兵藤裕己
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兵藤 裕己(ひょうどう ひろみ、1950年10月3日 - )は、日本の日本中世文学、芸能研究者。学習院大学名誉教授[1]。語り物として『平家物語』の性格に着目した研究は対象を近代文学まで広げ、大胆な仮説をたてて文芸における声の役割を論じる。
経歴
[編集]愛知県生まれ。1975年京都大学文学部国文科卒、1984年東京大学国文科大学院単位取得満期退学、埼玉大学専任講師、1986年同助教授、1993年同教授、1996年成城大学文芸学部教授、2001年「平家物語の歴史と芸能」で東京大学博士(文学)[2]、同年学習院大学文学部教授[注釈 1]。早稲田大学大学院非常勤講師[4]、同エクステンションセンター講師[5]。
樋口一葉記念やまなし文学賞の研究・評論部門選考委員を務める[6]。
受賞歴
[編集]1996年『太平記<よみ>の可能性』でサントリー学芸賞[7]。2002年『<声>の国民国家・日本』でやまなし文学賞の研究・評論部門で受賞[8]。
著書
[編集]- 『語り物序説 : 「平家」語りの発生と表現』 8巻、有精堂〈新鋭研究叢書〉、1985年。ISBN 4640308078。 NCID BN00109129。
- 『王権と物語』青弓社、1989年。 NCID BN04021777。
- 改版 岩波現代文庫 B(180)(増補版)ISBN 4006021801OCLC 744253571
- 『「平家」語りの伝承実態へ向けて』3 中世、有精堂出版〈日本文学史を読む〉、1992年。ISBN 9784640307156。OCLC 673763564。
- 改題 小森陽一(編)「テクストとは何か」『岩波講座文学』第1号、岩波書店、2003年、ISBN 4000112015、OCLC 56942712。
- 『太平記〈よみ〉の可能性 : 歴史という物語』61号〈講談社選書メチエ〉、1995年。ISBN 4061597264。OCLC 939215996。[9][10]
- 改版 講談社学術文庫 1726NCID BA73380948ISBN 4061597264
- 『平家物語〈語り〉のテクスト』173号、筑摩書房〈ちくま新書〉、1998年。ISBN 4480057730。 NCID BA37602172。OCLC 674663987。
- 改題、改版『〈声〉の国民国家・日本』900号、日本放送出版協会〈NHKブックス〉、2000年。ISBN 9784140019009。OCLC 48007036。
- 改題、改版『〈声〉の国民国家 : 浪花節が創る日本近代』1966号〈講談社学術文庫〉、2009年。ISBN 9784062919661。OCLC 675513121。
- 改題、改版『平家物語の読み方』ヒ14-1、筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2011年。ISBN 9784480094049。OCLC 838854751。
- 『平家物語の歴史と芸能』吉川弘文館、2000年。ISBN 9784642085175。 NCID BA45124553。OCLC 676164257。
- 『物語・オーラリティ・共同体 : 新語り物序説』10号、ひつじ書房〈未発選書〉、2002年。ISBN 9784894761568。 NCID BA56453615。OCLC 675801544。
- 『すぐわかる日本の文学』東京美術、2004年。ISBN 9784808707552。 NCID BA69788161。OCLC 674934139。
- 『演じられた近代 〈国民〉の身体とパフォーマンス』岩波書店、2005年。ISBN 9784000222709。 NCID BA71078180。OCLC 676140575。
- 展覧会図録 黒木文庫特別展実行委員会 著、ロバート・キャンベル 編『特別展 江戸の声 : 黒木文庫でみる音楽と演劇の世界 [The voices of Edo : music and theater within the Kuroki collection]』安田文吉ほか (執筆)、東京大学大学院総合文化研究科教養学部美術博物館、東京大学出版会 (発売)、2006年6月。ISBN 4130802062。 NCID BA77304180。[注釈 2]
- 池山晃、ロバート・キャンベルほか (研究分担) 著、松岡心平 編『近世における音曲と演劇テクストの総合比較研究 : 江戸の声 : 黒木文庫でみる音楽と演劇の世界』2007年3月。 NCID BA81964547。[注釈 3]
- 『思想の身体 声の巻』春秋社、2007年。ISBN 9784393332573。OCLC 835860239。
- 『琵琶法師〈異界〉を語る人びと』新赤版1184、岩波書店〈岩波新書〉、2009年。ISBN 4004311845。 - 付録:8mmDVD『俊徳丸』3段目(山鹿良之)[12]
- 『「声」の国民国家 : 浪花節が創る日本近代』講談社〈講談社学術文庫 [1966]〉、2009年10月。
- 『後醍醐天皇』新赤版 1715、岩波書店〈岩波新書〉、2018年。ISBN 9784004317159。 NCID BB25936214。[13][14][15][16]
- 『物語の近代』岩波書店、2020年11月
論文ほか
[編集]- 「軍記物語—唱導の窓から(古典文学 論文・レポート制作マニュアル)—(どんな研究テーマがあるか)」『国文学 解釈と教材の研究』第33巻第9号、学灯社、1988年7月、p102-104、ISSN 0452-3016、NAID 40001356354。
- 「声と主体—モノ語りの語り手と地霊の信仰 (モノとモノノケとモノガタリ)」『モノ学・感覚価値研究』第2号、モノ学・感覚価値研究会、2008年3月、19-28頁、NAID 40016809284。
- 「書評—福田晃著『中世語り物文芸--その系譜と展開--』 : 文学と非文学ということ、1981年5月20日発行、三弥井書店刊、350頁、2,000円」『日本文学』第30巻第11号、日本文学協会、1981年、87-90頁、doi:10.20620/nihonbungaku.30.11_87、ISSN 0386-9903、NAID 110009970029。
- 「浪花節と国民国家—声の文学史(特集 音楽—声と音のポリフォニー)—(音楽・声・音)」『国文学 解釈と教材の研究』第44巻第13号、学灯社、1999年11月、18-23頁、ISSN 0452-3016、NAID 40001360455。
- 「長嶋先生のこと(長嶋善郎先生古稀記念特輯号)」『學習院大學國語國文學會誌』第54号、學習院大學文學部國語國文學會、2011年、1-3頁、ISSN 0286-4436、NAID 120005272088。[17]
校注
[編集]参考資料
[編集]- 向井敏(評論家)評 (1996年). “選評 芸術・文学 1996年受賞 兵藤 裕己(ひょうどう ひろみ)『太平記 <よみ>の可能性 ―― 歴史という物語』(講談社)”. サントリー文化財団. 2013年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月19日閲覧。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “専任教員一覧”. 学習院大学 (2018年4月1日). 2018年12月19日閲覧。
- ^ 兵藤裕己 (2001). 平家物語の歴史と芸能. 東京大学. NAID 500000230285.
- ^ 「輔仁会大学支部各部会紹介」『学生生活の手引2018』学習院大学、2018年4月1日、47頁。
- ^ 「2018年度 早稲田大学大学院教育学研究科時間割(科目等履修生)」(pdf)、早稲田大学、2018年1月25日、 オリジナルの2018年12月19日時点におけるアーカイブ、2018年12月19日閲覧。
- ^ “ジャンル 日本の歴史と文化 > 楠木正成と南北朝の動乱 (中野校)”. 早稲田大学エクステンションセンター (2018年7月22日). 2018年12月19日閲覧。
- ^ 「作品の読みと現地調査(第26回やまなし文学賞 研究・評論部門選評)」(pdf)、 オリジナルの2018年12月19日時点におけるアーカイブ、2018年12月19日閲覧。
- ^ サントリー文化財団 1996.
- ^ “平成13年度第10回 研究・評論部門 兵藤裕己「<声>の国民国家・日本」(日本放送出版協会)”. 山梨県立文学館. 2002年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月19日閲覧。
- ^ 海津一朗(著)、歴史科学協議会 [編](編)「歴史のひろば 南北朝時代の成立に関する研究動向--兵藤裕己著『太平記(よみ)の可能性--歴史という物語』を手がかりに」『歴史評論』第11巻第583号、1998年、58-64頁、ISSN 0386-8907、OCLC 5173419480。
- ^ 佐藤喜久一郎「〈書評〉兵藤裕巳『声の国民国家・日本』」『比較民俗研究』第18号、2002年、OCLC 747114317。
- ^ 平成15年度~平成17年度 文部科学省科学研究費補助金(基盤研究(A))研究成果報告書— 江戸の声. 東京大学大学院総合文化研究科教養学部美術博物館. (2006年3月). NCID BA7717178X. 課題番号: 15202005
- ^ 松岡正剛. “松岡正剛の千夜千冊1633夜:兵藤裕己『琵琶法師〈異界〉を語る人びと』岩波新書 2009(ISBN:4004311845)編集:古川義子”. 編集工学研究所. 2017年3月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月19日閲覧。
- ^ “書評:人物像の偏向ただす—『後醍醐天皇』岩波新書”. 読売新聞. (2018年7月1日)
- ^ “平成の「格差社会」をも射貫く:後醍醐天皇の革新的「王政」思想”. SAPIO (10月号). (2018-09-04).
- ^ “史書を訪ねて 増鏡—宋学の影響受けた政治”. 読売新聞. (2018年9月4日)
- ^ “平成の格差拡大 後醍醐天皇の「新儀」がヒントになり得る(NEWSポストセブン)”. 小学館 (2018年10月20日). 2018年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月19日閲覧。
- ^ 掲載ページ範囲の異なる書誌情報 「長嶋先生のこと」『学習院大学国語国文学会誌』第54巻、学習院大学、2011年、1-7頁、ISSN 0286-4436、NAID 110008680139。