利用者:高砂の浦/sandbox/日本3
サケ捕獲権確認請求事件(サケほかくけんかくにんせいきゅうじけん)は、アイヌ民族団体ラポロアイヌネイションが浦幌十勝川河口周辺におけるサケ漁を先住民族固有の権利(先住権)であるとして認めるよう求めた裁判。2020年に提起されたこの裁判は、2024年4月に札幌地方裁判所が訴えを退けたものの、アイヌの先住権をめぐる判決としては日本において初めてである。
アイヌ先住権訴訟と報じられている。
背景
[編集]アイヌとサケ
[編集]アイヌにとってサケは神々の国から送られた「カムイチェㇷ゚」(神の魚)であり、生活に欠かせないものであった[1]。十勝川沿いには多数のコタン(アイヌの集落)があったが、19世紀後半になると和人の漁師が入植し、サケが乱獲された[1]。明治政府は乱獲への対応として1883年に十勝川におけるサケ漁を禁じた[1]。
日本において河川でのサケ捕獲は水産資源保護法で禁止されている[2]。アイヌに対しては儀式に使用するなど文化継承のためであれば一定数のサケの捕獲が許可制で認められている[2]。
日本国内外での先住民族の権利
[編集]2007年、国際連合で「先住民族の権利に関する国際連合宣言」が採択された[3]。伝統的な儀式や技術を維持・発展させる権利や、土地、資源に対する権利などが明記されている[3]。日本も採択に賛成し、翌年にアイヌを先住民族であると認める国会決議がなされ、2019年のアイヌ施策推進法でもアイヌが先住民であることが明記された[3]。その一方、アイヌの先住権をはじめとする権利についてはこれまで触れていない[3]。
アメリカではワシントン州で1974年、州政府を相手取りサケ捕獲権の回復を求めた裁判で先住民族が勝訴した[4]。カナダやノルウェーでは土地や資源に関する権利や自治権が憲法で保障されている[4]。
裁判
[編集]2020年8月17日、アイヌで構成される団体ラポロアイヌネイションが国と北海道を相手取り札幌地裁に提訴した[5][6]。浦幌十勝川の河口から4キロの間ではサケ捕獲が法律などで規制されないことの確認を求めるものである[6]。
脚注
[編集]- ^ a b c 荒ちひろ「「生活の糧だったサケ、儀式だけに」アイヌ民族が求める先住権と持続可能な漁の復活」『GLOBE+』朝日新聞、2023年4月30日。2024年9月5日閲覧。
- ^ a b 「アイヌのサケ捕獲権認めず 民族団体の請求退ける―札幌地裁」『時事通信』2024年4月18日。2024年9月6日閲覧。
- ^ a b c d 荒ちひろ「先住民族(インディジネス・ピープルズ)国連宣言にうたわれた権利 複数形で表す理由」『GLOBE+』朝日新聞、2023年4月27日。2024年9月5日閲覧。
- ^ a b 「【解説】アイヌ先住権訴訟 歴史的背景や裁判の論点など」『日本放送協会』2024年4月17日。2024年9月5日閲覧。
- ^ 「アイヌ先住権訴訟「大きな転換点に」「議論深まれば」」『朝日新聞』2020年8月18日。2024年9月6日閲覧。
- ^ a b 「“川でサケ漁” アイヌ先住権訴訟 訴え退ける判決 札幌地裁」『日本放送協会』2024年4月18日。2024年9月5日閲覧。