中村紀彦
中村 紀彦(なかむら のりひこ、1991年(平成3年)8月18日[1] - )は、日本の映像・映画理論研究者。タイ人の映画監督アピチャートポン・ウィーラセータクンの映像に関する日本で唯一の研究者[要出典]。
略歴・人物
[編集]大阪府生まれ。大阪府立清水谷高等学校[2]と立命館大学映像学部を卒業[3]し、神戸大学大学院人文学研究科博士課程修了[要出典]。
当初アジアのドキュメンタリー映画をテーマに研究する予定だったが、京都市で開かれたタイ人の映画監督アピチャートポン・ウィーラセータクンの個展を見て衝撃を受けたのを機にアピチャートポン研究を始めた。
中村の訪れた個展では美術館やギャラリー展示するインスタレーションが中心で、アピチャートポンがタイの映画史上で初めてカンヌ映画祭のパルム・ドール(最高賞)受賞した監督(2010年『ブンミおじさんの森』)にもかかわらず、「映画は、アピチャッポンを構成する一要素に過ぎ」なかったことに気付く。
そして「東北タイという凄惨な歴史が埋れる土地で、彼は映画だけでなくインスタレーションやMVや写真まで制作することで、はじめて複雑かつ広大なネットワークをつくりあげた」アピチャートポンの「異次元の複雑さ」に惹きつけられ、「ひとりの作家に焦点をあてることを決意した」[3]。以後、日本で唯一のアピチャートポン映像の研究者となった。2016年にはアピチャートポンに取材インタビューも行っている(「美術手帖web」に掲載[4])。
そのほか映像研究では、立命館時代の2012年インターンシップの一環で山田洋次監督の映画『東京家族』の撮影に参加。神戸大大学院では人気女性アイドルグループ「乃木坂46」の映像制作や美術誌「美術手帖」で映画論評に携わったりしている。
なお、2019年に神戸市役所の設けた市職員採用「デザイン・クリエイティブ枠」を知り、「培った創造力を魅力的な街づくりに貢献できる」と考えて応募。競争率13倍超の難関だったが1期生として採用され、2020年(令和2年)4月から神戸市役所職員として勤務[5]している。アピチャートポン研究は、市の了承の範囲で続けていく予定。
著書
[編集]共著
[編集]- 『アピチャッポン・ウィーラセタクン:光と記憶のアーティスト』(フィルム・アート社、2016年)
- 『小津安二郎 大全』(朝日新聞出版、2019年)
- 『躍動する東南アジア映画~多文化・越境・連帯~(論創社、2019年)
雑誌
[編集]評論
[編集]- 中村紀彦「彷徨う魂/キャメラ : アピチャッポン・ウィーラセタクン『世紀の光』におけるトラッキング・ショットとロング・テイクの相互作用を中心に」『美学芸術学論集』第12巻、神戸大学文学部芸術学研究室、2016年3月、88-103頁、doi:10.24546/81009443、hdl:20.500.14094/81009443、ISSN 18801943。
脚注
[編集]関連項目
[編集]- アピチャッポン・ウィーラセタクン
- 大阪府立清水谷高等学校
- 沖村志宏 - 日本映画の撮影監督。高校の後輩である中村が「(沖村さんに)負けられない」とツイッター上でライバル視している
- 立命館大学
- 神戸大学大学院人文学研究科・文学部
- 神戸市役所
外部リンク
[編集]- Cinephobia - ブログ
- @Noripantsu - ツイッター