不思議なキジのサンドウィッチ
『不思議なキジのサンドウィッチ』(ふしぎなキジのサンドウィッチ、原題:The Dead in Their Vaulted Arches)は、2014年に刊行されたアラン・ブラッドリーの推理小説。「少女探偵フレーヴィア シリーズ」の第6作目にあたる[注 1][注 2]。
本作は、「お前たちのお母さんが見つかったんだ」と父が告げる衝撃的なラストで終わった前作『春にはすべての謎が解ける』の続きから始まる。ストーリーは母・ハリエットの遺体を迎え、葬儀が執り行われる日まで進行をともにしており、これまでのシリーズ作品に溢れていたフレーヴィアの溌溂とした無邪気さが抑制され[2]、これまでの陽気な作品とは趣を異にしている。
あらすじ
[編集]フレーヴィアたちが「おまえたちのお母さんが見つかったんだ」と知らされた父・ハヴィランドの衝撃の発表から1週間あまり、ついに母・ハリエットの遺体を乗せた列車がバックショー仮駅に到着する。列車からは続々と軍服姿の軍人たちが降り、驚いたことに伯母のフェリシティがその中のひとりであった。さらに驚くことに、ハリエットを出迎えた人々の中に、元首相のウィンストン・チャーチル元首相の姿も見られた。チャーチルは父に「われわれはド・ルース家の人間を失うわけにはいかないんだ」と声をかけるとともに、驚きとまどうフレーヴィアにも「きみもキジのサンドウィッチが好きになったんだね」と謎のような言葉を投げかける。フレーヴィアにはこの言葉が記憶にあった。
その後、バックショー仮駅で出迎えた人々が次々と父にお悔やみを述べている最中、フレーヴィアは長いコートを着た見知らぬ男から父へ「猟場の番人が危険に陥っている」「ナイドが襲われている」との伝言を頼まれる。その直後、男は誰かに押されてプラットフォームから落ち、列車に轢かれて死んでしまう。
登場人物
[編集]- フレーヴィア・ド・ルース
- 11歳の化学大好き少女。
- ハヴィランド・ローレンス・ド・ルース
- フレーヴィアの父。
- ハリエット・ド・ルース
- フレーヴィアの母。故人。
- オフィーリア(フィーリー)・ド・ルース
- フレーヴィアの上の姉。おしゃれ好きの18歳。
- ダフネ(ダフィ)・ド・ルース
- フレーヴィアの下の姉。読書好きの13歳。
- フェリシティ・ド・ルース
- ハヴィランドの姉、フレーヴィアたち姉妹の伯母。
- リーナ(イブ)・ド・ルース
- フレーヴィアたちの親戚。
- ウンディーネ・ド・ルース
- リーナの娘。
- マーガレット・マレット
- ド・ルース家の家政婦。
- アルフ・マレット
- マーガレットの夫。
- アーサー・ウェルズリー・ドガー
- ド・ルース家の庭師。
- デンウィン・リチャードソン
- 司祭。
- ディーター・シュランツ
- 元戦争捕虜。フィーリーの婚約者。
- トリストラム・タリス
- 〈陽気な気分号〉のオーナー。
- ヒューイット
- 警部補。
- アダム・トラデスカント・ソワビー
- 植物考古学者。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 全部で6冊のシリーズで、いずれも創元推理文庫から出版されている。
- ^ カナダの寄宿学校に舞台を移した第7作、As Chimney Sweepers Come to Dust が刊行されている(日本では未刊行)[1]。
出典
[編集]- ^ “NY Timesベストセラー速報20150119(執筆者・中谷友紀子)”. 翻訳ミステリー大賞シンジケート (2015年1月19日). 2024年10月25日閲覧。
- ^ 創元推理文庫『不思議なキジのサンドウィッチ』の巻末解説参照。