世界高血圧デー
世界高血圧デー(せかいこうけつあつデー、英語: World Hypertension Day)は、高血圧とその管理の啓発を目的として世界高血圧リーグ(The World Hypertension League、WHL)が創始し、指定した記念日[1]。WHLは国際高血圧学会の一部門であり[1]、世界の85の国・地域の高血圧に関する学会や連盟に支えられている。
世界高血圧デーは高血圧への自覚を高めるために制定された。高血圧患者の間で適切な知識が不足していることから、高血圧を自覚することはとりわけ重要である[2]。WHLは第1回の世界高血圧デーを2005年5月14日に実行した。2006年以降は毎年5月17日を世界高血圧デーとしている[3]。エキサイトの調査によれば、5月17日が世界高血圧デーに選ばれた必然性は特になく、WHLの事務局のあるアメリカ合衆国で5月が高血圧啓蒙月間であったことに由来するという[4]。
歴史
[編集]2005年は、最初の活動として、「高血圧の自覚」(Awareness of high blood pressure)というシンプルなテーマを掲げた。2006年のテーマは「ゴールへの治療」(Treat to goal)とし、血圧を低く保つことに重きを置いた[2]。そこで推奨された血圧は、一般の人と他の併発症がない高血圧の人で140/90mmHg未満、糖尿病または慢性腎不全患者で130/80mmHg未満とされた。これらの数値は世界とカナダの診療ガイドラインでカットオフ値として推奨された[5][6]。
2007年のテーマは「健康な食生活、健康な血圧」(Healthy diet, healthy blood pressure)となった。このような特定のテーマを定めることによって、WHLは高血圧だけでなく、高血圧の危機の高まりに影響を与える要因やそれを避ける方法について自覚を高めることを意図している[2]。一般への普及を目標として、2008年は「血圧を測定しよう…自宅で」(Measure your blood pressure…at home)がテーマとなった。これは当時、家庭用の血圧計が扱いやすく正確で安全となってきたという研究結果を基にしている[7][8][9]。
2013年から2018年までの5年間の世界高血圧デーのテーマは「自分の値を知ろう」(Know Your Numbers)に決まり、世界中のすべての人に高血圧の自覚を高めることを目標としている[10]。
「高血圧の日」
[編集]日本では、日本高血圧学会と日本高血圧協会が世界高血圧デーと同日の5月17日を「高血圧の日」と定め、日本記念日協会に認定登録している[1]。WHLに加盟している日本高血圧学会が世界高血圧デーに合わせて、2007年に「ウデをまくろう、ニッポン!」と題した啓発活動を始めて実施し、2008年からは「高血圧の日」として同様の活動を継続していくこととなった[1]。2016年には日本高血圧協会が主催し、札幌市・盛岡市・東京都千代田区・津市・大阪市・米子市・高松市・鹿児島市で「健康長寿は高血圧管理から」と題した市民公開講座を5月中の土日に開催した[11]。
脚注
[編集]- ^ a b c d “「高血圧の日」について”. 日本高血圧学会. 2016年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月17日閲覧。
- ^ a b c Chockalingam A (May 2007). “Impact of World Hypertension Day”. The Canadian Journal of Cardiology 23 (7): 517–9. doi:10.1016/S0828-282X(07)70795-X. PMC 2650754. PMID 17534457 2009年6月22日閲覧。.
- ^ Chockalingam A (June 2008). “World Hypertension Day and global awareness”. The Canadian Journal of Cardiology 24 (6): 441–4. doi:10.1016/S0828-282X(08)70617-2. PMC 2643187. PMID 18548140 2009年6月22日閲覧。.
- ^ “今日は何の日? 5月17日の記念日一覧”. エキサイトニュース. エキサイト. 2016年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月17日閲覧。
- ^ Campbell NR, Petrella R, Kaczorowski J (May 2006). “Public education on hypertension: a new initiative to improve the prevention, treatment and control of hypertension in Canada”. The Canadian Journal of Cardiology 22 (7): 599–603. doi:10.1016/s0828-282x(06)70282-3. PMC 2560867. PMID 16755315 2009年6月22日閲覧。.
- ^ “The 2006 Canadian Hypertension Education Program recommendations for the management of hypertension: Part I--Blood pressure measurement, diagnosis and assessment of risk”. The Canadian Journal of Cardiology 22 (7): 573–81. (May 2006). doi:10.1016/S0828-282X(06)70279-3. PMC 2560864. PMID 16755312 2009年6月22日閲覧。.
- ^ McKay DW, Godwin M, Chockalingam A (May 2007). “Practical advice for home blood pressure measurement”. The Canadian Journal of Cardiology 23 (7): 577–80. doi:10.1016/s0828-282x(07)70804-8. PMC 2650763. PMID 17534466 2009年6月22日閲覧。.
- ^ Stergiou GS, Skeva II, Zourbaki AS, Mountokalakis TD (June 1998). “Self-monitoring of blood pressure at home: how many measurements are needed?”. Journal of Hypertension 16 (6): 725–31. doi:10.1097/00004872-199816060-00002. PMID 9663911 2009年6月22日閲覧。.
- ^ Stergiou GS, Skeva II, Baibas NM, Kalkana CB, Roussias LG, Mountokalakis TD (December 2000). “Diagnosis of hypertension using home or ambulatory blood pressure monitoring: comparison with the conventional strategy based on repeated clinic blood pressure measurements”. Journal of Hypertension 18 (12): 1745–51. doi:10.1097/00004872-200018120-00007. PMID 11132597 2009年6月22日閲覧。.
- ^ “World Hypertension Day 2015 - 17 May” (英語). International Society of Hypertension. 2016年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月17日閲覧。
- ^ “世界高血圧の日 2016年5月 高血圧市民公開講座”. 日本高血圧協会. 2016年5月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年5月17日閲覧。