受ける。江田島方面から高高度で編隊を組んで左舷に向かってくる敵に対して八門の高角砲で対空射撃を行うが、編隊下方で炸裂。第ニ波、三波ともに同様の対空戦闘であった。 [15]
7月1日 呉市街に夜間空襲、B-29による焼夷弾爆撃が行われたが、目標を視認できず対空射撃は実施しなかった。
7月20日 修理完了[16]
7月23日 小型機の空襲、至近弾破片で、初の戦傷者を出す。 [17]
7月26日 至近弾による外鈑破口修理のため、工廠岸壁に艦尾を横付け。 [19]
7月27日 呉軍港空襲、だが、連日の空襲で弾薬の浪費を慎む指示が出ており、高角砲は有効見込みがあるときのみ使用することにしていた。 [20]
8月2日 本土決戦に備えて兵力を温存するため、曳航されて東能美島南端の秀地の窪入江島岸に錨泊。藁縄の網で全艦を覆い、青松葉で擬装。単装機銃を陸揚げし、丘に機銃座を作り潜伏[21]。
8月6日 警戒警報、山上見張りが大型機1機が北上中を報告。擬装中に所在を露呈するわけにもいかず発砲を控えた。そのうち、広島方面に青白い閃光がみえ、泊地でも爆発音が聞こえ、遠くにキノコ雲が見えた。それが広島市への原爆投下であることがのちにわかった[22]。
8月15日 終戦
丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 元「宵月」砲術長・海軍大尉 荒木一雄 潮書房 昭和60年(1985年) 雑誌68365-99
- ^ 『第十一水雷戦隊戦時日誌』C08030127900、20頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、130頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、131頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、131頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、132頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、132頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、132頁
- ^ 『第十一水雷戦隊戦時日誌』C08030127900、45、49、51頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、132頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、133頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、134頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、134頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、134頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、134頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、134頁
- ^ 遠藤、218頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁
- ^ 潮書房 丸エキストラ版 第九十九集 <特集/あゝ軍艦旗> 軍港を死守した"宵月"の防空戦始末 荒木一雄、135頁