伏屋の獅子芝居
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伏屋の獅子芝居(ふせやのしししばい)とは、岐阜県羽島郡岐南町に伝わる地芝居である。
毎年10月に岐南町伏屋4丁目199の白山神社に奉納される。1969年(昭和44年)に岐南町文化財に、1988年(昭和63年)8月に岐阜県無形民俗文化財に指定されている[1]。
特徴
[編集]- 獅子芝居は獅子頭を被った舞手が女形となり、歌舞伎を演じるものである。発祥は伊勢大神楽であり、寛政年間に三河国の岩蔵、岩治、作蔵の三人が考え出した芝居である。その後天保年間に三河国の壽作と尾張国海東郡諸桑村(現・愛西市諸桑町)の市川竜介が前述の3人から学んだ。伏屋の獅子芝居は市川竜介により伝わったという。伏屋村及び野中村で演じられていたが、現在は伏屋のみ残っている。
- 伏屋の獅子芝居は獅子芝居のうち尾張の嫁獅子系の芝居であり、使用される獅子頭は耳が立ち、白髪が無い特徴がある。舞手はこの獅子頭を被り、黒紋付を着て演じる。基本的には女形を演じるのだが、男形や複数の役を演じる場合もある。
- 現在の形になったのは明治時代後期であり、歌舞伎の手法に義太夫を取り入れたものである。かつては複数の演目(忠臣蔵、朝顔日記、曽我物語、白波五人男、義経千本桜など)が演じられていたが、2022年現在多く演じられているのは傾城阿波鳴門 巡礼歌の段である。
- 五穀豊穣、村内安泰、悪魔払いという祈願や奉納の面と、神楽の面の二つを持ち合わす。
獅子舞の流れ
[編集]白山神社に奉納される場合、獅子舞は以下の順で行われる。
- 道行
- 獅子頭を先頭に、大太鼓、小太鼓、笛、拍子木、鉦、囃子、役者が白山神社へ向けて練り歩く。
- 寄
- 人寄せのために大太鼓、小太鼓、笛が行われる。
- 幕の舞
- 獅子による舞。悪魔祓いを意味する。
- 幣の舞
- 獅子による舞。悪魔祓いを意味する。
- 上の舞
- 幣、鈴を持って獅子が曲芸をする。
- 下の舞
- 傘、刀を持って獅子が曲芸をする。
- 獅子芝居
- 獅子が女形となり、芝居が行われる。
歴史
[編集]- 上述のとおり市川竜介により伏屋村に獅子芝居が伝わった。明治中期に伏屋村の東五郎が一座を率いて近村を巡業。明治後期に現在の形となり、大正時代に全盛期を迎える。その後も住民の手で行われていたが、1955年(昭和30年)頃に伏屋の獅子芝居は廃絶となる。廃絶後も細々と伝承されており、1961年(昭和36年)に全国獅子舞大会で優勝、1963年(昭和38年)には日活映画の「男の紋章」に協演している。
- 1969年(昭和44年)に道具などが岐南町文化財に指定される。1972年(昭和47年)10月に伏屋獅子保存会が設立され、伏屋の獅子芝居が復活。1988年(昭和63年)8月に岐阜県無形民俗文化財に指定される。2005年(平成17年)10月には道具の保存と稽古の場として、岐南町伏屋獅子舞会館が竣工する。2006年(平成18年)には映像などがデジタルアーカイブ化されている。
岐南町伏屋獅子舞会館
[編集]- 岐阜県羽島郡岐南町伏屋3丁目338-1にある伏屋の獅子芝居の保存・継承及び普及を図ることを目的とした施設である[2]。2005年(平成17年)10月開館。
- 1階は伏屋の獅子芝居を行うホールと舞台、2階には研修室3室、獅子芝居の道具の展示保管のスペースがある。
- 開館時間は午前9時から午後9時30分、休館日は毎週月曜日、年末年始(12月29日~1月3日)であるが[3]、施設の使用予約がある時間のみ開館である。
その他
[編集]- 岐南町巡回バス(2009年廃止)の車両には伏屋の獅子芝居の獅子舞がデザインされていた。
参考文献
[編集]- 岐南町史 通史編 (岐南町・昭和59年発行) P.661 - 666
- 岐南東むかしものがたり (東小学校・昭和52年発行)
- 岐南町町制60周年記念誌 ふるさと岐南町物語 (岐南町・平成29年発行)
- 岐南町の文化財(昭和58年2月現在調) (岐南町中央公民館・昭和58年発行)
- 岐南町伏屋の獅子芝居デジタルアーカイブ (岐南町・平成18年9月)
脚注
[編集]- ^ “伏屋の獅子芝居”. 岐阜県. 2022年1月10日閲覧。
- ^ “岐南町伏屋獅子舞会館条例”. 岐南町. 2022年1月10日閲覧。
- ^ “岐南町伏屋獅子舞会館条例施行規則”. 岐南町. 2022年1月10日閲覧。