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三塩化ヒ素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三塩化ヒ素
識別情報
CAS登録番号 7784-34-1 チェック
PubChem 24570
ChemSpider 22974 チェック
RTECS番号 CG1750000
特性
化学式 AsCl3
モル質量 181.28 g/mol
外観 無色液体
密度 2.163 g/cm3
融点

-16.2 °C, 257 K, 3 °F

沸点

130.2 °C, 403 K, 266 °F

への溶解度 分解
溶解度 アルコールエーテル塩酸臭化水素酸に可溶
屈折率 (nD) 1.6006
粘度 9.77 x 10-6 Pa s
危険性
EU分類 非常に高い毒性 (T+)
環境に対する危険性 (N)
NFPA 704
0
3
0
Rフレーズ R23/25, R50/53
Sフレーズ (S1/2), S20/21, S28, S45, S60, S61
半数致死量 LD50 48 mg/kg
関連する物質
その他の陰イオン 三酸化二ヒ素
その他の陽イオン 塩化アンチモン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三塩化ヒ素(Arsenic trichloride)は、AsCl3という化学式を持つ無機化合物である。毒性を持つ油状の物質で無色であるが、不純物を含むものは黄色を呈する。有機ヒ素化合物を製造する際の中間体となる[1]

構造

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三塩化ヒ素は、C3v対称性を持つピラミッド状の分子である。As-Cl結合は2.161Åの長さで、Cl-As-Clの角は98°25'±30である[2][3]。三塩化ヒ素は、ν1(A1) 416、ν2(A1) 192、ν3 393、ν4(E) 152 cm-1の4つの通常振動モードを持つ[4]。三塩化ヒ素はほぼ共有結合であり、そのため融点は低い。

合成

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三塩化ヒ素は、三酸化二ヒ素塩化水素で処理し、その後蒸留することによって製造される。

また、ヒ素を80〜85℃で塩素化することによっても得られるが、この方法には、ヒ素元素が必要である[1]

酸化ヒ素と一塩化硫黄の反応によっても得られる。この方法は単純な器具しか必要とせず、また効率よく進む[5]

反応

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による加水分解で、亜ヒ酸塩酸になる。

三塩化ヒ素は三塩化リンよりも感湿性が弱いが、それでも湿気を含んだ空気中では気化する[6]

三酸化二ヒ素で処理することで、無機ポリマーのAsOClを形成する。塩素源の下では、三塩化ヒ素は [AsCl4]-を含む塩を形成する。臭化カリウムヨウ化カリウムと反応させると、それぞれ三臭化ヒ素三ヨウ化ヒ素が得られる。有機ヒ素化合物の合成に有益で、三塩化ヒ素からトリフェニルアルシンが合成される[7]

安全性

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ヒ素化合物は非常に毒性が高いが、三塩化ヒ素はその揮発性や溶解性のために、特に毒性が高い。

出典

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  1. ^ a b Sabina C. Grund, Kunibert Hanusch, Hans Uwe Wolf "Arsenic and Arsenic Compounds" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, VCH-Wiley, 2008, Weinheim.doi:10.1002/14356007.a03_113.pub2
  2. ^ P. Kisliuk; C. H. Townes. "The Microwave Spectra and Molecular Structure of Phosphorus and Arsenic Trichloride". J. Chem. Physics 1950, 18.
  3. ^ Jean Galy; Renee Enjalbertl Pierre Lecante; Andrzej Burian "AsCl3: From the crystalline to the liquid state. XRD (176< T (K) < 250) and WAXS (295K) studies" Inorg. Chem 2002, volume 41, pp. 693-698.doi:10.1021/ic0102788
  4. ^ Klapoetke, Thomas M. "The vibrational spectrum of arsenic trichloride" Main Group Metal Chemistry 1997, volume 20, pp. 81-83.
  5. ^ R. C. Smith, "Manufacture of Arsenic trichloride" The Journal of Industrial and Engineering Chemistry 1919, volume 11, pp. 109-110. doi:10.1021/ie50110a009
  6. ^ Holleman, A. F.; Wiberg, E. Inorganic Chemistry Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  7. ^ Shriner, R. L.; Wolf, C. N. (1963). "Tetraphenylarsonium Chloride Hydrochloride". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 4, p. 910. Describes the preparation of As(C6H5)3.