交響曲第8番 (ヴィラ=ロボス)
交響曲第8番は、エイトル・ヴィラ=ロボスが1950年に作曲した交響曲。
概要
[編集]ヴィラ=ロボスは1950年に、リオデジャネイロで本作を作曲した。初演は1955年1月14日に、ニューヨークのカーネギー・ホールにおいて作曲者自身の指揮、フィラデルフィア管弦楽団の演奏により行われた。ヨーロッパ初演はそのすぐ後の1955年3月15日にパリのサル・ガヴォーで行われた。奏者はパリ音楽院の演奏協会管弦楽団で、やはりヴィラ=ロボスが指揮台に上った。曲は『ニューヨーク・タイムズ』紙の音楽評論家オーリン・ダウンズへと献呈された[1]。
この時期のヴィラ=ロボスは愛国的な要素の使用を控えめにしており、本作にもブラジル色が明らかな材料はほとんど用いられていない。形式的にも伝統的な交響曲の方法論に依拠する部分が大きく、構造の堅固さが印象に残る。とはいえ、その中にも滲み出てくる作曲者の個性により、曲を耳にすればすぐさまヴィラ=ロボスの作品であると認識可能である[2]。
楽器編成
[編集]ピッコロ2、フルート2、オーボエ2、コーラングレ、クラリネット2、バスクラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット4、トロンボーン4、チューバ、ティンパニ、タムタム、シンバル、シロフォン、チェレスタ、ハープ2、ピアノ、弦五部。
楽曲構成
[編集]全4楽章で構成される。演奏時間は約25分。楽章の構成は『Villa-Lobos, sua obra[3]』と『Latin American Music Center[4]』では次のように記載されている。
- Andante
- Lento (assai)
- Allegretto scherzando
- Allegro (giusto)
一方、cpoのCD(CPO 999 517-2)に付属のライナーノーツ、及び録音のトラック分けは次のようになっている。第1楽章の区分けが細かくなっている以外は、概ね上述のヴィラ=ロボス作品カタログと一致している。
エンヤールは終楽章でイタリア語の綴りである「giusto」に代えてポルトガル語の「justo」をあてがい、若干異なる表記を示している[5]。
- Andante – Allegro
- Lento
- Allegretto scherzando
- Allegro justo
出典
[編集]- ^ Villa-Lobos, sua obra 2009, pp. 45–46.
- ^ Stevenson, Joseph. 交響曲第8番 - オールミュージック. 2023年4月2日閲覧。
- ^ Villa-Lobos, sua obra 2009, p. 45.
- ^ Latin American Music Center n.d.
- ^ Enyart 1984, p. 271.
参考文献
[編集]- Enyart, John William. 1984. "The Symphonies of Heitor Villa-Lobos". PhD diss. Cincinnati: University of Cincinnati.
- Latin American Music Center. n.d. "Symphony No. 8". Heitor Villa-Lobos Website. Indiana University (accessed 5 November 2016).
- Villa-Lobos, sua obra. 2009. Version 1.0. MinC / IBRAM, and the Museu Villa-Lobos. Based on the third edition, 1989.
関連文献
[編集]- Béhague, Gerard. 1994. Villa-Lobos: The Search for Brazil's Musical Soul. Austin: Institute of Latin American Studies, University of Texas at Austin, 1994. ISBN 0-292-70823-8.
- Béhague, Gerard. 2001. "Heitor Villa-Lobos' Symphonies No. 6 and No. 8, and Suite pour cordes". Booklet accompanying Heitor Villa-Lobos: Symphonies 6 & 8, 16–24 (also in German and French translations, 4–13 and 27–36, respectively). SWR Radio-Sinfonieorchester Stuttgart, Carl St. Clair, cond. Recorded 17–21 February 1997 and 18 April 2000, Stadthallle Sindelfingen. CD recording. 1 disc, 12 cm, stereo. CPO 999 517-2.
- Salles, Paulo de Tarso. 2009. Villa-Lobos: processos composicionais. Campinas, SP: Editora da Unicamp. ISBN 978-85-268-0853-9.