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中村美亜

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中村 美亜
Mia NAKAMURA
人物情報
生誕 中村 究(Kiwamu NAKAMURA)[1]
(1968-08-18) 1968年8月18日(56歳)[2]
名古屋市[3]
出身校 東京芸術大学、ミシガン大学セントルイス・ワシントン大学セクシャリティ研究所英語版[注釈 1]
学問
研究分野 音楽学性科学、芸術社会学[4]
研究機関 東京芸術大学九州大学
学位 Ph.D.(セクシャリティ研究所)
博士(学術)(東京芸術大学)
特筆すべき概念 アートを通じたメモリーワーク
学会 共創学会[4]
公式サイト
Mia Nakamura
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中村 美亜(なかむら みあ、旧名 中村 究(なかむら きわむ)[1]1968年(昭和43年)8月18日[2]-)は日本の性科学者音楽学者トランスジェンダー[5]セクシャリティ、音文化、アートマネージメント、芸術社会学などを専門とし、現在は九州大学大学院芸術工学院 コミュニケーションデザイン科学部門[6] 准教授。同大学ソーシャルアートラボで副ラボ長も務める[7]Ph.Dセクシャリティ研究所英語版[注釈 1]2004年[8][9]博士(学術)東京芸術大学2012年[10]

来歴・人物

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1993年東京芸術大学音楽学部卒業[11][12]。修士課程に進学した後、1994年に渡米しコーネル大学に留学[12]。その後ミシガン大学修士課程に移り、同課程を修了[11][12]セントルイス・ワシントン大学博士課程に進学するが単位取得退学し、セクシャリティ研究所英語版[注釈 1]の修士課程・博士課程でMPHPh.Dを取得する[11]

2003年に帰国後は、東京芸術大学特別研究員[13]、助教[14]を務め、お茶の水女子大学などで非常勤講師も担当した[注釈 2]。現在は九州大学芸術工学院 コミュニケーションデザイン科学部門で准教授を務める[15]2018年現在、九州大学ソーシャルアートラボでは副ラボ長を[7]、共創学会では企画・事業担当の理事を務めている[4]

近年はアートを通じたメモリーワーク[注釈 3]の研究に従事し、「東日本大震災後の追悼や復興と音楽の関わりに関する学際的研究」に取り組んでいる[16][15]。また、音楽関係ではヴェルディマーラー[17]を対象とした研究や、宝塚歌劇団[18]や女流義太夫を対象としたジェンダーに関連した音楽に関する研究[19]などでも実績がある[8]。2018年には文化庁との共同事業に採択され、「文化芸術による社会包摂の在り方」などのテーマに取り組んでいる[20][21]

なお、第二次性徴の頃に体が男らしくなっていくことに嫌悪感と苦痛を感じ[22]、滞米時の2000年3月からは周囲に性別違和感を表明するようになった[23]。中村は男性として生きていくことを断念したが[5]性同一性障害の概念に思うところがあり、自身をトランスジェンダーと呼んでいる[5]。同年、 第2回社会包摂デザイン研究会にて、多様性の社会のためにデザインについて工藤真生らと討論した。

著書

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単著

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  • 『心に性別はあるのか? ― 性同一性障害のよりよい理解とケアのために』医療文化社、2005年。ISBN 978-490-21-2216-9
  • 『クィア・セクソロジー ― 性の思いこみを解きほぐす』インパクト出版会、2008年10月。ISBN 978-475-54-0191-6
  • 『音楽をひらく ― アート・ケア・文化のトリロジー』水声社、2013年6月。ISBN 978-489-17-6982-6

共著・分担執筆

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(共著)

(分担執筆)

  • 「“アイデンティティの身体化”研究へ向けて―『感じない男』を出発点にして」『身体の語られ方/語り方』明石書店、2008年、249-268頁、ISBN 978-475-03-2769-3
  • 「セックスワーク」『キリスト教平和学事典』関西学院大学キリスト教と文化研究センター編、教文館、2009年9月、ISBN 978-476-42-4034-6
  • 「芸能における声と異性装をめぐって」『視覚表象と音楽』池田忍、小林緑 編著、明石書店、2010年2月、232-234頁。ISBN 978-475-03-3145-4
  • 「性同一性障害-議論されてこなかった問題の本質」『新通史・日本の科学技術-世紀転換期の社会史1995年〜2011年-第3巻』吉岡斉、綾部広則、桑原雅子、塚原修一、川野祐二 編、原書房、2011年1月、409-432頁。ISBN 978-456-20-4719-2
  • “The 2011 Japan Earthquake and Music: Recovery Concerts, Recovery Songs, and 'the Power of Music”. Music and Minorities (tentative). The National Museum of Ethnology.
  • “Music Sociology Meets Neuroscience”. Handbook on Music and the Body. Oxford University Press、2018年、ISBN 978-019-06-3623-4
  • 「アートと社会を語る言葉」『ソーシャルアートラボ 地域と社会をひらく』水曜社〈文化とまちづくり叢書〉、2018年、ISBN 978-488-06-5446-1
  • “Facilitation-based Distributed Creativity: The Inari Chorus Performance at the Itoshima International Art Festival”. Creativity in Music Education. Springer、2019年、ISBN 978-981-13-2747-6.

編集・翻訳

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(編集)

  • 『はじめての“社会包摂×文化芸術”ハンドブック』文化庁×九州大学共同研究チーム編、2019年3月29日発行[21][25]

(翻訳)

主な著作

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学位論文

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論文

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紀要

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b c Institute for Advanced Study of Human Sexuality。『セクシャリティ研究所』の訳は中村の著書による(中村美亜 2005, p. 123, あとがき(第1版、2007年第2刷))。同書の著者紹介や東京学芸大学における学位論文(中村美亜 2012)では、英語名のまま取り扱われている。
  2. ^ お茶の水女子大学のほか、聖路加看護大学明治学院大学関東学院大学東京工芸大学において、ジェンダー・セクシャリティ研究や文化表象研究の非常勤講師を担当 (金井編著 2008, 執筆者紹介)初版第1刷。
  3. ^ 「メモリーワーク」(記憶づくり)とは、忘れてしまおうとする記憶を、他社との語り合いの中で再構成していくことであり、一種の癒しでもある(中村美亜 2013a, p. 59、中村美亜 2014, p. 16)。
  4. ^ 編著者 - 毛利嘉孝、共著者 - 毛利嘉孝、中村美亜、北條知子、髙橋聡太、日高良祐、中野哲、浅野裕貴、アルニ・クリスチャンソン、平松絹子[24]
  5. ^ 著者 - 長津結一郎、髙坂葉月、中村美亜、尾本章。

出典

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  1. ^ a b 中村美亜 2005, 著者紹介(第1版、2007年第2刷)
  2. ^ a b 中村美亜 2005, p. 122, あとがき(第1版、2007年第2刷)
  3. ^ 中村美亜「モノでなくコトの芸術」、『朝日新聞』2016年5月17日(第2福岡)13版、全福28。
  4. ^ a b c 共創学会について”. 共創学会. 2018年1月7日閲覧。
  5. ^ a b c 金井編著 2008, p. 253(初版第1刷)
  6. ^ 中村美亜 2014, p. 13.
  7. ^ a b menber”. 九州大学ソーシャルアートラボ. 2018年1月7日閲覧。
  8. ^ a b 中村美亜 2005, 奥付(第1版、2007年第2刷)
  9. ^ 中村美亜 2005, p. iv, まえがき(第1版、2007年第2刷)
  10. ^ 中村美亜 2012.
  11. ^ a b c 中村美亜 2005, pp. 122–124, あとがき(第1版、2007年第2刷)
  12. ^ a b c 学位論文(中村美亜 2012)
  13. ^ 金井編著 2008, 執筆者紹介(初版第1刷)
  14. ^ 中村美亜 2013a, p. 3.
  15. ^ a b 中村美亜 2014.
  16. ^ 東日本大震災後の追悼や復興と音楽の関わりに関する学際的研究(研究課題番号:25580023)”. 科学研究費助成事業データベース. 国立情報学研究所. 2015年4月18日閲覧。
  17. ^ 中村究「マーラーの『大地の歌』のメタ・ナラティヴ求めて:ナラティヴィティと「メランコリー的弁証法」」『音楽学』第45巻第1号、1999年、42-66頁。
  18. ^ 中村美亜「トランス・ポリティクスの可能性 ― オペラと宝塚の異性装をめぐるジェンダー・身体・認識論的考察」『立命館言語文化研究』第20巻第93号、立命館大学国際言語文化研究所、2008年9月、241-265頁、NAID 40016461690
  19. ^ 中村美亜「女流義太夫を正統化すること-日本の伝統芸能におけるジェンダー,近代化,ナショナリズム」『音楽学』第51巻第2号、2006年2月、94-110頁、NAID 40007170822
  20. ^ ハンドブック 2019.
  21. ^ a b 「はじめての“社会包摂×文化芸術”ハンドブック」文化庁×九州大学共同研究チーム編について”. 地域文化創成本部. 文化庁. 2019年4月30日閲覧。
  22. ^ 金井編著 2008, pp. 252–253(初版第1刷)
  23. ^ 中村美亜 2005, p. 122(第1版、2007年第2刷)
  24. ^ アフターミュージッキング ―実践する音楽―”. 2018年1月7日閲覧。
  25. ^ 「はじめての“社会包摂×文化芸術”ハンドブック」が発行されました”. publification. 九州大学ソーシャルアートラボ. 2019年4月30日閲覧。
  26. ^ 中村美亜 2005, p. 117(第1版、2007年第2刷)

関連文献

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外部リンク

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(関連動画)