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利用者:㭍月例祭/sandbox/HR/03

PJ競馬 執筆ガイドライン/外国競馬編集時に気をつけること 日本以外の競馬の編集時の留意すること

特に外国競馬について書いた日本語文献では、日本語話者にわかりやすいような意訳が行われており、しばしば不正確な場合があります。情報源通りに書いたからといって、必ずしも正確な情報ではない可能性がある、ということを頭の片隅において編集してください。正確な情報を伝える情報源にあたることが理想的ですが、それが難しい場合には、参照した情報源を明記することで、ひとまずの責任は果たすことができます。

よくわからない場合は、PJ競馬などで質問してみてください。

注意点は多岐にわたりますが、総じてWikipedia:検証可能性Wikipedia:出典を明記するに気を使っていれば大丈夫です。

単位の違い(メートル法とヤード・ポンド法)

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一部の国・地域ではヤード・ポンド法が採用されています。レースの距離、負担重量などを表記する場合は、単位の違いに特に気をつけるようにしてください。

  • 主な対象国/イギリス、アイルランド、アメリカ、カナダなど。1970年代以前のオーストラリア。

一般に、日本の文献・資料・ウェブサイトや、メートル法採用国の資料では、ヤード・ポンド法採用国の情報もメートル法の概算値で書いてある場合があります。

イギリスやアメリカのレースには注意

(例) シーキングザパールが出走したサンタモニカハンデキャップに関するウェブサイト

ウェブサイト リンク 距離 斤量
netkeiba.com 1999年サンタモニカハンデ(G1) 1400メートル 54kg
Yahoo スポーツナビ 出走レース 1400メートル 54kg
JBIS 全競走成績 7.0ハロン 54.0kg
レーシング・ポスト 1999SANTA MONICA HANDICAP 7ハロン 8ストーン7ポンド
=119ポンド
≒53.97kg

このように、出典が「54kg」と書いていても、不正確な場合があります。ヤード・ポンド法採用国の記述の際には、出典の記述にも注意してください。ヤード・ポンド法に基づいた正確な記述を行うのが理想的ですが、確かな出典を確認するのが困難な場合には、出典を明記した上で、注釈などを利用してメートル法で記述しているが実際にはヤード・ポンド法のもとで行われているので、近似値であるという旨の但し書きを添えるようにしてください。

この場合、正確な表記は「7ハロン」ですが、たいていの日本語話者にとっては「7ハロン」といってもピンときませんし、Wikipedia:表記ガイド#単位でも原則はメートル法(国際単位系)が望ましいとされています。「7.0F」「7ハロン」「約1408m」のいずれも妥当ですが、どの場合でも注釈を用いて、本来の距離は「7ハロン」であること、メートル法に換算すると約1408メートルに相当すること、を補足すると良いでしょう。

ヤード・ポンド法や、尺貫法などは、時代や地域によっても値が異なる点にも注意が必要です。詳しくはメートル法およびヤード・ポンド法ヤードポンド (質量)ハロン (単位)マイルフィートストーン (単位)などを参照してください。

注釈を使った表示方法

下記のようにすると、欄外の「注」に表示させることができます。

Wikipediaの記述 実際の表示

7.0F<ref group="注">7.0ハロンは約1408メートルに相当。</ref>

===注釈===
<references group="注"/>

7.0F[注 1]

注釈

  1. ^ 7.0ハロンは約1408メートルに相当。
イギリスやアメリカの出典にも注意

逆に、イギリスやアメリカの資料・ウェブサイトでは、メートル法採用国の数値をヤード・ポンド法に置き換えた近似値で記述している例も多く見受けられます。

たとえばジャパンカップは2400メートルであり、これを正確にヤード・ポンド法で表すと1.4912908613696マイル、あるいは1マイル864ヤード2フィート0.2インチ…となりますが、イギリスやアメリカでは「1マイル半」とか「1マイル8ハロン」とか「12ハロン」と紹介されることもしばしばです。こうした出典にも注意が必要です。

特にイギリスやアイルランドでは、もともとレースの距離が半端な距離で行われます。たとえばイギリスダービーは、現在は「約1マイル4ハロン10ヤード」(約2423メートル)とされていますが、シンプルに「1マイル半」「12ハロン」などと表記する例は少なくありません。

このように、たとえ信頼できる出典に書いてあっても、正確な数値が書かれているとは限らない、ということに気をかけるようにしてください。

さまざまな単位の変換例

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基本的には、正しい値を確認するべきですが、たとえばGoogleに「1マイル4ハロン」と入力すると「2.414016km」、「8ストーン11ポンド」と入力すると「55.7918615kg」と返してくれますので、簡単に換算することができます。

距離

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ヤード・ポンド法の地域では、ハロン・マイル・ヤードを組み合わせた表記が行なわれます。日本では1ハロン=200メートルとしていますが、ヤード・ポンド法の下では1ハロン=201.168メートルです。

同じ距離でも、「9F」「1マイル1ハロン」「1 1/8マイル」など、いろいろな表記が行なわれます。どれかひとつに統一しなければならないということはありません。出典に基いた編集と、ふつうの日本語話者にわかりやすい説明の両方を心がけてください。本文に組み入れると冗長になってしまう場合や、表中などでは、注釈を使って説明を加えるとよいでしょう。

換算の例

  • 1ハロン = 220ヤード = 201.168メートル
  • 0.5ハロン = 110ヤード = 100.584メートル
  • 1ヤード = 30フィート = 0.9144メートル
  • 1マイル = 8ハロン = 1760ヤード = 1609.344メートル
  • 1 1/8マイル = 1マイル1ハロン = 9ハロン = 1810.512メートル
  • 1 1/16マイル = 1マイル0.5ハロン = 8.5ハロン = 1マイル110ヤード = 1709.928メートル

斤量

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ヤード・ポンド法の地域では、競馬の負担重量は「ストーン」を使って表記されることが多くあります。

  • 1ストーンは14ポンドです。
  • 「8-11」は通常「8ストーン11ポンド」を意味します。(「8st11lb」も同義です)
  • 1ポンドは453.59237 グラムです。
  • 8-11 = 8ストーン11ポンド = (8×14) + 11 = 123ポンド = 55.7918615 キログラム
IFHAの換算表と注意点

国際競馬統括機関連盟(IFHA)は、ポンドとKgの換算表を公表しています。INTERNATIONAL AGREEMENT ON BREEDING AND RACING AND APPENDIXESの「Article 2 (RACING) - EQUIVALENTS IN DISTANCE AND WEIGHTS」参照。(2015年3月版)

IFHAでは、外国間でレースの出走馬を募る場合などに、この換算表を用いることを認めており、これに基づいた表記が行われている場合もあります。しかし、この換算値はあくまでも「近い値の早見表」に過ぎず、正確な換算値ではありません。また、この換算表では1/2ポンド、1/4ポンド、3/4ポンドという表現が使われていて、56kgに対応するのは「8ストーン11ポンド1/2」としていますが、現実の競馬では1/2ストーンなどの半端な斤量は使われません。

IFHAにはインターナルクラシフィケーションのポンド・kg換算表もあります。この換算は、1ポンドを453gで計算し、得られた数字に近い値を探して0.5kgにまるめています。1ポンドあたり約0.59gの誤差が生じているので、123ポンドでは約72.57gの誤差となります。たとえば123ポンドは123×0.453=55.719となり、一番近い55.5kgと表示することになっています。しかし、本来の123ポンドは55.7918kgですから、四捨五入によって56kgとする資料もあります。IFHA換算表では、122ポンド・123ポンドのいずれも「55.5kg」と換算することになっており、あくまでも「0.5kg単位でいちばん近い値」を示すための参考資料であり、正確な換算値を提供しているわけではありません。

着差、馬場状態の表記

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着差や馬場状態などの表現も、日本と外国では異なりますが、日本語の文献では日本の表現に合わせて意訳することが多くあります。

原則としては出典を明記したうえで、出典に基づいた記述を行うことでひとまず「現地の実際の情報がどうだったか」を説明する義務からは解放されます。もし、より直接的な外国の情報源などで、確認が出来る場合には、出典を明記しながら修正・補足を行ってください。注釈を利用してもよいでしょう。

着差

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着差の表現は、国・地域・時代によって異なります。日本では「ハナ差 - アタマ差 - クビ差 - 半馬身 - 3/4馬身・・・」となりますが、イギリスには「ハナ差」が無い代わりに「a short head」(短頭差と訳します)があります。このほか、国によって「short neck(短首差)」や「1/4馬身差」などの表記もあります。

日本語文献では、イギリスの「a short head」(短頭差)を「ハナ差」と意訳している例も多く見られます。

「大差」の表現にも気をつけましょう。日本の競馬では「大差」といえば「10馬身超」を示しますが、イギリスでは30馬身を「大差」とします。

馬場状態

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日本では「良 - 稍重 - 重 - 不良」の4段階で表記されますが、たいていの外国ではもっと細分化されています。

たとえば「Firm」は水分が少なく堅い状態を示し、イギリスではしばしば出走回避の対象になり、必ずしも「良い状態」とはみなされません。これを「堅」や「堅良」と訳す場合もあります。アメリカでは「Fast」という表現があり、これを「速」と訳する場合もあります。

日本語文献では、様々なものをひとまとめに意訳して「良」などとすることが多くあります。この場合も、出典を明記したうえで、出典に基づいた記述を行うことで、ひとまずの説明責任は果たせます。本来の情報に基づいてより正確な情報が分かる場合には、修正・補足を行ってください。

時期や季節・馬齢

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馬齢の表記

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馬齢の取り扱いには入念な注意が必要です。

言うまでもないことですが、日本でも2000年と2001年を境に数え方が変わりました。古い文献・資料に接する場合は常に注意が必要です。

北半球と南半球では、馬齢が1増える時期が異なります。南半球やその付近の地域では、国・地域ごとに「いつ1歳加算するか」が異なっています。また、北半球と南半球で競走馬が行ったり来たりする場合は、最も注意が必要です。タイミングによって、南半球では「2歳」扱いのものが北半球では「3歳」と扱われることもあります。資料や文献がどこの基準で書かれているかもじゅうぶん注意してください。

実際に該当する例は稀と思われますが、古い時期の日本やイギリスの情報にも注意してください。18世紀のイギリスでは毎年5月1日に1歳加算していたので、4月のクレイヴンステークスの勝馬が3歳と書いてあれば、それは今で言う4歳に相当します。

年次

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年(西暦・和暦)についても表現には注意してください。

(外国のことではありませんが)地方競馬では、2001年4月1日から2002年3月31日までを「2001年度」と表します。特に1-3月が関係する場合には注意を要します。「2001年度のレース」と言った場合に、それが「2001年1月」に行なわれたものを指すのか、それとも「2002年1月」に行なわれたものを指すのかよく確認するべきです。「2003年度から1月に変更」と言う場合に、それは「2003年1月」に行われる変更なのか「2004年1月」なのか、よく注意してください。記述する場合も同様です。

南半球では、北半球とは四季が逆転しています。南半球の資料で「3歳の春に」といえば、それは10月や11月を意味します。(南半球のどこの国かによっても違うでしょう。)一般に南半球の競馬に関しては、1991年8月1日から1992年7月31日までを「1991/1992シーズン」のように言い表します(どこを境にするかは国ごとに違います)。単に「1991年に3歳チャンピオンになった」というような記述に出あった場合、それは1990/1991シーズンなのか、1991/1992シーズンなのか、よく確認してください。

開催時期

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競馬を開催するカレンダーは、国ごとに違います。日本ではJRAが一年を通して競馬を行い、「週」を単位として開催され、「第○回×日目」というふうに定められています。

外国では、祝日に行うもの、日付が決まっているもの、曜日が決まっているもの(イギリスでは日曜日には競馬を行いません)など様々で、開催時期の変更もしばしば行なわれます。カレンダーとの兼ね合いで、1991年10月29日、1992年10月28日、1993年10月27日、1994年10月26日、1995年11月2日、と開催日がずれていくものを「10月下旬」などとするのは不適当です。

外国語のカタカナ化

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地名、馬名、人名、レース名、企業名などの固有名詞など、外国語の原文からカタカナで表記する場合には、その表記の妥当性・検証可能性に気を使ってください。(Wikipedia:表記ガイドWikipedia:外来語表記法なども参照)

記事中で用いる場合、初出時には原則としては原語を併記してください。(2回目以降は、本文中で特に支障がない限り、カタカナのみでも構いません。)

  • 例 ソーマンビー (Thormanby)

ただし、次のような場合にはカタカナ表記のみも可とします。(とはいえ、外部での検索性にも配慮すると、原語を併記することが望ましいでしょう。)

  • ウィキペディア日本語版のなかに対応する記事があり、その記事で原語等を確認出来る場合。
  • その馬が日本に輸入(ジャパンカップでの来日なども含む)されたことがあり、日本で正式にカタカナで馬名登録されている場合。
  • 例 シャフツベリーアヴェニュー (「シャフツベリーアベニュー」とはしない)
  • 例 インデェアンキング (「インディアンキング」とはしない)
推測や発音記号よりカタカナの証拠の提示を

日本に輸入されたことがない馬の場合、どのようにカタカナ表記を行うかで議論になる場合もあります。(例ダンジグ (競走馬)

ウィキペディアは必ずしも原音主義ではありません。また、ダンジグ (競走馬)エルバジェ (競走馬)などの例でよく知られているように、ラテン文字で書かれた原語が何語であるか、発音方法がどうであるか、馬主・関係者・現地・メディアでどう発音されているかを、完全に特定することは困難です。多くの場合、外国でさえ複数の発音があり、原語から発音を推測してカタカナに置き換えたものの妥当性を議論するのは、しばしば非生産的です。

Wikipedia:外来語表記法/英語にも例示されている通り、原語をカタカナにする場合には一般に複数のスタイルが用いられており、どれか1つだけを正しいと決めつけるような議論はたいてい不毛です。

あれこれ推測するよりも、実際にカタカナ書きされた出典を示すように心がけましょう。どのような表記であれ、そのカタカナ表記を採用している出典を提示することで、その表記が実際に使われていることの証拠になり、不必要な議論を回避できることになります。特に単独記事とする場合、記事名に採用される表記には、複数の出典を示すことが、こうした議論を予防するのに役に立つでしょう。(一般に、単純なGoogle検索の結果のようなものは重要視されません。)

複数の異なる表記方法が見込まれる場合、議論を回避するため、可能であれば、複数の表記それぞれの出典を示しながら、本文で複数の表記がみられることにも言及をするとよいでしょう。既に出典を示したカタカナがあって、別のカタカナ書きと出典が見つかった場合、両方を併記するスタイルとするほうが、読者にとって親切です。

どうしてもカタカナ表記の出典が見当たらない場合には、原語表記のみとするか、暫定的なカナ表記を行うことは許容されます。この場合、もしもカタカナ書きの出典を見つけられた場合には、修正や追記を行ってください。

所属国や国旗の扱い

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所属国

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競馬の場合、「生産国」や「調教国」、あるいは単に「所属」として国名が示されたり、国旗が使われる事例があります。しかし、それらは必ずしも妥当ではありません。

生産国が定まらない事例

「生産国」の定義は、国と時代によって変わります。必ずしも「生まれた場所」を生産国としないケースもあります。ダイアトムはフランス産とする資料とイギリス産とする資料があります。

イギリスとアイルランドでは長年、アイルランドの独立を巡って争いがありました。このため、同じ馬を「アイルランド産」とする資料と「イギリス産」とする資料があります。この場合のアイルランドは「イギリスの中のアイルランド」と解釈することも、「独立国アイルランド」と解釈することも可能です。どちらが正しいかは難しい問題です。アイルランドの場合、「エール」を正式な国号としていた時期があり、当時の文献は「エールダービー」などのように表記しています。同様に、ドイツと「西ドイツ」「東ドイツ」など、安易に国名表記を行うと不正確になる場合もあります。

調教国が定まらない事例

近年は競走馬が国境を超えて移動することが珍しくありません。UAEとイギリスのダブル国籍を有する調教師が、イギリスとドバイに厩舎を持ち、ドバイで調教し、レース寸前にイギリスの厩舎に入厩し、レースに出走するような場合、この調教国をどことするかは悩ましい問題です。

かつてスピードシンボリメジロムサシ凱旋門賞へ挑んだ時、現地フランスの調教師に預けられました。このためヨーロッパの資料ではスピードシンボリを「フランス調教馬」と扱っています。

国旗

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一般に、国旗アイコンの使用は慎重に行うべきです。

明確な方針・ガイドライン化されているわけではありませんが、国旗アイコン表示は必要か?記事本文に国旗の絵文字を混在させる編集者のように、国旗アイコンを使用することに否定的な議論が行なわれています。日本語版ではありませんが、英語版ではスタイルマニュアル・国旗の使用で「国を代表しているような場合」に限って使うべきで、単にその国籍などを示すために用いるべきではないとされています。国旗アイコンの使用によって、その部分に過度な注目を集めることにもつながります(en:WP:UNDUE)。

また、国旗と国名を併記するような場合はともかく、国旗のみの表記の場合、それがどこの国を示すのかわからない、という場合もあります。Wikipedia:アクセシビリティ#画像にある通り、視覚困難者にとって意味がわからなくなる恐れもあります。

競馬で用いる場合、その時代背景にもよく注意が必要です。前述のイギリス・アイルランド(エール)、ドイツ・西ドイツ・東ドイツの問題のほか、次のようなケースもあります。

(例)

いずれの場合でも、出典では単に「アイルランド」「ドイツ」「ハンガリー」「イタリア」としか書いていないかもしれません。しかし、それぞれの国の事情や歴史も考慮する必要があります。アメリカの星条旗はしばしば「星」の数が変わっています(ただし、「アイコン」の状態では見分けがつきません)。これらは「致命的な誤り」とまではいえませんが、気をつけるに越したことはありません。

例えばノーザンダンサー(1961-1990)の場合、誕生時のカナダの国旗はレッドエンサイン(カナダの旗)です。競走馬としてはこの国旗の下で走りましたが、カナダでの種牡馬時代に国旗がメイプルリーフ旗(カナダの旗)に変わっています。こうした場合どの国旗を選択するかは悩ましい問題です。「国旗を使わない」という選択肢もあります。国旗を貼らずに単に「ドイツ」としておけば間違いではないのに、うっかり1940年のドイツ馬に三色旗を貼ってしまうと「間違い」になります。

使用を推奨するわけではありませんが、下記に特に注意が必要な主要競馬開催国についてまとめておきます。

  • イギリス・アイルランド - 独立の解釈。
  • ドイツ - 帝政期、大戦期、東西ドイツ時代など
  • イタリア - 第二次世界大戦前はイタリア王国
  • フランス - 18世紀から19世紀にかけて異なる旗が使用されていた時期もある
  • アメリカ - 州が増える度に星の数が変わる。20世紀だけでも5種類。南北戦争期には南軍と北軍で「国旗」が違う。
  • カナダ - 1965年までは国旗のデザインが大きく異なる。
  • 南アフリカ - 1994年に大きくデザインが変更
  • ハンガリー - 王国時代から第二次世界大戦・冷戦期にたびたび変更
  • このほかブラジル、メキシコ、ベネズエラも20世紀に数回国旗が変わっています。

毛色の表記

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毛色の区別や、毛色を表す語は日本と外国では1対1で対応していません。同じ馬が、日本では「黒鹿毛」、イギリスでは「青鹿毛」と登録されている、というようなことはあります。この場合も重要なのは出典を示すことです。出典を書かずに「黒鹿毛」と書いて、誰かが「青鹿毛」と書かれた文献を見たら、「この人は黒鹿毛と嘘情報を書いている!」と考えてしまうかもしれません。「黒鹿毛」と書いた出典を示すことで、あなたが嘘を書いたわけではないことの証明になります。

特に、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛は注意が必要です。鹿毛と黒鹿毛は明確な境界があるわけではなく、黒鹿毛と青鹿毛を区別しない文化圏もあります。英語ではよく「darkbay/brown(dkb/br)」という表現があり、これは「黒鹿毛(darkbay)か青鹿毛(brown)かどっちかビミョー」という意味です。「black/brown」も同じように、「青毛(black)か青鹿毛(brown)」です。日本ではこうしたどっちつかずの登録はないので、黒鹿毛、とか青鹿毛、というふうに決めて登録されちゃいます。日本の馬ならともかく、日本で正式登録されたことがない馬の場合には、日本が勝手に決めたことなので、日本の記述が正しいというわけでもありません。

(例)Foreseer(1990年代に日本で大流行したカーリアンの母です。アメリカ産馬。)

  • JBIS(公益社団法人日本軽種馬協会) - [1] - 黒鹿毛
  • Racing Post(米) - [2] - b/br (鹿毛または青鹿毛)
  • equineline (米)- [3] - Dark Bay or Brown (黒鹿毛または青鹿毛) - (サラブレッド血統書の発行元にして現在イギリスの競走登録の管理をしているウェザビーズの提携先です)
  • 『CLASSIC PEDIGREES 1776-2005』(米) - b or br(鹿毛または青鹿毛)

ご覧のとおり「黒鹿毛」としているのは日本だけで、アメリカもイギリスも公式に「鹿毛か黒鹿毛か青鹿毛」としています。

いずれにしろ出典を書くことで、この問題からもひとまず解放されます。JBISを出典に「黒鹿毛」と書くことは嘘ではないのですから。

人気・倍率の表記

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人気の表記

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法律で競馬主催者が馬券販売を独占している日本や近年のフランスなど、一部を例外として、世界の多くの国ではブックメーカーが独自の倍率をつけて馬券を売っています。あるブックメーカーでは2.5倍だが、別のブックメーカーでは5.0倍ということは当たり前です。また、パリミュチュエル方式を採用していない限り、「人気(≒馬券の売上)」と「オッズ」は連動しませんから、最も倍率が低い馬が1番人気であるとは限りません。

また、外国ではしばしば「同一馬主の競走馬はひとまとめ」で馬券が発売されます。2頭や3頭がセットになっている場合、その中のどれが何倍である、という区分はありません。

本来は出典に基づいて「どこそこのブックメーカーは何倍の倍率をつけた」という表記が理想的ですが、現実的にはたいていの出典はそこまでの情報を含んでおらず、単に倍率はなに、人気はなに、としか記述がないでしょう。この場合、その情報の出典を明記することで、「どこのブックメーカーの情報か」「実際の売上は何位か」に関する記述の義務からはひとまず解放されるでしょう。

倍率の表記

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馬券の倍率の表示には、日本で一般的なデシマル方式、海外で一般的なフラクショナル方式などがあります。

デシマル方式

日本で用いられている方式です。「4.0倍」は、100円の馬券を買って的中すると400円になって返ってくることを示します。

フラクショナル方式

外国で一般的な方式です。投資額に対する利益額を表します。「3対1」は100円の投資で300円の利益が得られることを示し、デシマル方式の4.0倍に相当します。「3/1」「3-1」「3to1」など様々な表記スタイルがあります。特にイギリスのブックメーカーでは、「9/5」「4/10」「10/3」「100/30」など、様々な表現が用いられます。「10/3」と「100/30」はデシマル方式では同じ値(3.33倍)になりますが、意味があって使い分けられています。特に新聞などでは「3/1」を「3」と略記されることがあり、これは「3倍」ではなく「4倍」に相当することに注意してください。

原則的には出典に基づいた記述を行うのが理想的ですが、一般の日本語話者にとって「3対1」と言ってもピンと来ないので、「4倍」と言い換えることは許容されるでしょう。

過去の議論・関連議論

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日本と海外
表記ゆれ
  • 日本で登録されていないものは「日本語(外国語)」と併記するのがよい
  • 不成立
  • 血統表内での外国馬の表記方法統一
  • 中国馬名(香港競走馬)の記事名を中国語からカタカナへ変更
  • 表記の揺れ - 「ジュベナイル」「ジュヴェナイル」、「ダーレー」「ダーレイ」など
  • 言葉の揺れの修正 - Racing レーシング、レイシング、Juvenile ジュベナイル、ジュヴェナイルなどの表記統一提案
  • 不成立
  • 「・」をつけるか否か?
グレード・グループの表記方法
  • どちらでも可
  • PJトップページには「外国はG1とし、GIとはしない」「日本国内はGIとし、G1とはしない」とある
ヤード・ポンド法
  • 不成立(ヤード・ポンド法表記は可)
所属国・国旗
  • 国籍?生産国?調教国?国旗?
個別案件
  • イギリスダービー、エプソムダービー、ダービー、ザ・ダービー、ザ・ダービーステークスなどの表記がある
  • ダメという合意はない
  • ダメではない
  • 競走名が変更になっているレースに関する注意