利用者:七巫こ/sandbox
西塩子の回り舞台(にししおごのまわりぶたい)は常陸大宮市の西塩子地区で持ち伝えられている組立式の農村歌舞伎の回り舞台であり、茨城県指定文化財(有形民俗文化財)に成っている。残っている道具の中には江戸時代にまで遡れる物もあることから、日本国内で現存する組み立て式の農村歌舞伎舞台としては最古級のものと見なされている。舞台の組立は1946年以後途絶していたが1997年に復活し、以後組み立てた舞台で素人歌舞伎等の公演が定期的に催されている。その定期公演名も『西塩子の回り舞台』と題されている[1][2]。
概要
[編集]組み立て式である西塩子の回り舞台は平舞台、花道、回り舞台などの床材と本床(チョボ)、襖、幕などの舞台道具を保有し、舞台の柱や屋根になる木材等は興業の毎に別途調達して、保有している床材等と併せて舞台を組立てしていた。興業が終わると柱、屋根等の建材は売り払うなどした。組み立てられた舞台では地元衆による歌舞伎や人形芝居が行われていた。残されている道具類の内には、文政3年(1820年)時点での存在を伺わせる"文政三辰菊月"と染め抜かれた引き幕や、別途保存されている文政6年(1823年)から書き始められた古文書『仲磨諸道貢控帳』の記述と符合する本床、幕が存在する。西塩子の回り舞台の成立年代を示す伝承は伝わっていないが、前述のことから文政年間(1818年から1830年)には仮設程度の舞台は作られていたものと考えらている。
日本国内で現存している組み立て式の農村歌舞伎舞台は数が少なく、かつ、文政まで遡れる道具類が残っている西塩子の回り舞台は現存する日本最古級の組み立て式の農村歌舞伎舞台として貴重なものと位置づけられている。
1999年(平成11年)11月25日に、登録名称「西塩子の回り舞台」として床材及び道具類計65点一式が茨城県指定文化財の有形民俗文化財に指定された。