利用者‐会話:東 遥/原稿/ロコット
ロコット (英語:RockotまたはRokot, ロシア語: Ро́кот)は、軌道傾斜角65度、高度200Kmの軌道に1,950Kgの貨物を投入できるロシアのロケットである。Eurockot Launch Servicesにより提供・運用される。1990年代にミサイル・サイロ以外から初めて、バイコヌール宇宙基地より打ち上げられた。後の商業打上では、プレセツク宇宙基地にて、Cosmos-3Mロケット向けに建設された発射台より打ち上げられている。打ち上げ費用は凡そ1300万~1500万ドルと言われる。
ロコットの総重量は107トン、全長29メートルで、最大直径は2.5メートルである。3段式の液体燃料ロケットで、1段目と2段目は旧ソ連の大陸間弾道弾UR-100N(西側ではSS-19として知られる)を元にしている。3段目は、Breeze-KMである。 全ての段で燃料として UDMH(非対称ジメチルヒドラジン) 、酸化剤として四酸化二窒素を用いる。他にSS-19を元にしたロケットとしてStrelaがある。
1990年11月20日にバイコヌール宇宙基地より初めて打ち上げられ、弾道飛行を行った。1994年12 月26日に初めて人工衛星を軌道に投入した。 EADS SPACE TransportationとKhrunichev|Khrunichev State Research and Production Space Centerの合弁事業であるEurockot Launch Services GmbHは、打ち上げ基地をプレセツクに移してロケットの販売を行っている。最初の発射は2000年5月16日に行われた。また、ロシア宇宙センターのSvobodny基地はSS-19を発射するサイロを所有し、必要とあらば、それをロコット向けに改修するとしている。
幾つかの発射を成功裏に終わらせた後、2005年10月8日、ロコットは 欧州宇宙機関の衛星CryoSatを搭載して打ち上げられたが、2段目の主エンジンを閉鎖出来ず、打上は失敗して衛星を喪失した。
打ち上げ実績
[編集]2006年7月28日現在
打上日 (UTC) | 形式 | 打上場所 | ペイロード | ペイロード種別 | 備考 |
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1990年 11月20日 | ロコット+Breeze-K | Ba LC131 | – | 実験用ペイロード | 弾道飛行、成功 |
1991年 12月20日 | ロコット+Breeze-K | Ba LC175/1 | – | 実験用ペイロード | 弾道飛行、成功 |
1994年 12月26日 | ロコット+Breeze-K | Ba LC175/1 | Radio-ROSTO | アマチュア無線衛星 | 成功、最初の衛星軌道投入 |
1999年 12月22日 | ロコット+Breeze-K | プレセツク宇宙基地 Pl LC133 | RSVN-40 | 実験用ペイロード | 発射準備中に回復不可能な損傷を被り打上中止 |
2000年 5月26日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | SimSat-1,2 | イリジウム衛星の原寸模型 | 成功 |
2002年 3月17日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | GRACE-1,2 | 研究用衛星 | 成功 |
2002年 6月20日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | イリジウム97,98 | 通信衛星 | 成功 |
2003年 6月30日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | MIMOSA, DTUSat, MOST, Cute-I, QuakeSat, AAU-Cubesat, Can X-1, Cubesat-XI, Monitor-E mockup | 小型衛星と、 Monitor-E原寸大模型 | 成功 |
2003年 10月30日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | SERVIS-1 | 日本の技術試験衛星 | 成功 |
2005年 8月26日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | Monitor-E1 | 地球観測衛星 | 成功 |
2005年 10月8日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | CryoSat | 地球観測衛星 | 失敗, 2段目の主エンジンが正しく閉鎖されずに爆発し、機材の限界を超えたために搭載コンピュータが打上を自動的に中止した。第二段と第三段、CryoSatは分離しないまま大気圏に再突入した。 |
2006年 7月28日 | ロコット+Breeze-KM | Pl LC133 | KOMPSAT 2 | 地球観測衛星 | 成功 |
2005年10月8日の失敗の後、全てのロコット打上は失敗の原因が突き止められるまで中止となった。失敗の原因が明らにされ、対策が施されて2006年7月28日の韓国の地球観測衛星Kompsat-2の打上を成功させた事を以て、復帰した。
参考
[編集]- www.eurockot.com - Eurockot Launch Service Provider のWEBサイト
- www.russianspaceweb.com/rockot.html - ロコットの歴史
- Space.com article - CryoSat打上失敗