乗り物酔い防止薬
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乗り物酔い防止薬(のりものよいぼうしやく)は、乗り物の揺れにより生じるめまいや吐き気などの症状、いわゆる乗り物酔いを抑える目的で処方される医薬品の総称。俗に酔い止めとも呼ばれる。一般用医薬品としては、第2類医薬品に分類される。
概要
[編集]乗り物酔いを起こす動物の種類が限られており、動物実験が困難であるため研究はあまり進んでいない。有効成分は抗ヒスタミン薬やスコポラミンが使われているが、実験による裏付けが必ずしも十分でなく、効果や副作用の点で問題が少なくない。今後の新薬開発の余地が多く残されている分野であると言える[1]。
いずれの薬も、嘔吐が始まってからでは効果が期待できないため、有効成分にもよるが、一般に乗り物に乗る30分~1時間前に服用する。乗り物酔いは心理的効果が大きく現れるため、プラセボ効果も無視できない。
主要成分
[編集]鎮暈薬 - 抗ヒスタミン薬
- 抗コリン薬
- 局所知覚麻酔薬
- 胃粘膜への刺激を緩和し、嘔吐中枢を抑制するため、アミノ安息香酸エチルが配合される。6歳未満の幼児は禁忌。
- 鎮静薬
- ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素が配合され、吐き気・めまいの抑制や不安・緊張の緩和に効果を持つ。作用の発現は早いが、持続時間は短い。服薬すると眠気が出るため、乗り物の運転や機械の操作は禁止。
- 中枢神経興奮薬、キサンチン誘導体
- 矯味矯臭剤
- ビタミン
脚注
[編集]- ^ 齋藤洋、福室憲治、武政文彦『一般用医薬品学概説(第2版)』じほう 2006年 ISBN 9784840735940 p123
- ^ 『一般用医薬品学概説(第2版)』 p124
- ^ Carliner, Paul E.; Gay, Leslie N. (1949-04-08). “The Prevention and Treatment of Motion Sickness I. Seasickness” (英語). Science 109 (2832): 359–359. doi:10.1126/science.109.2832.359. ISSN 0036-8075. PMID 17742134 .