全能神
分類 | カルト教団 |
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地域 |
中華人民共和国 (original) 大韓民国, アメリカ合衆国, カナダ, イタリア, フランス, オーストラリア, and other countries (claimed) |
創設日 | 1991 |
創設地 | 中国 |
信徒数 | 4 million (government estimate) |
別名 | 東方閃電 |
公式サイト |
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全能神(ぜんのうしん)または全能神教会とは、中国大陸発祥の疑似キリスト教系新宗教で、キリスト教の教義を歪曲したとされるキリスト教に見せかけるカルト教団である。
概要
[編集]全能神教会は、「ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう」(マタイ24:27)に由来する「東方閃電」と呼ばれることもあり、東にある国、中国から楊向彬という女性としてイエス・キリストが全能神として戻り、(旧約聖書の律法の時代、イエス・キリストが伝道を始め20世紀の全能神の降臨に至る恵みの時代、に次ぐ)第三の人類の時代が始まると主張している。1997年に出版された、全能神からのメッセージを集めた書物「話在肉身顕現」を規範としている。正式な礼拝式や洗礼や聖餐式などの礼典は存在しない。
中国共産党を「巨大な赤い龍」と呼び、これを倒して神の国を樹立すると主張しているため、2000年より中国当局からは邪教と認定されている。法輪功よりも強い組織力を持ち、一度入信すると脱会することは難しい。信者になれば金銭が支払われるため、近年、中国で拡大している貧富の差を背景に信者を増やしている[1]。
2012 (映画)が大ヒットした直後、2012年人類滅亡説を唱えだした、2012年に終末思想の流布で当局により約千人が逮捕された[2]。一方、あるイタリア人社会学者が調査した結果、中国共産党は全能神教会が2012年の世紀末の騒動に関わったと非難したが、この主張も弾圧を正当化するための新たな口実に過ぎないという見方もある[3][4]。
なお、カルトであるとの意見が強く、中国共産党の指導に従う中国天主教愛国会などの団体はもとより、政府の指導を拒否して非合法となっている地下教会の信者も、全能神は異端と認識している[5]。一方、中国共産党の打倒を掲げていることから、共産党を嫌って中国国外に移住した華僑などからは、全能神を保護すべきとする意見もある。 全能神教会を脱退した元信者の大多数は「自分達がこの世で最も清い人間と豪語している最悪の偽善者集団」と説明している。[6]。
中国政府の対応
[編集]政府は邪教と指定しているが、対応を誤れば社会的混乱をきたすだろうと、対応に苦慮している[1]。
事件
[編集]- 2014年5月28日、山東省招遠市のマクドナルドの店内で、全能神のメンバー、張立冬ら6人による女性撲殺事件が起こった(2014年山東招遠カルト殺人事件)[7]。張は勧誘のために店内で電話番号を聞いて回っていたが、女性が断ったためとCCTVのインタビューに答えている[8][9][10]。
脚注
[編集]- ^ a b “中国 「邪教」信者増に苦慮 「全能神」背景に貧富の差拡大”. 東京新聞. (2013年10月4日) 2013年10月4日閲覧。
- ^ “大量弾圧進む中国「全能神」教団、生き残りの理由”. NewSphere. (2012年12月21日) 2012年12月25日閲覧。
- ^ マッシモ・イントロヴィーニャ (2018年8月7日). “神の国の時代の映画:全能神教会による世界の終わりの解釈と映画 - 記事”. Bitter Winter (日本語). 2019年4月26日閲覧。
- ^ マッシモ・イントロヴィーニャ (2019年4月13日). “全能神教会(東方閃電)に関する10の作り話 - 特集”. Bitter Winter (日本語). 2019年4月26日閲覧。
- ^ 坂東忠信 (2013年10月8日). “中華反共カルト「全能神」に注目”. Yahoo!ニュース. 2013年10月26日閲覧。
- ^ 宮崎正弘 (2012年12月22日). “邪教と判定された「全能神」はいかなるカルトか?”. 2022年8月29日閲覧。
- ^ “山東省のマクドナルドで女性が殴り殺される=助けなかった店員や客に「冷血無情」の批判も―海外メディア”. Record China. (2014年6月2日)
- ^ “视频:招远案嫌疑犯接受采访全程-我感觉很好”. 新浪網. (2014年5月31日)
- ^ “Chinese 'cult' members held after a woman is beaten to death” (英語). Sydney Morning Herald. (2014年6月1日) 2014年6月1日閲覧。
- ^ “McDonald's murder in China sparks outrage” (英語). Reuter's. Reuter's. (2014年6月1日) 2014年6月1日閲覧。
参考文献
[編集]- Dunn, Emily (2015). Lightning from the East: Heterodoxy and Christianity in Contemporary China. Leiden: Brill. ISBN 978-90-04-29724-1.
- Dunn, Emily (2016). “Reincarnated Religion? The Eschatology of the Church of Almighty God in Comparative Perspective.” Studies in World Christianity, 22(3):216–233. ISSN 1354-9901.doi:10.3366/swc.2016.0157.
- Folk, Holly (2017). “‘Cult Crimes’ and Fake News: Eye-Gouging in Shanxi.” The Journal of CESNUR 1(2):96-109. ISSN 2532-2990. doi:10.26338/tjoc.2017.1.2.5.
- Folk, Holly. 2018. “Protestant Continuities in The Church of Almighty God.” The Journal of CESNUR 2(1): 58-77 ISSN 2532-2990. doi:10.26338/tjoc.2018.2.1.4.
- Gracie Carrie (2014). “Chasing China’s Doomsday Cult.” BBC News, August 14, 2014.
- Introvigne, Massimo (2017a). “‘Cruel Killing, Brutal Killing, Kill the Beast’: Investigating the 2014 McDonald’s ‘Cult Murder’ in Zhaoyuan.” The Journal of CESNUR 1(1):61-73. ISSN 2532-2990. doi:10.26338/tjoc.2017.1.1.6.
- Introvigne, Massimo (2017b). “Church of Almighty God and the Visual Arts.” World Religions and Spirituality Project, Virginia Commonwealth University, December 3, 2017.
- Introvigne, Massimo (2017c). “Church of Almighty God”. Profiles of Millenarian & Apocalyptic Movements, CenSAMM (Center for the Critical Study of Apocalyptic and Millenarian Movements).
- Introvigne, Massimo (2018a). “Captivity Narratives: Did The Church of Almighty God Kidnap 34 Evangelical Pastors in 2002?”. The Journal of CESNUR 2(1):100-110. doi:10.26338/tjoc.2018.2.1.6.
- Introvigne, Massimo (2018b). "Family Networks and the Growth of The Church of Almighty God.". Interdisciplinary Journal of Research on Religion 14(12):1-20.
- Introvigne, Massimo (2018c). "Fake News! Chinese Mobilization of Resources Against The Church of Almighty God as a Global Phenomenon." The Journal of CESNUR 2(4):10-27. doi:10.26338/tjoc.2018.2.4.2
- Irons, Edward. 2018. “The List: The Evolution of China’s List of Illegal and Evil Cults.” The Journal of CESNUR 2(1):33-57.ISSN 2532-2990. doi:10.26338/tjoc.2018.2.1.3.
- Irvine, Chris (ed.) (2014). “Chinese Boy Whose Eyes Were Gouged Out Fitted with Prosthetic Eyeballs.” The Telegraph, December 12, 2013.
- Jacobs, Andrew. 2012. “Chatter of Doomsday Makes Beijing Nervous.” The New York Times, December 19, 2012.
- Kindopp, Jason. 2004. “Fragmented yet Defiant: Protestant Resilience under Chinese Communist Party Rule." In God and Caesar in China: Policy Implications of Church-State Tension, edited by Jason Kindopp and Carol Lee Hamrin, 122-145. Washington D.C.: Brookings Institution Press. ISBN 0-8157-4936-8.
- 野村旗守「中国に敵視される新興宗教『全能神』」、2018年。
- マッシモ・イントロヴィーニャ (2018年9月22日). “2014年マクドナルド店内女性殺害事件は、全能神教会とは無関係”. Bitter Winter. 2019年4月26日閲覧。
- マッシモ・イントロヴィーニャ (2018年10月25日). “全能神教会:中国で最も迫害を受ける新興宗教団体”. Bitter Winter. 2019年4月26日閲覧。
- マッシモ・イントロヴィーニャ (2018年8月7日). “神の国の時代の映画:全能神教会による世界の終わりの解釈と映画”. Bitter Winter. 2019年4月26日閲覧。
- マッシモ・イントロヴィーニャ (2019年4月13日). “全能神教会(東方閃電)に関する10の作り話 - 特集”. Bitter Winter. 2019年4月26日閲覧。