三菱・4N1型エンジン
三菱・4N1型エンジン | |
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三菱・4N14エンジン | |
生産拠点 | 三菱自動車工業 |
製造期間 |
2010年-(国外向け) 2013年-(国内向け) |
タイプ | 直列4気筒DOHC16バルブ |
排気量 |
1.8L 2.2L 2.4L |
三菱・4N1型エンジンは、三菱自動車工業によって開発・製造されている小・中型乗用車向けの直列4気筒ディーゼルエンジンの系列である。製造は京都府京都市にあるパワートレイン製作所京都工場にて行われる[1][2]。
概要
[編集]2006年(平成18年)6月、三菱自動車工業と三菱重工業は2010年(平成22年)の量産化を目指し、次世代クリーンディーゼルエンジンを共同開発することを発表した。当初は欧州市場への輸出向けであったが[1]、後に北米など他の主要市場にも投入することが発表された[2][3]。次世代ディーゼルはMiEVとともに、2006年(平成18年)7月に発表された三菱自動車の「環境行動計画2010」における中核を成すものとされた[2][4]。
まず1.8 L(1,798 cc)の4N13が2007年のフランクフルトモーターショーでConcept-cXとともに発表された。続いて2.2 L(2,268 cc)の4N14が同年の東京モーターショーでConcept-ZTとともに発表され、翌年の北米国際オートショーに出展されたConcept-RAにも搭載された[5][6][7][8]。
本機は欧州のEuro 5、米国のTier 2 Bin 5、日本のポスト新長期規制に準拠すべく設計された[2][8]。これら各国の排出ガス規制に適合するため、ディーゼル酸化触媒(DOC)、NOxトラップ触媒(NTC)、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を組み合わせた触媒システムが開発された[9]。
燃焼時の急激な圧力上昇を減らしてアルミシリンダーブロックの重量を抑えるように、エンジンは低圧縮比となるように設計されている。DOHC16バルブの吸気側にはMIVECが採用されているが、可変バルブ機構を採用した乗用車用ディーゼルはこれが世界初となる[10]。コモンレール式で噴射圧力2,000気圧のインジェクターを採用し、燃焼効率を高めている。4N13にはソレノイド式、4N14にはピエゾ式のインジェクターがそれぞれ採用されている。いずれにも急速昇温タイプのセラミックグロープラグが装着されている。
4N13はタービン側に可変ベーンを備えたVGターボを装着し、異なる運転状況に応じて最適な過給圧をもたらす。4N14はコンプレッサーにも可変ベーンを備えたVD/VGターボを装着し、さらに燃焼効率を高めている[9]。摩擦、騒音、振動低減のためオフセットクランクシャフトを採用し、全域でスムーズさと静粛性を実現した。
諸性能
[編集]4N13
[編集]シリンダー配置 | 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC |
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排気量 | 1,798 cc |
ボア | 83 mm |
ストローク | 83.1 mm |
圧縮比 | 14.9:1 |
過給器 | インタークーラー付きVGターボ |
燃料噴射装置 | ソレノイド式コモンレール |
最高出力 | 85 kW(116 PS)/ 4,000 rpm 110 kW(150 PS)/ 4,000 rpm |
最高トルク | 300 N·m(31.0 kgf·m)/ 2,000-3,000rpm |
搭載車両
[編集]- 2010 – 2015 三菱・ASX (欧州向け)
- 2010 – 2017 三菱・ランサー (欧州向け)
- 2012 – 2015 プジョー・4008
- 2012 – 2015 シトロエン・C4 エアクロス
4N14
[編集]シリンダー配置 | 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC |
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排気量 | 2,268 cc |
ボア | 86 mm |
ストローク | 97.6 mm |
圧縮比 | 14.9:1 |
過給器 | インタークーラー付きVG/VDターボ |
燃料噴射装置 | ピエゾ式コモンレール |
最高出力 | 130 kW(177 PS)/ 3,500 rpm
109 kW(148 PS)/ 3,500 rpm |
最高トルク | 380N・m(39.0kgf・m)/2,000rpm
360N・m(36.7kgf・m)/1,500~2,750rpm |
搭載車両
[編集]- 2010 – 2018 アウトランダー(欧州向け)
- 2013 – 現在 デリカD5
- 2013 – 2018 三菱・ASX (欧州向け)
- 2019 – 2021 三菱・エクリプスクロス (国内/欧州向け)
- 2019 – 現在 L300[11] (ターボ(インタークーラーレス)仕様。最高出力99.25PS、最大トルク200N・m)
4N15
[編集]シリンダー配置 | 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC |
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排気量 | 2,442 cc |
ボア | 86 mm |
ストローク | 105.1 mm |
圧縮比 | 15.5:1 |
過給器 | インタークーラー付きVG/VDターボ |
燃料噴射装置 | ピエゾ式コモンレール |
最高出力 | 133 kW(181 PS)/ 3,500 rpm |
最高トルク | 430 N・m(43.9 kgf・m)/ 2,000rpm |
搭載車両
[編集]- 2014 – 現在 73式小型トラック (出力やトルクは4M40搭載の旧型車と同一に減格)
- 2015 – 2023 三菱・トライトン
- 2015 – 現在 三菱・パジェロスポーツ
- 2016 – 2019 フィアット・フルバック[12]
4N16
[編集]シリンダー配置 | 直列4気筒DOHC16バルブMIVEC |
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排気量 | 2,439 cc |
ボア | 86 mm |
ストローク | 105.0 mm |
圧縮比 | 15.1:1 |
過給器 | インタークーラー付きVG/VDターボ |
燃料噴射装置 | ピエゾ式コモンレール |
最高出力 | 150 kW(204 PS)/ 3,500 rpm |
最高トルク | 470 N・m(47.9 kgf・m)/ 1,500-2,750rpm |
搭載車両
[編集]- 2022 – 現在 日産・キャラバン
- 2022 – 現在 いすゞ・コモ
- 2023 – 現在 三菱・トライトン
- 2024 – 現在 三菱・パジェロスポーツ
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b 次世代ディーゼルエンジンを共同開発へ, 三菱自動車工業プレスリリース
- ^ a b c d 三菱自動車、次世代ディーゼルエンジンを早期市場投入へ, 三菱自動車工業プレスリリース
- ^ 『三菱自動車 デトロイトモーターショー 出品内容』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ 『三菱自動車 「環境行動計画2010」を策定』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ 『三菱自動車、2007フランクフルトモーターショーでコンセプトカー『MITSUBISHI Concept-cX』を世界初披露』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ 『三菱自動車 第40回東京モーターショー 出品内容』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ 『三菱自動車、2008年デトロイトモーターショーでコンセプトカー『MITSUBISHI Concept-RA』を世界初披露』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ a b 『三菱自動車、2008年デトロイトモーターショー出品概要』(プレスリリース)三菱自動車工業 。
- ^ a b “三菱も2009年市場投入に向けてクリーンディーゼルを開発中”. 日経BP
- ^ 技術ライブラリー クリーンディーゼルエンジン(4N13型)
- ^ “新車で買える!? 超“レトロ”な三菱「コルトL300」ナゼ40年以上も存在!? 尼市場で受け入れられる理由とは”. CAR VIEW. (2023年6月30日) 2024年12月17日閲覧。
- ^ フィアット、フルバック 発表…三菱 トライトン のOEM (レスポンス/2015年11月11日掲載/2019年10月19日閲覧)